7.無限の仕入れ
「実は、領主から購入の問い合わせが来ているのだ。」
領主…領都の領主だから…
「公王陛下?」
「そう。完売してから王からの問い合わせが来てしまってな。
もうありませんと言うことができないのだよ。」
貴族社会のことなど知ったこっちゃないが、
"仕入れ"の解放時かもしれない。
「…手段は無いこともないです。」
「ほう?それは金銭で解決できるものかな?」
「ええ。だいぶ割り増しで頂くことになりますよ?」
「かまわん。名誉が傷つくことに比べればいかほどのことか。」
「わかりました。それではこの場で商品を仕入れてご覧にいれましょう。」
そういって"仕入れ"から品評会に出した魚を購入し、
ミアー卿に見えるよう"商品棚"に配置する。
「おお!」
「値段はだいたい評価額の2割増しといった所ですかね。」
「よろしい、食通に二言はない。すべて言い値で購入する。」
「まいどあり。」
公邸の生鮮品用倉庫で納品をしにいく。
「この際だ。各3倍の納品を頼む。」
「えらく奮発しますね。」
「この際と言っただろう。ずっと乾き物しか納めることが出来なかった
私の評価をここで上げておかねばならん。」
「なるほど。…六角金貨でも結構な枚数が必要になりますが手持ちはありますか?」
「こんなこともあろうかというやつだ。
他のブースで即金払いということも考えて現金はいつもより多く持っていたのだよ。」
「それは助かります。自分は手持ちがもうないので購入できなくなるところでした。」
そういって何枚かの六角金貨を受け取り、"仕入れ"から購入していく。
これが自分で獲っていた魚なら社割が効いたんだろうなとか思いつつ
"商品棚"に配置しミアー卿の付き人に運んでいってもらった。
納品が終わり、ミアー卿にお礼として晩餐に付き合わされる。
「いやはや。ハサマ殿、今日は助かった。礼を言う。」
「それはこの言葉遣いで相殺とさせてください。」
「はっはっはっは、そうさせてもらうか。」
ミアー卿は品評会での一人勝ちに大いに満足しているようだ。
この人物と付き合うと振り回されて苦労するものの
それに見合った報酬を用意してくれるのでありがたかったが、
さすがにそろそろ気力の限界だった。
「それでは、以前お話ししたとおり商会を立ち上げようと思いますので、これにて失礼します。」
「ああ。壮健でな。」
無限と言いつつ、金目のものが無いと購入できません。




