恋愛の境目
情景が浮かんだので、書いてみました。
こんな感じでいい、のかな(汗)
それでは、どうぞ。
私はいつからあの人と一緒に居たいと思ったのだろう。
それは、恋と言うより愛に近い――
一言で言い表せない、この気持ち。
愛している感情が芽生えた時。
きっと、そこから運命は始まっているのかも知れない。
▪▪▪
「ふー、今日も仕事おしまーい。」
極々普通のOLをしている、私……こと芦川かほ。
就業時間の午後5時。
……と言うことは、あの人から連絡が来る。
携帯が鳴る。
[メールが一件来ています]
その通知を押す。
『芦川さん、お疲れ様』
そう、彼――
近隣の別会社に勤めている、椎川城都。
合同事業でお世話になった時から、連絡先を交換して貰った。
……まあ、仕事の件で度々連絡するし、上の人間や会社は仕事後は干渉しない風潮だから、プライベートを仕事に持ち込まなければ良しとしている。
その日、彼から食事の誘いがあった。
特に用事とかは無いし、社内の人間とは仕事以外であまり関わりたくないから……『大丈夫ですよ』と返事をした。
会社を出たその足で、待ち合わせ場所の駅へ向かう。
その道中、私はふと思う。
(どうして、私と食事なんかするのかな)
椎川さんって、モテそうな人だとは思うのよね。
私の周りでも、彼は人気がある。
それなのに――
そうこうしていると、駅に着いた。
入り口の方に、彼を見かける。
「椎川さん、お疲れ様です。」
声をかけると、彼は頷いた。
「じゃあ、行こうか。芦川さん。」
▪▪▪
路地裏に入っていく。
「ここら辺、初めて来た……」
私はそう、呟く。
仕事が終わったら、あの駅からすぐ家に帰っているから。
「芦川さん。……って言いづらいから、仕事以外はかほさんって呼んで良いかな。」
「えっ!?」
ふと言われたのは、まさかの名前呼び。
異性からそう呼ばれるのは、生まれてから父親ぐらいしか無い……
「……ああ、ごめんね。駄目だったら全然いいよ。」
慌てたように、彼が言った。
驚きすぎちゃったかな、私。
「あ、あ……はい、その……名前呼びで、大丈夫、です……」
そう返すと、彼は微笑んで頷いた。
▪▪▪
レストランへ着いた。
「ここ、値段のわりには絶品でね。週1で来ているんだ。」
厨房に居るオーナーが、彼を見て「彼女連れかい、珍しいなぁ」と言う。
常連なんだ、と思う序でに……ここ、一人で来てるんだ。
「いつもん所、空いとるよ。」
二人がけの席に案内された。
……どうやら、この席がお気に入りなのかな。
「今日は奢るから、好きなの選んで?」
「えっ?そんな、そんな……そこは割り勘にしま……」
慌てて言う私を、彼は遮った。
「今日は、奢らせてください。」
結局、私……安いミートスパゲティーを頼んでしまった。
これで良かったのか、私……。
▪▪▪
「あのぉ、椎川さん。どうして、名前呼びなんか――」
料理が来る途中、気になった事を聞いてみた。
「……僕、実は女性付き合いがあまり無くてね。」
「えっ?……えっ?えぇーっ!?」
思わず驚いてしまった。
「あはは、そう思うよね。……仕事に追われてばかりで、彼女が出来てもすぐ別れちゃってさ。」
モテそうって思ったけど……まさか、まさかねぇ。
「で、それと名前呼びの関係は?」
「君……かほさんが、彼女だったらなんてね。」
丁度その時、料理が届いた。
「じゃあ、頂きましょうか。」
▪▪▪
ご飯を食べて、外へ出る。
「あの、さっきの『彼女だったら』ってのは?」
あの場では聞けなかったのを、帰り道で聞いてみる。
「仕事で一緒になってから、ずっと魅力的な人だと思っていたんだ。……だから、かほさんが彼女だったら、と思ってしまってね。」
私が、魅力的ねぇ。
言われたことなんて、無かったな。
昔から、地味だったし。
「まあ、無理にとは言いません。……気があれば。」
家へ帰った。
着替えて、ベットに横たわる。
異性から、名前呼び。
それに『彼女』になってくれたらと言われる。
「うーん、どうしたら良いもんだろう。」
恋愛なんて、しなかった。
私も、彼みたいに仕事に追われていた。
『彼女だったらなんてね』
その言葉が、頭から離れない。
「……むきゅー。」
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それから、返事が出来なくて数日が過ぎた。
「………はぁ、そろそろ彼に返事をしなきゃいけないかな。」
あの事は、一応親に話した。
「自分がなりたいように、しなさい。」
と、お母さんに言われた。
自分のなりたいように。
いずれは、結ばれたいって思っていた。
けど、自分で諦めていた。
恋愛はしたことない。
……けど、彼とだったら。
翌日の仕事上がり。
私は、彼を近場のカフェに呼び出した。
「かほさん、お話とは?」
「あ、あの。前のお話の件で。」
彼は頷いた。
「………私と、お付き合い……お願いします。」
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それから、結婚が出来ました。
家族も増えて、幸せになりました。
……まあ、当時の仕事場の人たちに妬まれる事がありましたけど。
そこら辺は、割りきって仕事をこなした。
思いきる気持ちも、大事なのかな。
読んで頂き、ありがとうございました。