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3話 薬の効果(1)

 我が校の昼食は弁当を持参して教室で食べる者もいれば、校内の売店やコンビニで買って校庭、部室等で食べる者もいる。当然学食を利用しても良い。


 で、俺はと言うと弁当を持ってくる日もあれば、売店で買う日もある。食堂を使うこともある。特に決まっていない不規則な昼食スタイルを他人に合わせるのは面倒で、一人で食べた方が気楽だったりする。故に――、昼食を一緒に食べる友達がいない。


 勘違いしないでいただきたい。俺は友達がいない訳ではない。むしろクラス全員と友達だと言っても過言ではない。ほぼ全員とそつなく話せる。が、特定の親友はいない。だから逆に全員と友達ではないと言っても過言ではないのかもしれない……。



 昼休み、今日は学食で昼食をいただくことにした。

 校庭のベンチや屋上に抜ける階段は人気が無くて良いのだが、万が一誰か来た際に一人で食事をしていると非常に気まずい。学食や教室は俺のようなボッチ飯を嗜む者が比較的多い。木を隠すなら森、ボッチを隠すなら我が校の場合、学食か教室なのだ。



 俺はうどんを啜りながら思考を巡らせる。


 昨日の今日で、茜に何か言われるのではないかと構えていたが、結局今日は一言も話していない。このまま放課後まで息を潜めよう。道端に転がる小石の様に存在を消して、気付けば帰っている。そんな展開が望ましい。

 帰りにスーパーも寄らないといけないしな。今日は揚げ物でも作るかなぁ。


 ――ッ!? 箸が止まった。


 殺意を感る。

 人には自己防衛本能がある。それは己の生命を生命を守る為の本能。今、背後からゴゴゴゴゴゴゴという効果音が聞こえている。

 恐る恐る振り返り、学食内を眺めると音源を直ぐに発見することができた。


 少し離れた席に黄色い髪のギャル……。いや、滅茶苦茶こっちにメンチ切ってる。あれはギャルと言うよりはヤンキー。

 例えば登山中に10メートル程の距離で熊と鉢合わせになって、熊は動かずこちらを睨んでいる場合、あなたならどうしますか?

 私は曖昧な笑顔でくまに手を振りました。


 茜は目が合うと人差し指を手前に引くようにクイクイと動かす。

『ゴルァ!成海ぃ〜ッ!ごっちごいよぉ、あ゛あ゛ァッ!』と巻き舌で言っているのだろう。


 溜め息が出た。このままシカトする訳にもいかず、俺はうどんを持って茜の席へ移動しようとした時、机の隅置いておいたシークレットランが視界に入った。


 そう言えばさっきポケットから出したんだった。

 どうせ何も起きはしないと思うけど、飲んでみようかな……。まぁビタミンCだしね……。

 薬を口内に放り込むと、コップの水で飲み干した。




 俺はうどんを持って茜の席へ移動する。茜は蒼さんと向かい合って食事をしていた。


「隣いいかな?」

「…………、好きにすればッ」


 何今の間?超恐い。てか指をクイクイさせて俺を呼んだのは貴女ですよね?










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