3.右から登って左に沈む
よし、落ち着いて整理しよう。
少なくともここは天国ではない。
俺は天国に行けるほど善行積んでないからな。
いや、あのクソ会社から受けた仕打ちで徳を積んだのであればワンチャン?
いやいや。
10年近くに渡るメンテナンスフリーなコーディングロボット扱いの上
クソ会長のオトモダチ以外人権否定された挙句の人生強制終了だけど
流石にその考えはお花畑すぎる。
だが自分の家でもなく、救急車の社内でもなく、病院でもないのであれば
意識がなくなったあの時に死んでいたと考えるのは自然だ。
仮にどこかのバラエティ番組のように連れ去られていたのだとしたら
危険な中洲じゃなく川辺にする筈。スタッフ濡れちゃうから。
というか人っ子ひとりいないし、本当にここは何処なんだよ…
そんな感じで虚しさ全開な負のループやっているうちに
日が高くなっていったのだが、空に妙な違和感を感じた。
「日が登ってるのに左に行ってる?」
確認しようにも東西南北が全くわからない状態では日時計程度しか手段がない。
仕方なくその辺に落ちてる枝を地面にぶっ刺して目印を置き、影ななぞっておく。
しばらく待つと影が短くなり、右に移動しているのが確認できた。
そして何故か暑い。
意識がなくなった時に十中八九死んでいて、
昨日まで北半球にいたのにお天道様が南半球の動き、
でもって季節感が同じということは…
つまるところがアレか、異世界転移的なサムシング。
ゲームでも太陽は北半球からの視点多いよね