(2)
22時を回った頃、酒に酔った雨乃さんが帰って来た。今日は金曜日。帰りに居酒屋でも寄ったのだろう。
2階の自室にいた俺は雨乃さんが風呂から出て少し経ってから1階のリビングへ降りた。
肌の手入れやドライヤーで髪を乾かし終えた雨乃さんはショートパンツにタンクトップ姿で
ダイニングテーブル座っている。今日も不健康な白い肌を露出させていた。
俺は向かいの席に腰を掛けた。
相変わらずのデカパイが深い谷間を作って、俺の視界に飛び込むが3年以上も見続けているので、その乳を凝視することはない。例えば富士山の近くに3年も住めば富士山を眺めなくなる。霊峰も見慣れればそこにあって当然という存在になるわけだ。
雨乃さんは両腕を頭上に伸ばし、背筋を伸ばしてストレッチする。物凄い爆乳が今にも爆発しそうな勢いで俺の目の前に張り出された。
それから「ふぅー」と息をついてテーブルの上に立派なお乳を乗せる。タンクトップの生地が緩み、胸元が更に露出していた。
「相変わらず、私の胸ばかり見ていますね」
「えっ、はっ?み、見てねーし」
「言い訳できないくらいジロジロ見ていますよ。今も」
「っ!?」
俺の視線は知らず知らず吸い寄せられていたのか。まるでダイソンの掃除機の様な途轍もない吸引力をもったこのデカパイに。
いくら見慣れているとはいえ富士山は素晴らしい。きっと近くに住んでいても、ふと気付くと眺めているかもしれない(遠い目)
「それで、シークレットランを服用されたのですか?」
「……はい」
雨乃さんに今日の出来事を話した。雨乃さんは薬を飲んだ直後に起こる乗り物酔いの症状や、思考を読んでいる時の状態等を事細かに聞いてきた。
「なるほど……、人体実験は成功ですね」
「俺で人体実験をしたのかよッ!?」
「冗談ですよ」
「冗談に聞えません」
「国家機密ですが、シークレットランは既に実用されている薬品です。空人さんのご両親も何度か使用されていますよ」
「親父とおふくろが……」
俺の両親は自衛官だ。現在はアフリカで何かの作戦行動をしている。シークレットランを使ってるって、俺の両親はいったいどんな任務をやっているんだ……。
そう言えば、雨乃さんって親父の紹介で今の会社に就職したんだよな……。
「それで、茜さんの気持ちはを知ることはできましたか?」
「んー、あいつに裏表がないってのはわかったんですけど……」
「ふむ。シークレットランは思考を読むことはできますが、感情を読むことはできませんからね。それでも察しの悪いな空人さん、失礼しました、鈍感むっつりスケベ系主人公の空人さんでも理解できると考えていたのですが、期待外れでしたね」
「いちいち傷付けないでくださいよ!……確かに雰囲気は伝わってきましたが、感情まではわかりませんでした」
「考えていることと感じていることは必ずしもイコールではありませんからね」
その通りだ。茜の考えているこはわかったけど気持ちまではわからなかった。
だけど計画を変える積りはない。
「雨乃さん、それでちょっとお願いがあるんですけど……」
「ん?なんでしょうか?」
COOLな雨乃さんはピクリと眉を動かした。