7.モップ
スライムを使った合成ゴムの謎に頭を悩ませながらホームセンターのような店から出た。
建材も部材も豊富にあったので遠慮無く鑑定させてもらってホクホクだ。
空が暗くなってきたので、生前では医者に止められていた
アルコールを摂取するためビアホールに向かう。
飲める量は生前と変わらずジョッキ4杯目で潰れるのだが
薬が過剰作用するという心配が無いのでついつい飲んでしまう。
ビアホールの店員から2杯目のジョッキを受け取った時、店の奥の方が騒がしいことに気づく。
「ああ、常連と一見さんの喧嘩だよ。」
そう言っていつものことのように放っておいている店員。
確かに酒の席での喧嘩っていうのは華というヤツだ。江戸じゃないけどな。
しばらくすると一見さんがしこたまボコられて常連につまみ出されていった。
「めずらしいこともあるもんだねぇ、あいつが勝つだなんて。」
なんて感じで店員は平和そうにしてるが、ボロボロにされた酔っ払いに外は危ないだろ。
すこしかわいそうになったので店員にお勘定をしてもらい、外に出る。
一見の酔っ払いとやらは案の定というか、ガラの悪い集団にカツアゲされていたので
いつだったかの様に指向性を持たせた石などの武器を降らせてあげた。
退散したカツアゲ集団を目で見送り
でかいモップ、あるいはギリースーツ…もとい一見の酔っ払いに声をかける。
「よォ旦那、生きてるかい。」
「…。」
目で答えるギリースーツこと一見の酔っ払い。長いからモップと呼ぼう。
どうやらモップは死守した荷物以外全部持ってかれた感じだ。
弱々しく起き上がり荷物の確認をするモップ。
「…よかった。赤本と身分証は無事だった。」
それは幸いだ、というかカツアゲ集団が見逃してくれたんだろう。
そこそこの人通りがある道沿いのパブにモップを連れていき落ち着かせる。
身だしなみを少し整えたため、モップから耳と鼻が出てやっと獣人とわかるようになった。
これで少なくとも"ひらけ!赤緑"の赤い方ではないことが確認できる。
「大変見苦しい所をお見せしました」
「いや、なんでそこまで泥酔してたのかが気になっただけだ。他意は無いよ。」
「実は…」
なんとこのモップ、元は大手商会の従業員で
理不尽なクレームに屈した先輩の生贄の山羊にされて失業したのだという。
「なるほど。自分の責任じゃ無いのにやめさせられたのなら荒れるわな。」
「面目次第も無いです。」
ふーむ。これはチャンスかもしれない。
緑のアイツって歴代中の人相当な数よね




