5.不可視の商品棚
タスケテーッ!?
その瞬間、何かが脳に直接語りかけてきた。
"一度のみ救済措置を行う"というメッセージとともに
元の世界では過剰摂取により死亡しており、
理由は開示できないが精神状態を平常に戻した上で異世界に転移したという
この身に起こった経緯と異世界側の言語が脳に流れてくる。
しばらく妙な感覚が続き、"この救済措置インストーラは自動的に破棄される"
というメッセージが最後に来て止まった。
俺はパソコンか、そしてどこのミッション:インポッシブルだと思いながら
救済措置とやらの取扱説明書を読んで内容を把握する事にした。
<不可視の商品棚>
以下の機能を保有する
・レジ台
一時的な物置き場。
未鑑定の物を空間指定することで、使用者が要求する情報を開示できる。
・商品棚
他者へ商品を見せるための棚。通常は擬似表示のため触れることはできない。
使用者が要求した場合のみ接触、取り出しが可能。
・倉庫
物を格納できる倉庫。原則として生きた動物を入れることはできない。
通貨や小物を入れることも可能。
・仕入れ
等価交換により以前鑑定した物を複製、取り出すことができる。
「ふむ。」
なんというか鑑定と収納に通販機能と実にチートだ。
ならばこのまま"不可視の商品棚"に慣れるため
徹夜して鑑定しながら食料探しをするとしよう。
そこら辺に生えてる草や木の実、キノコに至るまで一旦"レジ台"で鑑定し、
食べられるものや価値がありそうなら"倉庫"に確保、
毒とかゴミならスルーする。
漆とかカエンタケ的な劇物であっても触らないのですごく便利だ。
なにより言葉に出さなくても考えた分だけ発動できるのが羞恥心的にありがたい。
途中お腹が空いたので生でもなんとか食える食料を食べ、
川の水を鑑定通してヤバそうなのが混入しないようにしてから飲んでいく。
さあ一気に生き残る希望が見えてきたぞ。
良さげなねぐらが見つからないので結果的に徹夜になってしまった。
しんどいが夜明けとともに付近の調査のため今居る高地を少しだけ離れて探索。
どうせ荷物なんか無いし、着てるのは死んだ筈の時に着てた部屋着のみ。
その部屋着も"レジ台"で鑑定して登録しておいて衣服の予備の準備も万端。
"レジ台"で自分を指定すれば文明人の尊厳を終わらせることなく登録できた。
だが尊厳が終わるのはすぐだった。
メシを食ったらそりゃ出るわ。
サバイバルだから仕方ないサバイバルだから仕方ないサバイバルだから…
これぐらいの能力にしないと貧弱IT土方が異世界を生き残れそうもないのよね