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4話 デートの約束(1)



 今日、雨乃さんは残業で帰りが遅くなるらしい。

 寡黙症について調べた後、ベッドに横になってこれからのことを考えていた。

 仰向けで寝転がる俺のお腹の上で飼い猫のクロがくつろいでいる。



 涼川蒼は俺に隠し事をしていた。それに手紙を受け取っていればと思考していた……。手紙と言えばあのラブレターくらいしか思い付かないが……。

 ダメだ。わからないことをいくら考えても時間の無駄だ。今わかっていることを踏まえた上で今後の方針を決めるよう。


 俺の目標は涼川蒼と付き合うこと。

 可能性が全く無いのなら、きれいさっぱり諦める積りでいたが、今の俺の状況は逆に良いのではないかと考えてしまう。


 彼女は寡黙症という精神疾患を患っていた。だから茜以外とは会話することができない。話したくても言葉がでないのだ。昼休み、一言も話さなかったことから、茜と一緒にいても近くに別の誰かがいると言葉が出せないのだと推測できた。


 シークレットランを使ったせいで、彼女のことを色々と知ってしまった。イメージとは違ったが、彼女は話したくても話せないだけで、実は明るくて思いやりのある優しい人だってことがわかった。


 寡黙症、この病は心を許せた相手とは普通に会話ができる。

 先ずはそのポジションを目指す。その為に今置かれている状況を最大限活用する。

 俺が置かれている状況――、それは手紙を間違えて茜に渡してしまい。茜と付き合うことになったという状況。


 ポイントなのは茜は俺のことを好きではないというところ。

 だから俺は……、茜を利用して蒼さんに近づく。


 俺が茜に告白の手紙を渡したことや、それで付き合ったことを蒼さんは知っているはずだ。

 しかしそれは誤解で、俺は蒼さんが好きで手紙は彼女に渡そうとしていた。

 最終的にそのことをわかってもらえればいい。


 先ず、誤解を解く前に茜の彼氏として涼川蒼に近づき彼女が心を許せる相手になる。


 茜は男女交際に興味があって、たまたま俺から手紙をもらってしまい人生経験の一貫として付き合うことにした。

 だから蒼さんと人間関係ができた後、茜に『実は……』と手紙の真相を明かし別れてもらう。

 茜は恋愛ごっこをしたいだけだし、俺の気持ちを知れば無理に引き止めたりはしないだろう。茜に好かれるように行動していれば、蒼さんとのことを応援してくれるかもしれない。


 涼川蒼と絆を深めた後、全ての誤解を解き、茜と別れて蒼さんに告白する。


 ……その流れしかないよな。


 そもそも茜という存在がなければ、俺は涼川蒼に近づくこともできなかった。




 ならば先ずは茜をデートに誘わないといけない。そして、そのデートに蒼さんも来てもらう。









 

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