表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
最終章 破滅と創世

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/104

さよならは言わない

 悲しい一言で王様は少し傷ついた顔をした。

「ゲームオーバーだ、王様。お前さんの勝ちだ」

「いや……わしをここまで惚れさせたんだ。お主の勝ちじゃ、電蔵」

 足をトンと軽く鳴らして、術を発動させた。電蔵は王様を見つめたまま動かない。

 王様は溢れてきた涙を引っ込めて、笑顔で電蔵を抱きしめた。

「大好き!!」

 電蔵は泣きそうな顔で笑っていた。死ぬというのに、泣きもせず、ただ笑っていた。

 王様の手から泡のようになって、電蔵が消え失せた。

 電蔵が消えても、暫く王様は空気を抱いていた。

 それをじっと見つめている友青。何も言わず、ずっと見つめるだけ。

 王様はとぼとぼと歩いていって、友青に話しかけた。

「……お主、名は何と言う?」

「春川友青」

「ユウセイ、か……」

「なんだよ……」

「ユウセイ、電蔵はどうじゃった?」

「どうって……べつに何も」

「一緒にいて、楽しくなかったか?」

「まあ楽しかった……けどな」

「それはよかった……あやつは、他の者と関わるのが苦手でな、心配しておったんじゃ。でもよかった。人間とは仲良くなれたんだな……わしも、もう心配する必要はなくなった」

 力なく笑う王様に、危機感を覚えた。

「おい、待てよ。オマエまさか……」

「ああ……。庄時を連れ戻した後、わしも死のうと思う」

「それじゃ他のやつらは……」

「大丈夫じゃ。わしの代わりは別にいる」

「俺とか言わないよな」

「電蔵の残していったメスじゃよ。電神」

「……そうかよ」

「やけに心配するな」

「関わった以上は考えてやらなきゃいけないんだろ。めんどくさいけど」

「うむ。よい心がけじゃ」

 王様は友青の背中をポンと叩いた。

 本当の家族にするように、優しく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ