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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第一章 従者と少年

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庄時に頼み事


 扉を開けてもイギリスにしか行けない。日本に行くには、ワープをする力を持った庄時に頼むほかないのである。

「庄時。お前さんに頼みたいことがある」

「わかってる。お前が行きたいとこは知ってる」

「話が早いな。早速頼む」

「ちょっと待て。話は聞いてたが、俺はお前みたいに早く力を使えないんだ」

 庄時は手の平を突き出して、電蔵に言った。

「ほう。そうか……お前さんの力を間近で見るのは初めてだったっけか」

「そうだよ。お前みたいに簡単に力を使えるのは珍しいんだぞ? あんな一言、二言言ったくらいで力を使えるのは、超絶凄いことだ! 俺はお前が羨ましい」

「オレもお前さんが羨ましいな。好きなとこに行けるじゃないか。どこへでも行き放題だ。金がらん。無断で旅行しまくれるぞ。かなりいい力だ」

「そんなことできるか! 人間に捕まるんだぞ? おぞましい……。思い出しただけで怖気おぞけが走る。あんな暗いところ、二度と行きたくない」

 庄時は怯えたように頭を抱えて、その場にうずくまった。

 庄時の言動に電蔵は冷ややかな目をする。血の通わない、オスの目だ。

 電蔵はしゃがんで、庄時の肩を優しく叩いた。

「……お前さん、捕まったんだな……」

「言うな! 王様に言えない……」

 庄時は頭を振り乱す。何度も何度も頭を振る。その事実を肯定したくないばかりに、首が痛くなるまで頭を振っていた。そんな情けない庄時の背中を電蔵がさすった。庄時は泣きそうな顔をしている。込み上げてくる涙を必死にこらえているのだろう。

「王様には言わんさ。言わんが……もしかしたら聞いてるかもしれん」

「うっ……それは困るな……」

 庄時は苦い顔をしている。涙が引っ込んだらしい。

「その時はその時だ。ま、気楽に構えとけばいい。王様はお前さんには優しいだろう」

「……優しい代わりに、お前に対してより、無関心だと思うけどな」

「……そうか。それは悪かったな」

 庄時が羨望の眼差しを向けてくることに、電蔵は非常に驚いた。他の息子たちには代わって欲しいと散々呟いてきた電蔵。電蔵の今いる場所を皆は恨みがましいと思っているのだろう。自分たちにも目を向けて欲しい、と思っているのだろう。

 電蔵は目を細めて、元気のない表情をした。

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