出会い、そして心配される。
身体が重い。
まるで、鉛で出来た身体みたいに。
己の意識は、上に向かっているのに、それに身体が伴わない。
(地の底に、引きずり込まれているみたい)
水に溺れていくように、身体は沈んでいく感覚。だけど、意識は水面を目指すように浮き上がってくる。
指を、瞼を動かしたい。
そう願う自分がいるのに、鉛の身体は言うことをきかない。
(動きたい…‼)
願いを身体の隅々まで行き渡らせるのに、渾身の力をこめる。
(私の指っ…)
それまで、漠然とした意識は、己の身体を球体のような感覚で認知していた。例えるなら、楕円状の雲のような塊。それを、〈指〉という末端にまで意識を集中させることによって、身体に、手があり足が生えていることを実感できるようになっていった。楕円の雲ではない。人としての知覚が伴う身体。
(もう少しっ…)
ドンドン明確になってくる感覚。手足を動かしたいと願いを叶えるには、体力よりも精神力が必要だった。
ピクッ…‼
指が微かに意識に従った。
軽く痙攣を起こしたように震えただけだったが、それでも意思の通じた指は、自分の思いに反応を見せてくれた。
一度、末端にまで届いた意識は、身体を服従させていく。微かにしか動かせなかった指は、命じるままに動き出し、鉛でしかなかった身体に、意思と血を通わせる。
まるで春のぬくもりを知り、一斉に花開く植物のように、身体が目覚め、己のものとなっていく。
(……………っ!!)
身体との戦いに勝利した意識は、言葉通り〈目を覚まさせた〉。同時に〈耳が音をとらえ〉、〈皮膚が空気を感じる〉。
「ここは…」
〈喉はかすれた声を出し〉、〈鼻腔は、嗅いだことのない甘い匂いを感知する〉。
自分の思うように動けるようになった身体は、周囲の状況を洪水のような勢いで、意識へと送り込んできた。
見覚えのある空間。だけど、見たこともない位置から、それらを視界にとらえている。
自分を包む柔らかい…、これはリネンだろうか。身体が沈みこみそうなほどに柔らかい。
ゆっくりと、身を起こす。そうすることで、身体が意識に馴染んでいくのが感じられた。
「お目覚めのようですね」
耳がとらえた声は、聞いたことのあるもの。
その音を頼りに、首を動かす。
声の主は、…ああ、知っている人だ。
そのことに、焦りを覚えていた心が少しだけなだめられる。
けれど。
(…ダレ⁉)
声の主の後ろに立つ人物に、全身の毛が粟立った。
深く顔を隠すように被ったヴェール。身にまとったドレス。そのすべてが漆黒で、カラスの羽根のように、濡れた光沢を放っていた。
知らない人、だと思う。
なのに、意識はその人を警戒し、動きの鈍い身体を置いてでも逃げ出したいほどの恐怖を感じている。
声をかけてくれた人が知っている人だとしても、その恐怖が消えることはなかった。
「アリスティアさま」
その呼びかけに、急速に回転し始めた脳が違和感という警告を鳴らし始める。
(私、そんな名前じゃない…)
〈アリスティア〉と言う名前は、黒いヴェールの存在とともに、吐き気を伴う恐怖を与えてくる。
逃げろ、逃げろ、逃げろっ!!
全身が叫ぶ。
この場にいてはいけない。
本能がそう身体中に伝えているのに、動き出したばかりの身体は、その叫びに応じることが出来ないでいる。
代わりに全身から冷たい汗があふれ出し、意思とは無関係に小刻みに震える。
怖い、と思う。
逃げたい、と思う。
しかし、縫いとめられたように動けない身体は、五感を通じて周囲の状況を意識に送り込んでくるだけの存在だった。
「アリスティアお嬢さま。意識が戻られて、本当にようございました。ああ、でもまだ無理に動かれてはいけませんよ。弱っておいででしょうから、ゆっくりとお休みください」
目の前にいる、その知ってる女性が涙を流す。私が意識を取り戻したことを、心の底から喜んで、それを全身で表現しているかのようだった。
「ケイリーさん…」
震えた喉は、記憶の中から彼女の名前を紡ぎだす。
「〈ばあや〉で結構でございますよ、お嬢さま」
やや小太りの中年女性、ケイリーはそう言うが、自分の中の意識は、それを拒絶する。
(それは、そうやって呼ぶのは私じゃないわ)
ケイリーが〈アリスティアお嬢さま〉と呼ぶ人物のみ、彼女を〈ばあや〉と呼ぶことが許されている。
(だけど、私は…)
「待ってっ!! ケイリーさん、私、〈お嬢さま〉じゃないわっ!!」
どう説明したらいいのか、わからない。
けれど、彼女に理解してもらおうと必死に訴える。
「私、エディルよっ!! エディル・ノーリッシュ、お嬢さまの女家庭教師のっ!!」
ケイリーが、何をどう勘違いして自分を〈お嬢さま〉と呼んでいるのかわからない。わからないからこそ、恐ろしく、心が焦りに満ち溢れてくる。
「何をおっしゃっておられるのですか。ああ、長いこと眠っておられましたから。きっと夢でも見ておられたのですね」
通じていない。どれだけ必死に訴えようとも、ケイリーが自分の意見を聞き入れてくれる様子はなかった。
「あなたさまは、アリスティアお嬢さま。このケイリーのお育てした、大事なお嬢さまでございますよ」
「違う…」
「アリスティアお嬢さまは、この〈ロンディーノ伯爵家〉の、たった一人のお嬢さま」
「違うわ…」
「病で臥せっておられましたが、こうしてお元気になられたのを目にすることができ、ばあやはうれしく思っておりますよ」
「やっ…」
声がかすれる。震えながら、首を横にふる。
この人は誰だろう。
ケイリーさん、だと思った。私の知っている人物。
しかし、こうして会話を交わすと、相手は外見のみ知っている人だが、中身は得体の知れない不気味さを漂わせる存在だった。
(こんな人、私、知らない…)
助けて。
誰にでもなく、どこにでもなく願う。
こんなところにいたくない。
誰でもいい、私を助けて。
そう願うのに、救いの手が差し伸べられることはなかった。
己を救えるのは、己のみ。
そう感じ取ったエディルは、まだぎこちなくしか命令の届かない身体を必死に動かす。
「お嬢さま…⁉」
ケイリーが不思議そうに声を上げたが、そんなことに構ってなどいられなかった。
渾身の力と、持ちうる限りの精神力を振り絞って、逃げ出そうと必死にもがく。
寝台の上から、転げ落ちるように這い出し、震える足で立ち上がる。倒れないように、目で足元を、自分の足が動いているかを確認しながら、よろけるように歩き出す。膝がガクガクと不安定に揺れたが、それでも逃げたい一心で身体を動かす。
まるで、そうすることだけが、自分が自分である証のように。
しかし、自分にとってどれだけ必死な動きであっても、ケイリーや黒いヴェールの存在からしてみれば、容易く捕らえられるような、遅々とした動きであったようだ。
グイっと腕を黒いヴェールの人物に掴まれ、その拍子に、身体はマリオネットのようにクニャリと力を失い、床に崩れ落ちる。
「あ…」
「病み上がりだというのに、そんなに動いては、お体に障りますよ⁉」
ヴェール越しに、その人物の目が金色に光ったのが見えた。まるで獣のような細い楕円の瞳孔。
その瞳に射られたように見つめられ、身体を動かそうとしていた意志すらも、奪い取られる。
「さあ、ゆっくりお休みください」
(いや…)
声も何もかも失くし、せっかく目覚めた意識は、再び暗闇へと飲み込まれる。
必死にもがく意識が、最後に目にしたのは、腕を掴まれ力を失った己の姿の映ったカラス窓。
(お嬢…さ、ま…)
網膜に焼き付くように残る映像。
透き通るような白い肌。淡い空色の瞳。女性としてはまだ幼さを残す身体に、まとわりつくように波打つ濃い金色の髪。
それは、紛れもなく記憶の中にある、〈アリスティアお嬢さま〉の姿だった。
(いやっ!! 助けてっ!!)
再び真っ暗闇の中から覚醒した意識は、叫びとともに身体を取り戻す。
先ほどは違い、身体も意識と馴染んでいるようだった。苦もなく動く身体は、弾かれたように上半身を起こした。
「ああ、アリスティアッ!!」
なだめるような、咎めるような男性の声が、身体を押しとどめる。
「そんなに急に動いては、身体に障るよ」
いたわるように肩に添えられた手。
「旦那さま…、奥さま…」
かすれた声が、喉に張り付いた。上手く声にならない。
自分の横たわっていた寝台に付き添うように座っていたのは、ロンディーノ伯爵家の当主夫妻だった。40を過ぎ、伯爵としての貫禄のついた身体の旦那さまと、二人の子を持つ母親とは思えないような美しさの夫人。
その二人が、私を見て涙ぐんだ様子をみせた。
「こんなに元気になって。本当に神に感謝してもしたりないぐらいだよ」
「ええ。一時はどうなるかと。本当に、本当に良かったこと…」
夫人がそっと目を押さえた。
その二人から視線を外しうつむく。顔の動きに合わせるように、サラリと金の髪がこぼれ落ちた。
(違う――。私は…)
そう思った途端、激しい痛みが頭を貫く。
――カンガエルナ。
痛みは、声だった。
――オマエハ、〈アリスティア・ユリア・ロンディーノ〉ダ。
(違うわっ!!)
――ダガ、ソノカラダハ、マチガイナク〈アリスティア〉ダ。
声を否定したくても、視界に入る自分の身体は、声の言っていることを肯定していた。
豊かな流れるような金の髪。透き通るように白く幼い小さな手。
視界に映るその姿は、間違いなく〈アリスティアお嬢さま〉のものだし、伯爵夫妻がこの身体を案じてくれている状況は、〈アリスティアお嬢さま〉でしか起こりえないものだった。
(違うわっ!! 私は、エディルよっ!! エディル・ノーリッシュッ!!)
見えているのに、感じているのに、それを全力で否定しようと必死に己の自我を確立させようと、名前にすがる。
――〈エディル〉ナド、ドコニモイナイデハナイカ。
声が嘲るように笑った。
自分の知る、エディルの身体はどこにもない。
(…返して)
私の本来の身体を。
――ムダダ。
(返してよ)
――アキラメロ。
(こんなの、私じゃないっ!!)
――オマエハ、〈エディル〉デハナイ。〈アリスティア〉トシテ、イキルノダ。
声は、冷たい死刑宣告のように、身体に宿るエディルの心を刺し貫いた。
〈アリスティア・ユリア・ロンディーノ〉
それは、エディルが去年から女家庭教師として働く、ロンディーノ伯爵家の令嬢の名前。
伯爵夫妻の第二子、唯一の女の子として生まれた彼女は、身体が弱く、エディルと出会ったころから、よく熱を出したりして寝込むことの多い少女だった。
――十歳まで生きられないかもしれない。
その弱さに、医師がそう告げたこともあった。
しかし、彼女を支える乳母のケイリーの献身と、深い両親の愛情のおかげか、アリスティアは十三の誕生日を迎えることが出来た。
これならば、十歳どころか、二十歳でもなんでも迎えられるのではないか。
そんな希望を周囲が微かに抱いた時。
死神は、彼女に向かって大きく鎌を振り上げた。
病に倒れ、何日も高熱にうなされ、日々、その命の灯が小さくなっていく。
浅く苦しげな息をくり返す彼女に、ケイリーたちだけでなく、屋敷で働く者はみな、その生命が消えることのないように、彼女が助かるようにと、心の底から神に祈っていた。
エディルも同じだった。
女家庭教師でしかない自分を、本当の姉のように慕ってくれるアリスティアを、このまま死なせたくなどなかった。
生きて。生きてほしい。
何度も何度も神に祈る。
けれど、その願いもむなしく、アリスティアは衰弱し、昏睡状態になってしまった。
――こうなっては、時間の問題だろう。
諦めたような医師の宣言に、伯爵夫妻をはじめとして、多くの使用人も悲しみの涙を流した。
エディルも、実の妹を失うような、自分の身を切り取られるような悲しみを味わっていたが、一番取り乱していたのは、乳母のケイリーだった。
――お嬢さまは、私が絶対にお救いします!!
今までだって、何度もアリスティアを生き永らえさせてきた。今回だって、きっと大丈夫、絶対に乗り越えられる。
狂ったようにそう叫んだ彼女は、それまで以上に、献身的にアリスティアに奉仕し続けた。時間の問題などとは言わせない。必ず、お嬢さまはお元気になられる。
実際、アリスティアの容態は、ケイリーのおかげで少しは持ちこたえていた。だがそれは、急激な坂道が、緩やかな傾斜に変わっただけのことで、アリスティアの生命が無くなるのは、やはり時間の問題でしかなかった。
――今度は、乗り越えられないのかもしれない。
そんな諦めに屋敷全体がとらわれ、まだアリスティアが亡くなってもいないのに、空気は通夜のように重苦しく垂れこめていた。
――せめて、兄君がご臨終までに帰ってこられたらいいのだけれど。
アリスティアの兄は、今、この国にいない。遠く離れた異国で、見聞を深めている最中だ。
アリスティア危篤の報を受けて急いで帰国したとしても、一か月はかかるだろう。
消えてしまうことが決められている生命なら、せめて最期に、彼女を愛する家族に会わせてあげたい。たとえ、意識がそこになくとも、天に召されるアリスティアのためにも、残された家族のためにも、それぐらいの時間の猶予は欲しかった。
せめて、せめてもの―――。
「さあ、アリスティア。ゆっくりお休み」
伯爵が、やさしくエディルの入った身体を横たえる。
「こうして意識が戻ったのはうれしいが、無理をしてまた悪くなってはいけないからね」
あくまでやさしく、娘を諭すような声。
(違うっ!! 私はお嬢さまではないわっ‼)
声にならない声で叫ぶ。
「そのうち、ライナルトも帰ってくる。それまでに、もっと元気になって、彼を驚かせてやらなきゃね」
少しイタズラめかして伯爵が告げる。だけど、それに乗るように笑えなかった。
違う、違うの。私は違う。
先ほど貫かれた激しい痛みのせいか、本当のことを告げたいのに、声を搾りだすことすら出来ない。
このままでは、私の、エディルの意識は一生、この身体に閉じ込められてしまう。
そんな恐怖が漠然と襲い掛かってくるが、なす術もなく身体に塗りこめられていく。
(嫌っ!! 私はエディルよっ!! お嬢さまじゃないわっ!!)
周囲が、どれだけ自分を〈アリスティアお嬢さま〉として遇しようとも、絶対にそれだけは忘れてはいけない。それだけが、エディルがエディルである、最後のよすがのように思えた。
(忘れちゃダメよ。この身体はお嬢さまのものであって、私のものではないのよ)
たとえ、本当の〈エディル〉の容貌が〈アリスティア〉に劣っていて、境遇が恵まれないものであったとしても。自分がこの身体を自由にしていい理由にはならない。
(いつかきっと、元に戻すわ)
その術が見つかる確証はない。けれど、必ずこの悪夢のような世界を壊して、元の正しい状態に戻す。
それが、何よりお嬢さまのためであり、お嬢さまを愛してやまない伯爵夫妻のためになるのだと思った。
――テイコウナド、ムダダ。
声が、そんなエディルをあざ笑う。
――オマエハ、〈アリスティア〉トナッテ、イキテイクノダ。
(いいえ、負けないわ。絶対に)
ギュッと歯を食いしばる。
「ケイリー」
伯爵夫人が、ようやく治まった涙を拭いて、部屋の隅に控える乳母に声をかけた。
「あなたには、本当になんとお礼を言ったらいいのかしら」
その声につられて、エディルも視線を移した。少し恐縮したように両手を組んで、ケイリーがひっそりと立っていた。
「アリスティアがこうして元気になれたのは、あなたの看病があってこそよ。本当にありがとう」
「いえ、私は乳母としてやれるだけのことをやったまでです」
ケイリーの傍らに、あの黒ヴェールの人はいなかった。
「こうしてお嬢さまがお元気になられたのは、皆さまの願いを、神がお聞き届けになられたからでしょう」
「そうね。神にも感謝しなくてはね」
「はい、そうですとも、奥さま」
(何が、〈神〉よ)
エディルのなかで、軽い怒りがわき起こる。
自分とお嬢さまの意識を入れ替わらせたのは、このケイリーに違いない。漠然とではあったが、そんな確信があった。目覚めて最初に見たのが、ケイリーと黒ヴェールだったから、余計にそう思ったのかもしれないが。
ケイリーが、あの黒ヴェールの力を使って、魂の入れ替わりを実行したのだ。死ぬ運命にあった、アリスティアという存在を生き返らせるために。
そんな悪魔の所業をしておいて、神の名を口にするとは。
牧師の娘として、それだけは許せなかった。
「さあ、アリスティア。ゆっくり休んで、もとの元気なアナタになってちょうだい」
夫人の言葉に、ギュッと口を結ぶ。
夫人が悪いわけではないのだけど、そのセリフに答えたくなかったのだ。
なのに。
「ええ、お母さま。私、もっと元気になりますわ」
口が意志に反して勝手に動かされる。
「愛してるわ、私のかわいいアリスティア」
夫人が、愛娘の頬にキスを落とす。
受け止めたエディルは、ギュッと奥歯を噛みしめる。
自分の身体になったのに、まだ操られている。
悔しさが涙となって、アリスティアの青い瞳からこぼれ落ちた。
エディルの魂が入っているおかげか。
アリスティアの身体は、日ごと元気になっていった。
診察に訪れる医師も、「こんな奇跡があるのか」と感嘆するほどの回復力である。熱もない。身体のどこにも異常はない。
ただ、食欲だけがなかなか戻らないのが心配されたが、それも時間とともに、かすかに回復していった。
入れ替わりのショックで、-世話をしてくれるケイリーへの当てつけもある-、食欲を失っていたエディルだったが、若い身体は、体力が戻るにつれ、生きるために食べることを望んだ。
食事を取れるようになると、気力も体力も身体にみなぎってくる。
消化のいい粥であろうと、滋養のあるスープであろうと、その一口がエディルを力づけてゆく。
それは、エディルがアリスティアになっていたとしても、生きていることの証であり、生きたいと願う本能の存在を示していた。
(元に戻る方法を探すためにも、まずは元気にならなくては)
弱いままでは何も出来ない。
助けてくれる人がいないのであれば、自分が動くしかない。
動くためには、何より体力が必要だ。ベッドの上にいては、何も調べられないのだから。
食べることに喜びを感じ始めた身体への言い訳のように、エディルは食事を取ることを拒まなくなった。
そうするうちに、エディルは、少しづつ床を離れることが出来るようになっていった。
長いこと臥せっていた身体は、筋肉も細く弱っているらしく、ちょっと歩くだけで息が上がり、ふらつく。本来の身体ではなんでもないことが、ひどく重労働に感じられた。
それでも、エディルはもがいた。
誰のためでもない。自分で自分を救うためだ。
「アリスティアが元気になって。こんなにうれしいことはない」
伯爵が、歩く娘の姿を見て涙する。
「もっと良くなってちょうだい、アリスティア。母さまは、一緒に散歩が出来る日を楽しみにしているわ」
夫人の小さくも純粋な願いに応えようと頑張っているわけではない。伯爵の涙に、心が苦しくなる。
(いっそ、本当のことが話せたらいいのに)
何度も真実を打ち明けようと試みるが、そのたびに頭を貫くような激痛が走り、喉の奥を見えない手が抑え込み、言葉を奪われる。意思に反した言葉だけが、口からこぼれ落ちる。
(きっと、あの魔女のせいだわ)
あれから、黒ヴェールの存在を目にしてはいない。今のエディルの周りにいるのは、介護と世話を一手に任された、ケイリーだけだ。
あの黒ヴェールこそが、この入れ替わりという魔術を使った張本人。
あの女をエディルは、魔女と呼んでいた。
いつか、身体が自由になったら、あの魔女を捜し出して、この呪いのような入れ替わりを止めさせてやる。
その一心で、顔も見たくないと思うケイリーの介助も受け入れ、元気になることだけに集中する。
エディルの心が導いたのか。それともアリスティアの若い身体が生命を吹き返したのか。
目覚めてから半月ほどすると、完全に床を離れ、少しぐらいなら庭を散歩出来るまでになっていた。
大嫌いなケイリーに支えられなくとも歩けることに、かすかな喜びを感じる。
「お嬢さまが、こんなにお元気になられて…」
「ほんと、奇跡のようだわ」
すれ違うメイドや、庭の手入れをしていた園丁が、歩くアリスティアの姿に、素直な喜びを表す。アリスティアは、この屋敷で働く人々からも、大切に愛されていた。
孫のように、娘のように、妹のように。
それぞれの立場から、親愛の情をアリスティアに向けていた。
(私は、お嬢さまじゃないわ)
心のなかで何度も叫ぶ。
けれど、ここまで純粋に喜んでくれている人たちを、いたずらに傷つける気にはならなかった。
もし本当にアリスティアが回復したのなら、エディルだってみんなと同じように、手放しで喜んだだろうから。
「心配してくれてありがとう」
「私は、もう元気だから、気にしないで」
彼らにそう伝えるたび、心が切り裂かれるような苦しみと、罪悪感を覚える。
アリスティアのふりをして彼らを騙している自分は、ケイリーや魔女をなじることが出来るような存在なのかと。
「これなら、坊ちゃまもさぞ喜ばれるでしょうなあ」
執事のバーナードが、うれしそうに顎を撫でた。
「坊ちゃま…⁉」
それは、アリスティアの兄、ライナルトのことだろうか。
「先ほど電報が届きました。ライナルト様は、明後日こちらに到着されるということです」
妹の、アリスティアの容態を心配して帰ってくる、この家の嫡男。
また一人、騙さなくてはいけない人が増えることに、エディルの心は激しく痛んだ。
それから二日後。
爽やかに晴れ上がった日の午後、一台の馬車が到着した。中に乗っていた男性は、馬車が停まるのすらもどかしいのか、従僕が扉を開けるよりも早く、自ら飛び出してきた。
「アリスティアはっ!!」
驚く従僕に慌てたように尋ねる。
その若く秀麗な顔には、焦りと不安が色濃く表れていた。
すぐに答えられなかった従僕から視線を外し、階段を数段上がった先で自分を迎えている両親に目で答えを求める。
「おかえりなさいませ、お兄さま」
苛立ちかけていた彼の目が、大きく見開かれる。
両親の後ろから姿を現した少女。その姿は、彼が一番求めていた答えであり、この一か月の間、ずっとその無事な姿を祈っていた相手だった。
「アリスティア…。容態は、もういいのか⁉」
やや間抜けな問いかけであったかもしれない。そこに彼女が立っていること、こちらに笑いかけていることこそ、その質問の答えだというのに。
しかし、ずっと気にかけていたことだからこそ、声に出して問いかけずにいられなかった。大丈夫だという保証を、その声で教えてほしいと思ったのだろう。
「ええ。もうすかっかり元気よ。ライナルト兄さま」
少女、アリスティアがやさしく、兄、ライナルトに答える。少し白すぎる肌をしているが、それでもうっすらピンクに染まった頬といい、生気にあふれた青い瞳といい。妹が、死の淵に立っていないことは、その様子から感じることが出来た。
「よかった…」
素直に安堵の言葉が、ライナルトの口からこぼれた。大きく息を吐き出して、やや大げさに肩を上下させる。
(本当に、心配してくださっているのだわ)
ライナルトの、その声、仕草に、エディルの胸は、ツキンと痛んだ。
ライナルトの願う通り、アリスティアが元気になって、ここに立っていたのなら、エディルだって同じように喜んだだろう。
だけど、今、ここにアリスティアのフリをして、嘘の安心を与えたのは、エディルだった。エディルは、この初めて会う、妹思いの青年を騙しているのだ。
(ううん。ライナルトさまだけじゃない)
屋敷のみんな。伯爵夫妻。アリスティアを案じていたすべての人を、エディルは欺いている。
それが、自分の意思でないにせよ、感じる罪の重さは、エディルの心を苛み続けていた。
「それにしても、アリスティアが元気になったのなら、知らせてくださってもよかったのに」
ライナルトが、軽く文句を口にした。
今、ここに来るまで、何も知らされなかったのだろう。馬車から降りた時の彼の顔は白くこわばっていた。
「ははは。お前を少し驚かしてやろうと思ってね」
すまないなとばかりに、伯爵がおおらかに笑った。
「まあ、アリスティアが元気なら、それでいいですけど」
ライナルトも、そんな父親の姿に、相好を崩す。いたずらを許す気はないのかもしれないが、最悪の予想が外れていた現実を目の前にして、怒るのをあきらめたようだった。
ライナルトが、アリスティアより濃いめの青い瞳を細めて、エディルに笑いかけてくれた。妹への愛情をにじませたその笑顔。
その純粋な笑顔に、エディルは心の底から詫びた。
ライナルトが戻ったことで、屋敷のなかは、一気に慌ただしく動き出す。
長いこと旅に出ていた嫡男の帰郷。その妹の快気祝い。
この二つの祝いを兼ねて、ごく内輪だけだが、ささやかな晩餐の席が設けられた。
出席するのは、伯爵夫妻と、二人の子どもだけだが、それでもいつもの夕餉より豪華な食事が用意された。
エディルもアリスティアとして、この日のために用意された、若紫色のドレスに着替えて出席する。
ビーフコンソメの冷製スープ
パン・ド・サーモン・ア・ラ・リッシュ
ホワイトアスパラガスのオランデーズソース添え
子羊のソテー プランタニェール・ドミグラスソース
雉の卵 パルマンティエ風
つづれ織り風サラダ
冷製アップルパイ
ヴァニラ・デ・ショコラ
出てくる品は、エディルが普段目にしたことのないようなものばかりだった。
(こんなにいっぱい食べられないわ)
コース料理が多いのは知っている。そしてそのすべてを食べなくてもいいことも。
(でも、もったいないわよね)
残った料理は、このあと使用人たちが口にすることも知っているけれど、それでもやはり、もったいないと感じてしまう。
(田舎の…、母さまの料理が、いいわ)
あの、素朴なだけの料理。シチューとパンだけだった小さな食卓。それでも、家族がそろって他愛のないことを話すだけで、幸せだった。ただの豆スープでも、最高のごちそうに感じられた。
(もう、きっと食べることは出来ないわね)
アリスティアになってしまった以上、故郷に帰ることは難しい。家族に会うことも。
(ううん。ダメ。ダメよ。そんなふうに考えちゃ。いつか絶対、もとに戻って、家族に会いに行くんだから)
弱る心を叱咤し、目の前の料理に手を伸ばす。
(あ、アスパラ…)
泣きそうになった目に映ったのは、大好物のホワイトアスパラガス。
マナーにあわせて、小さく切るとそのまま口に入れる。
濃い目のソースの合間に感じる、少しほろ苦いアスパラの味。それは、エディルの胸を郷愁で満たすに十分な味だった。初夏のこのシーズン、よく母親が作ってくれたアスパラ料理を思い出す。
(母さま…)
会いたい。会えないとなれば、よけいに思慕の念は募っていく。
弱気はダメだと、言い聞かせたのに、それでも目頭が熱くなるのを我慢することは出来なかった。
「アリスティア…⁉」
エディルを不審に思ったのか、向かいの席に座る兄、ライナルトが怪訝な顔をした。
「大丈夫かい!?」
「えっ、ええ。大丈夫よ。お兄さま。アスパラガスがおいしくって、つい夢中になってしまったの」
会話を忘れ、思いにふけってしまっていたことを、軽く詫びる。
「アスパラを…⁉」
ライナルトが、一瞬眉根を寄せる。
「ええ。やはり初夏のアスパラは幸せの味だわ」
「…そうだね」
ライナルトが同意してくれた。
「そういえば、お兄さまが行かれてた国は、ここよりずっと暑かったのでしょう⁉」
「ああ、そうだよ」
「そこでは、この季節にどんなものを口にするの⁉」
会話を変え、気持ちを紛らわそうと別の話題をふる。
「この季節もなにも。年中暑い国もあったからなあ」
エディルの魂胆に気づきもせず、ライナルトも気前よく話してくれた。
「あの国では、暑いときこそ、辛い物を食べてたくさん汗をかくようにするんだ」
「まあ、汗を!?」
「香辛料もたくさん効いててね。一口食べるだけで、汗びっしょりになれる」
「それは、すごいわ」
「初めて食べたときは、口から火が出るかと思ったよ」
ライナルトの言葉に笑って見せる。
エディルの笑いに合わせるように、伯爵夫妻も笑った。
(これでいい。これでいいのよ)
エディルは、心の中で呟く。
自分が入れ替わっていることを話そうとしたって、どうせ魔術で言葉が封じられる。心にもないことを口にして、傷つくだけだ。
それなら、当たり障りのないことだけを話して、幸せだけを見せておけばいい。
どうせ誰にも話せないのなら、口にしようと努力するだけ無駄だ。
女家庭教師のときのように、一人で食事をしているわけではない。それなのに、豪華で幸せな食卓にいながら、エディルの心は孤独だった。
ライナルトが帰ってきてから、エディルのアリスティアとしての生活に、かすかながら変化が生じた。
それまでは、身体が回復しきれていないというのを理由に、部屋に閉じ込められていた。外に出たとしても介助という名目でずっとケイリーがついてきていた。本当のことを話そうとしても魔術で封じられ、無理をすれば激しい頭痛に苦しめられるのに、それでもケイリーは、エディルを自分の監視下に置いていた。
それが、今は出来なくなっている。理由は、ライナルトだ。
元気になった妹を、彼はどこへでも連れまわしていた。
温室や庭園はもちろんのこと、ちょっと馬車で出かけたりと、アリスティアを連れまわすことが多かった。
「また、体調を崩されたら」と、ケイリーが軽く抗議をしたが、「僕がついているから大丈夫だよ」と流された。
当主の息子が大丈夫だという以上、ケイリーに出る幕はない。
従僕がついてくる時もあるが、基本兄妹で仲睦まじく過ごす時間が増えていった。
(本当に、ライナルトさまは、アリスティアさまを大事に思われているのだわ)
彼に優しく妹として遇されるたびに、エディルはライナルトの愛情を感じていた。
アリスティアが危篤と聞いて帰ってきたときの、彼の顔。
焦りに顔が白くこわばっていたのが、無事だと知り、安堵にあふれた優しい表情になり、肩の力の抜けた柔らかい笑顔になった。
それだけ、アリスティアを大事に思い、気にしていたのだろう。
(本当に、いいお兄さまだわ)
エディルとして、ライナルトに会ったことはない。
去年、エディルが女家庭教師として、この家に勤めるようになった時、ライナルトはこの家を離れ、遠く異国へと旅立っていたので、会ったことはなかった。
ただ、時折届く手紙をアリスティアから見せてもらったことはある。
旅先で見たもの、聞いたことを感動そのままに書き連ねてある手紙。他愛もないような些細なことまで驚き楽しんでいる様子に、アリスティアとともによく笑ったものだった。
そしてその手紙は、よくアリスティアとの勉強の時間、地理の授業によく利用させてもらっていた。
だからだろうか。
初めて会った人だというのに、知らない人、というかんじがしない。
おかげで、アリスティアのフリをしつづけても、違和感なく彼を兄として接することができていた。
「やあ、これだ、これだ」
図書室で、大きな図録みたいなものを、ライナルトが取り出した。
今日は、出かける予定でいたものの、雨になってしまい、仕方なく家にこもることになってしまっていた。
せっかくの予定がキャンセルになり、ガッカリしているかもしれない妹のために、少しでも楽しませようと、この部屋に誘い出してくれたのだ。
大きなテーブルの上に、図録を広げる。
「うわあ…」
初めて見る、遠い国の絵。
天井の高い、ドーム状の空間。
複雑な模様の折り込まれたカーペットの上に座る人たち。手には見たことのない、不思議な弦楽器。衣装も、エディルの知っているようなドレスではない。ゆったりとした布を巻き付けただけのもの。
それらは色のついていない版画にすぎなかったが、それでもエディルには見知らぬ世界は輝いて見えた。
「どうだい。これが、インドの王さまの住む場所だよ」
パラパラとページがめくられる。
大きな噴水を備えた庭園。周囲を取り囲むように南国の木々が木陰を作り出している。
「王さまたちは、こんな宮殿に住んでいるんだ」
ライナルトは、こんな宮殿に行ったことがあるのだろうか。
「じゃあ、王妃さまは!? ご一緒ではないの⁉」
「えっ⁉ 王妃!?」
普通、公式の場には国王と王妃は並んで立つ。
「ああ、この国で女性はあまり表に出てこないんだ」
「そうなの!?」
「女性は後宮に暮らしているからね。お会いすることは、まずないよ」
ああ。そういえば。ムスリムだと女性は、異性に会うことが許されていないのだったわ。
ライナルトの説明が、自分の持っていた知識と重なり、少しだけ楽しくなる。
こんな状況でなければ、もっとライナルトの持つ異国の知識を聞きたいと思う。そこにアリスティアもいれば、「お兄さまから聞いたお話をもとに、世界のことを学びましょうか」とか言って、いい勉強の場にすることも出来たのに。
きっと、アリスティアならそれを喜んでくれたに違いない。
「アリスティア!?」
思いにふけっていたところを、ふいに呼びかけられる。
「ああ、ごめんなさい、お兄さま」
あわててライナルトに笑顔を向ける。
「そうだ。お兄さま、他の国には行かれたことはないの⁉」
「あるよ。ちょっと待ってろよ」
エディルの要望に応えるように、別の図録を探してくれる。
その背中に、エディルは胸が苦しくなった。
(こんないい人を、私は騙しているんだ)
言葉を封じられてる、行動を制限されているとはいえ、騙していることに間違いはない。現に、今ケイリーがそばにいなくても、自分は真実を話せないでいる。アリスティアのフリを続けている。
他人に操らてた運命とはいえ、それに乗っかってしまっている自分に罪がないとは言い切れない。
「そうだ、アリスティア。これ、やるよ」
本棚からふり返ったライナルトが、ポーンと小さなものを投げてよこした。
窓越しの光を煌めかせたそれを、伸ばした右手で受け取る。
「もう、お兄さま。いきなり投げないで」
軽く抗議すると、すまないと笑われた。悪いとは思っていない謝り方だ。
もうっと、軽くすねてから、手のなかに収まったそれを見る。
「クリスタル…⁉」
銀細工のペンダントに、透明な丸い石がついている。意匠は、この国では見ないような不思議なもの。
(ドラゴン…!?)
エディルの知ってるドラゴンではない。〈龍〉と呼ばれ、東洋では神のように崇められていると言われる存在だ。それが手にクリスタルをつかんでいる。そういう意匠のペンダントだった。
(―――――ッ!!)
一瞬、クリスタルから光が溢れる。電気が走ったような、ビリビリした感覚が全身を貫いた。手のひらが焼けつくような痛みを感じた。
「きゃあっ!!」
その熱さ、眩しさに驚き、思わずペンダントを取り落とす。
「アリスティア、大丈夫か⁉」
落としたペンダントをライナルトが拾い上げる。
彼にとって、どこもおかしなところのない、異国のペンダントなのだろう。不思議そうにペンダントを見るだけで、特に熱そうにも眩しそうにも感じられていなかった。
そっと視線を落とした手のひらは、焼けただれもせず、きれいなままだった。
(なんだったの⁉ 今の!?)
焼けた、と思ったのは錯覚だったのだろうか。
「ごめんなさい、お兄さま」
おそるおそる手を伸ばし、そのペンダントを受け取る。もう一度手のなかに収めたそれは、光も熱も発しなかった。
「それは、東洋の護符だよ。悪いものから、アリスティアを護ってくれる」
「護符…」
悪いものから、という一節に心が引っかかった。熱さと痛みを感じた自分は〈悪いもの〉なのだろうか。
「僕も、おそろいで持ってるんだ」
シャランと軽い音を立てて、ライナルトがシャツのしたから同じものを取り出した。エディルがもらったものと、左右が反転した意匠になっている。
「つけてあげるよ」
言って、ライナルトがペンダントを首にかけてくれた。白い胸元に、ドラゴンの護符が揺れる。
「ちょっと無粋だけど。東洋趣味といえば、悪くないかな」
「ありがとう、お兄さま」
笑いかけはしたものの、自分が〈悪いもの〉とみなされたようで、エディルは自分という存在を不気味に感じていた。
(人の身体を乗っ取っているのだから、〈悪いもの〉に違いないわ)
たとえ、それがエディルの知らないところで決められた運命だとしても。
タイトルの「兄に○○される」で〈○○〉に興味を持たれた方。ゴメンナサイ。〈○○〉に、へんな、ヤラシイ意味は含んでいなくってよ(笑)もしそれで引っかかって読んでくださったのだとしたら…。
はっはっはっ…。見事に罠にかかりましたな、という気分です。
「私たち、入れ替わってる――っ⁉」
某人気アニメ映画にケンカ売ったような設定ですが、(入れ替わり、ダメゼッタイ的な)それでもいいよ、とおっしゃっていただける方。一話一話の文章は多めになりますが、読んでいただけるといもあん。は喜びます。
最近のいもあん。は、先月(12月)から続く体調不良で、ちょっと彷徨っておりました。
現在も、完治して元気!! というわけではないのですが、とりあえず、小康状態を保っているので、ぼちぼち投稿を始めようかな~っと考えております。(なので、温かいお言葉とか、ご評価をいただけると…。イジメナイデネ)
あくまでぼちぼちなので、次回は未定なのですが、なるべく早めにお届けできたらと思います。
全4話の予定です。
よろしく、お願いいたしますm(__)m