10.異世界の鉄道
この異世界には鉄道がある様だ。
というのも目の前にあるのがどうみても列車以外の何者でもないからだ。
だが軌間がどう見ても標準軌よりも広い。
列車の車幅も当然ながら広い。おかげで縦方向に潰れた感じになってしまっている。
それと機関車の台車が巨大すぎて車体が完全に逆凸型になっている事と、
機関車の隣の車両がまるごと乗務員用になっている事が気になるところではあるが
これは間違いなく客車列車だ。
しかし機関車に蒸気機関車の如く水の補給だけを行っているのが謎である。
豪快に水を補給しているにもかかわらず燃料を入れている様には見受けられない。
どういう仕組みなんだと思いながら駅の待合室でウロウロしていると
パンフレットの中に列車の仕組みと書いてある小冊子を見つけたので読んでみる。
『ライナー領内鉄道の列車たち』
50年くらい前の迷い人ラジブーが作った夢の機械。
馬車より速くて、多く運べて、長く走れて、故障が少ない。
それは蒸気タービンを回し発電、その電力を動力として用いる幹線用の電気式蒸気機関車。
試作車は薪や石炭を必要としていたが、火系魔法によって代替できることが判明。
それからは水だけを補給して領内を結ぶ、もはや無くてはならないライナー公国の誇り。
そんな感じの内容が書いてあった。蒸気機関なのかアレは…。
あと公国なのに領?なんか政治的に面倒そうな背景を持っていそうな気配。
「遅くなった、4人分の手配ができたぞ。」
街への切符代は業務上の都合で同行させるという名目のため俺は支払わなくて良いらしい。
「どうした?冊子なんか持って。機関車が珍しいのか?」
「いや、何を動力としてるのかと思って。」
「ああ、魔導士が水を沸騰させて動かす蒸気機関だ。
人数が必要な上、個々に相当な精神力が必要な仕事だが
それだけ高給だし、連中の就職先としちゃ有名だな。
しかしそれすら知らんとはどこの田舎出身なんだ?お前さんは。」
別の世界からやってきましたとか言えないし、信じられそうもないので
笑ってごまかしていると発射時間となったのか乗車を促された。
◇◇◇◇
国境警備隊という軍事関係だからか、割と豪華な4人部屋の寝台付き個室に案内された。
乗務員から敬礼を受けながら入るとフィリップスに着席を促される。
上座的なものかと思って座ったらフューリとモリンに挟まれ、フィリップスが対面に座った。
なるほど逃げられないようにしたのかと理解しフィリップスに顔を向ける。
「さて、ハサマ。俺ァお前さんの様な人間に心当たりが実はあってな。」
日本の鉄道の軌間は大抵が狭軌(1,067mm)。新幹線とかが標準軌(1,435mm)
作中の広軌はインド軌間(1,676mm)くらいを想定してます




