エピローグ 転校した友青
ブラックスフィアに連れて行かれて思ったことーー世の中には不思議なことがあるものだと。友青の知らないような不思議な世界が、きっと無限に広がっているのだろう。関わってもろくなことにならないとまでは思わないが、大変なことになるとは思った。世界の命運を託されず、平凡な生活に戻れて良かった。
王様には記憶は消されずに済んだ。その代わり、ブラックスフィアのことは他言無用でと口止めされた。雷貴は語り継いで欲しそうだったが。
日本に戻ってきた友青は、思い切って小学校を転校することにした。
いくら頑張っても報われない努力を続けても仕方がないと思ったからだ。逃げる、わけじゃない。新しい世界で、新しい自分で生き抜く。それも一つの選択肢じゃないかと。電蔵が傍にいたら、きっと背中を押してくれる。そう信じている。
地元から遠く離れた小学校に転校。
友青は態度を改めて、身だしなみにも気を遣った。
「春川友青です。短い間ですが、よろしくお願いします。夢は、友達と川の字になって寝ることです」
友青には友達ができた。修学旅行で、念願の夢も叶った。
ーーありがとう、紫水。初めてできた俺の友達。
ーーオマエのおかげで、俺は青春できているよ。
ーーいつかまた、どこかで会えるといいな。




