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アルバイト

 本来なら金曜日の19時に投稿するつもりでしたが、かなり遅れてしまいました。どの口が言ってるんだという感じですが、一応、月曜・水曜・金曜に投稿するつもりですのでよろしくお願いします。



 獄之宮元左衛門。この新東京第一高等学校の校長でありながら、国家異能統治局・異能犯罪取締機関総長という肩書きを持つ対異能力のスペシャリスト。その名は無能力の一般市民でさえ知っているほどに世間から認知されている。そして、獄之宮元左衛門の息子、獄之宮創十郎(そうじゅうろう)は国家異能統治局・公安部部長というエリート家系だ。

 獄之宮家をそんな一流家系にしたのにはある2つの理由ある。まず1つは異能力の特性が遺伝するというものだ。一般的に親から子へ異能力の才能を引き継ぐことはあっても、異能力の特性までもを引き継ぐことは珍しい。位階5の水を操る異能力持ちの親からは位階5前後の子が産まれるのが通常である一方で、子が水を操る能力を必ずしも引継ぐとは限らないということだ。しかし、獄之宮家は代々同種の特性を持っている。そしてその代々受け継がれている同種の特性こそが2つ目の理由だ。俺も詳しいわけではないが、獄之宮元左衛門や創十郎の異能力は神話系というカテゴリーに分類される非常に珍しいもので、その強さも圧倒的だそうだ。



「なるほど。じゃあ姉さんは校長のお孫さんを顎で使ってるわけか。怖いもの知らずだな」



 姉貴はクスッと笑って、獄之宮薙月をチラリと見た。



「そういうわけではない。獄之宮は私の信頼している部下でプライベート含め仲良くしている。だから、他の役員に仕事を任せるより獄之宮に任せたほうが阿吽の呼吸で物事が進むというわけだ」


「お姉様とは懇意にさせていただいています」


「いや、そんな畏まらなくても…」


「と、まぁ、そんなところだ。私は役員会議がある。先の予備員の件は考えておいてくれ」


「考えておいてくれ…って。俺の答えは決まってますよ」


「ふふ、そうか。だが、いずれにせよ、中間考査が終わったらまた勧誘するつもりだ。それまでじっくり考えるといい」


「…分かりました」


「それでは先に失礼」



 姉貴はそう言うと生徒会室を出て行った。そして、獄之宮薙月も同じく生徒会室を出て行こうとした。が、立ち止まり、振り返った。



「零さん。私も零さんが予備員になってくれたら嬉しいと思っています。では」



 そう言って眼鏡をクイっと直すとそのまま生徒会室を出て行った。ふむ。俺の株が高騰している。ありがたいやら面倒くさいやら。それにしても獄之宮薙月の中で株が上がるようなことをした覚えはない。俺を推すように姉貴に強要されていないか。心配だ。



「帰るか」



 時計を見れば既に18時。こんな時間まで生徒会役員の皆様方は働いているのか。なんという激務。生徒会予備員就任を断る理由が1つ増えてしまった気がする。俺はそんなことを思いながら帰路についた。



「ただいま」



 と言っても、返ってくる声はあるはずもない。俺はアパートを借りて一人暮らしをしている。王真家の財力をもってすれば超高層タワーマンションに一人暮らしすることも朝飯前であるが、残念ながら王真家で落ちこぼれとして扱われている無能力者の俺が実家の経済的支援を望めるはずもなく、アルバイトをしながらアパートで1人暮らし生活というわけだ。早速、アルバイトのための準備をして家を出る。

 向かった先はまたしても新東京第一高等学校。そう、学校である。校門を抜けて広大な敷地の一画、雑木林の中に錆びた龍の銅像がある。その銅像の側面に不自然な出っ張りがある。これを押すと…



ゴゴゴゴゴゴゴゴッ



 銅像が横にスライドし、地下へと続く階段が姿を現した。相当な段数を降りるとだだっ広い空間に荘厳な雰囲気を醸す重そうな両開きの扉が姿を現した。手持ちの通信用デバイスを扉の端に設置されているパネルへとかざす。すると、扉がひとりでに開いた。



ウォォォォッ!

やれーっ!

クソッ、また負けだ!!



 扉の向こうには観客席と鉄格子で囲まれた格闘場があり、そこでは異能力者同士のタイマンが繰り広げられていた。そう。ここは"裏アリーナ"と呼ばれる地下格闘技場なのだ。この裏アリーナは学校のアリーナの丁度真下に位置する。アリーナ自体の耐久性が高く、地盤もしっかりとしている。そのため、その地下に賭博場を隠すのにはもってこいだったというわけだ。



「お、今日も来たな。我が裏アリーナの売れっ子ヒールさんよぉ。今日はどっちに出るんだ?」



 体格の良い、というより肥満気味で眼鏡をかけた男が話しかけてきた。この男は裏アリーナのDJ兼受付係の牧太志(まき ふとし)だ。俺が裏アリーナに初めて出場した時からの知り合いだ。



「よせよ。俺が一度でも制限ルールで出たことあるか?」


「はは、そりゃそうか。それじゃあ、いつも通り武器はランダム、対戦相手は位階フリーでいいな?エントリー手続きは任せてくれ」


「悪いな。頼んだ」


「へへっ。いいってことよ!…それにしてもよぉ、お前まだ顔を隠すのか?そろそろ正体明かしてもいいんじゃないか?ここじゃ勝てば官軍、強さが正義。負け知らずのお前なら裏アリーナでの地位や名誉、もちろん金も好きにし放題だぞ」


「俺は最低限の生活費さえ稼げたらいいんだよ。だから、ファイトマネーのほとんどはこの裏アリーナに寄付してるだろ?お前も甘い蜜を吸ってるんじゃないか?」


「こりゃ参った。確かにそうだ。お前の寄付分はスタッフ全員に給付されている。裏アリーナのスタッフは全員お前のある種ファンなんじゃないかってくらいだ」


「ははは、現金な奴らだな。つまり俺は金でファンを買ったってことか」


「まぁそう悪く言うな。ここの出場者は横柄で尊大な連中が多い。スタッフに対しても当たり散らす始末だ。そんな中、スタッフに対して紳士的に振る舞うだけじゃなく、給料UPもしてくれる選手だ。ファンにならない理由はないだろ?」


「買い被りすぎだ。不要なファイトマネーを返上した結果、たまたまスタッフが儲かっただけだよ」


「まったく、自己評価が低いやつだ」


「謙虚と言ってくれないか」


「とりあえず、今日の試合も頑張れよ。試合中は俺はDJだ。だから、心の中で応援しておくよ」



 そう言うと牧は実況席へと向かった。俺は個人更衣室へと向かい、裏アリーナでしか使わない戦闘着へと着替えて、般若面を顔に装着した。



「よし、視界良好だ」



 すると、個人更衣室からリングに直通している入場口が開いた。



「行くか」



 俺はリングへと向かった。





 今回のお話はいかがでしたか。もしよろしければ、感想・いいね・ブックマークをよろしくお願いします。作品投稿の励みになります。


※入力漏れ部分があったので訂正いたしました(2023年12月16日22時43分)

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