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異世界転生(仮タイトル)  作者: キコリ
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第03話「図書館」

レヴィネール王国。祭りに来て自分が居る国の名前を初めて知った。


「ここには王様がいるの?」


と聞いてみると、レミが答えてくれる


「ええ。王都に居るわよ」


「きしだんは何できてるの?」


「ロバルデュー領は演習地に近いから、賑やかしに来てるのよ」


「ろばるじゅーりょー?」


「今私たちが立っている場所よ。ジャン・シルヴェストセイジ・ロバルデュー男爵様の領地。この街の名前は知ってる?」


カッコ良いなと思いながら俺は首を振る


「シルヴェール街よ」


俺はこの日、自分が居る街の名前も知った。

しかし演習地って軍事訓練とかしてる場所だよね?これも初耳なのだが・・


「くんれんどこでするの?」


姉が答えてくれた


「家がある第二森林のずっと北の方に、地の果てまであるって言うぐらいすっごく大きな大森林があるの。

木なんか家よりも太いんだ。そこで演習してるの」


※日本全土がすっぽり入る面積である。魔獣が多く、誰の土地でも無い。


レミが続く


「とっても怖い魔獣が出るんだって」


リーサも続く


「王国内でロバルデュー領が一番近いから、怖い魔獣が来ないように間引きしてるの。

他の国は大きな砦を作ってるのに、森に入って戦ってるのは王国騎士団だけなんだって!」


興奮しながら話す


そりゃすごいと思いながら騎士団を眺める。あれ?照れてる?聞こえてた?

あ、団長さんっぽい人にケツを蹴られている・・ごめんなさい


周りを見渡すと年頃の女性が多い。やっぱり強いとモテるのかー

うん、この騎士団はチート認定しておいた。



俺?魔法陣の練習で、早々に才能が無いと分かりましたよ。



ーーーーー



国、領地、街の名前をしっかり記憶しながら移動する。

お腹が空いてきたので、美味しそうな料理を探す。


「ここのお肉、すっごい良い匂い~~」


と姉がふらふら吸い寄せられる。手をつないでる俺も一緒に。必然的にレミとリーサも。

するとその場に居た集団にレミとリーサが話しかける。


どうやら同じ学塾の子達みたいだ。姉はおとなしく話を聞いている。俺は肉にしか目が行かない。

そう、この香りは絶対胡椒だ。美味いに決まっている。1串20銅貨。これ高いの?安いの?


いよいよ順番が来た。炭焼きで5cm角ぐらいの肉が4個刺さっている。1人1本限定だった。

焼いていた人はナイスミドルなおじさん。ビシッとした服装にエプロン。黒髪のオールバック。

メイド服っぽいのを来たお姉さんがお手伝いしていた。


(スーツとか着たら似合うだろうなあ)


とか思いながらスーツ等、前世の服装を思い出す。このおじさん、ネクタイ付けたらさらにカッコ良くなる。


パンも買ってきて花壇の淵に座って夢中で食べる。美味すぎる。俺でも完食できた。

肉はさくっと噛みちぎれるのに肉汁がたっぷりで甘い。塩コショウも良い仕事している。


「このお肉やすいの?」


パンが2~5銅貨だったから聞いてみる


「ディフィルバイソンの肉だから安いよ。1銀でも安いぐらいのお肉だよ」


とリーサ。1銀100銅貨と聞いてるから驚く。ちなみにパパの月収が平均9銀+冒険者の収入


※ディフィルバイソン。北の大森林に生息する牛の魔獣。

とても大きく強いので、魔獣がひしめく土地にも縄張りを持つ。

食材や素材として捨てる所が無いので、騎士団の軍資金にも使われる。


「お店つぶれないの?」


「ないない。領主様が振舞ってくれるお肉だし。焼いてる人は仕えてるお方でお祭り限定だよ」


「りょうしゅさまは普段食べてるの?」


「北の大森林にしか居ないから貴重だし、祭りで振舞うぐらいだと食べて無いかも知れない・・」


(ジャンさん、イケメンじゃねーか。会った事無いけど)


この時、調味料を思い出してしまった事をまだ考えていなかった。


ーーーーー


食後に出し物を廻っていたら眠くなり姉ちゃんにおんぶしてもらった。


「せっかくだし図書館に行く?開いてるはずだよ」


レミが提案して、図書館に行く事になった。場所を覚える為に必死に目を開ける。

街の中心部より我が家に向けて歩く途中に図書館があった。来る時パパにおんぶしてもらってたので気付かなかったみたい。


中は結構広い。6人席のテーブルが4列×3。本の数も前世の大型書店並み。

司書さんっぽい人が二人居る。


「すごーい」


と姉。リーサが自慢する


「領主様の一番の財産が図書館って言うぐらいだしね」


※この世界の本は全て手書きで複写した物である。


姉は本を探しに行く。椅子に座った俺は即効で寝落ちした。

しばらくして姉に起こされる。


「エディ、起きて。パパとママが来てるよ」


冒険者ギルドに伝言してきたらしい。

返事にならない声を出しながら起きたが、パパにおんぶされ再び眠った。



ーーーーー



翌日、朝食中にふと目に着いた物があった。


(もしかしてカレンダー?)


「パパ、あれなに?」


「カレンダーだよ」


普通にカレンダーだった


「エルが学塾に行くようになったら必要だからね」


姉が思案顔をしている


「エルはどうするか決めたの?」


とママ


俺に勉強を教えると息巻いてた姉が沈黙している。友達ができたのが嬉しかったのだろうか?


「きょうは何日なの?」


「1月11日だよ。エディが生まれた日は4月10日なんだ」


パパに色々教えてもらいながらカレンダーを凝視する。どうやら30日までの様で前世とほぼ同じである。

学塾や学園の入学は2月から。季節の目安は1~3月が春でおよそ3月ごとに四季が変わる。


(前世では秋がほぼ無くなっていたけど、この世界は割と長いのかな?)


「やっぱりエディが一人になるのは心配だから学塾には行かない・・」


と姉。やはりブラコンだ。助け舟を出して計画実行だ


「パパ、3さいになったら図書館でべんきょうしたい」


「「「!?」」」


3人とも驚いてた。3歳で勉強したいと言う子供はそうそう居ない。


「図書館ならレミとリーサにもあえるよね」


俺は姉に向けてニコっとする


「エディは図書館まで歩ける?」


「毎日れんしゅうするよ」


この日から散歩する距離を増やして4月に備える事になった。


ーーーーー


ほぼ毎日同じスケジュールをこなしていると2月に入り、パパは搾乳の仕事で5日ほど出かける事になった。明後日出発との事で準備中だ。


「ぼくも牛さんみたい」


普段飲んでる乳は、ヤギの乳である。


「冒険者の仕事だからね。連れては行けないよ?割と危険なんだ」


「危ないの?」


「牛は人慣れしているけど、移動してくる時に獣も一緒に北上して来るんだよ」


話を聞いてるとこの世界に牧場は無く、牛が季節に合わせて集団移動してくる。

この近くに移動して来るのは2月~4月。南下するのは6月~8月。


真夏は暑くて乳の出が悪いらしく、移動の時期に出産のピークなので搾乳してチーズ等加工品にする。

どの土地でも人が守ってくれるから、慣れているとの事。


「5日って腐っちゃわないの?」


と姉


「指定の馬車で行くからね。近代魔法の空間拡張と時間停止に軽量化もされている荷馬車なんだ」


「「そんな事できるの?」」


「デノーズ商会の馬車だけど、そこにはとても優秀な魔法士さんが居るんだ。

パパのマジックバッグも毎年再構築してもらってるんだ」


「まいとしなの?」


「うむ。何もしないと空間は縮むし、時間も進む様になる。軽量化の効果も無くなる。

毎年手入れしないと普通のバッグに戻るんだ」


(うまい話は無いのか)


商会が抱える魔法士さんは、天才の部類らしい。ちなみに戦闘職では無い。


パパは旅支度をしている。

この時期、薪は十分に足りるし祭りが終わって炭の需要も少ない。


「パパひとりで行くの?」


「5人だよ。5日ごとに他の冒険者達と交代するんだ。エル、リーサのママも来るんだよ」


「リーサのママも冒険者なの?」


「そうだよ。それも銀板の保持者だよ。

それにこの街の住民は誰もが冒険者か元冒険者と思った方が良い」


※銀板。冒険者カードの最高位。冒険者ギルド長と有力者が推薦し、王宮が認証する。

国家の身分保証がある為、世界中のどの国でも活動が可能な取り決めがある。


姉が思案顔をしていた。友達に会いたくなったのかも知れない。


「出発の時、見送りしても良い?」


「ギルドまで来るのかい?」


「うん」


「ぼくもいく!」


どれだけ歩けるようになったか試してみたい。ママも賛成してくれた。


「それじゃあ明後日はみんなで行きましょう。私が仕事してる間、エルとエディは図書館で勉強する?」


「「うん!」」


今日、明日の2日間はわくわくしながら過ごす。歩いて行けるようになったのか知りたいのと、初めて見る冒険者ギルド。

他の冒険者にも会ってみたいし、図書館で何を勉強するかも考える。


そして・・・



転生者エディ、約2歳10カ月。図書館である本との出会いを果たす事になる。

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