鉄拳制裁
「カハッ」
ドサッ
「『サウスエリア制圧完了』…っと」
俺はイーストエリアとサウスエリアの制圧を完了し、連絡通路を使ってウエストエリアへと向かっていた。
『こちらはノースエリア、イーストエリア、サウスエリアの来場客全員の保護完了しました』
『拙者、アウトレットパークの外を偵察したところ、外に出られないよう空間操作型の異能力の壁が展開されているようでござった』
やはりアウトレットの外に逃げられないよう細工がされていたか。何かしらの手段は講じてくると踏んでいたが、まさか異能力で壁を作っていたとはな。
『了解。ウエストエリア及び中央部制圧完了まで引き続き警護を頼む』
『了解です』
『御意!』
楓と薙月先輩に来場客を引き続き任せて、俺はウエストエリアの偵察にあたる。一通り各店舗を確認するもどこにも人影は見当たらない。
どうやらウエストエリアにいた来場客は既に中央部へ集められたようだ。それに応じて警備も薄い。構成員とは未だ出会していなかった。
「と、なるとアナウンス室に警備が固められているか?」
俺はアナウンス室を目視できる位置に陣取り、アナウンス室前の通路を確認する。
「いち、に、さん…5人は外にいるな」
単にアナウンス室の警戒であれば1人でも十分だろう。だが、そこに5人となると中にリーダー格の人間がいることは確実だ。
「ふむ、どうしようか」
俺が攻め方に悩んでいるとアナウンス室の扉が開いた。部屋の中から外の5人に向けて怒号が飛ぶ。
「各エリアの警戒に当たらせてたメンツからの応答がねぇ!!おめぇらボサっと立ってないで確認してこい!!」
「はっ、はい!!」
まずい。俺の処理した構成員からの連絡がないことを怪しまれた。流石に定時連絡は行っていたか…。アナウンス室内の人間に気付かれる可能性はあるが、少しばかり強行突破をさせてもらおう。
アナウンス室の扉が再び閉まり、5人が他のエリアに向かおうとする。その瞬間俺は走り出し、鏡面ノ理-流-を発動する。
「抜塞山‼︎」
抜塞山は、古流空手に伝わる『バッサイダイ』を実戦用にした組み合わせ技だ。元々『バッサイダイ』は空手の型の名称だが、これを実戦で使えるように分解したもので、多対一を想定した所謂コンボ技と言ってもいいだろう。
ドサッ ドサ ドテッ ドササッ
警戒に当たっていた5名は声をあげることもできずその場に倒れた。
そして、俺はすぐさまアナウンス室の扉を開けた。今外で5人が倒れた音は中の人間に聞こえてしまっただろう。仮に中の人間が異能力者であったとしたら…異能力を使われる前に制圧したい。
そこに居たのは単なる武装した覆面の男だった。
「あん?なんだてめッ…ぐふぁッ」
「正義の味方だ。ついでに今のは鉄拳制裁ってやつだ…って聞いてないか」
覆面の男は既に気絶していた。どうやらこの男は指示役ではあるが、実力者というわけではないようだ。そうなると、強い敵がいるのは中央部か。
人質もいるし、強い敵がいる。これまで以上に気を引き締めていかないとな。
「中央部はこっち側か…」
中央部は吹き抜けとなっていた。おかげで2階通路から中央部の広場が見える。中央部にはやはり多くの来場客が集められていた。集められた来場客を取り囲むように4名の武装兵、そして全体を見渡せる位置に1名…明らかに他の武装兵とは違う服装の人間がいる。武器も持たず、身軽な格好をしているところからすると、身体強化系の異能力者の可能性があるな。
「それじゃあ、そろそろ薙月先輩の力を借りるとするかな」
俺の影が微かに揺れた。
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