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ドキッ! 異世界美女だらけの水泳大会! みたいな妄想をするエルフの首が危うくポロリ

真昼の決闘第四十八話

 なにか流派があるのだろうか、メグが半身になって木剣を構えている。

 竹刀も握ったことのないボクの見立てでは怪しいが、重心をやや後足に傾けているから、もしかしたら防御寄りの構えなのかもしれない。まず右手が上の右構えなのだが、肘を上げて顔の右横で手首を交差させ、刀身を左腕に乗せるようにしている。切っ先こそまっすぐビアンカに向けているが、まるで顔を覆うような、あるいは射撃手がライフルを安定させているような窮屈な構えだ。

 影から覗くメグの目元は険しい。それが怒りよりも、やるからには徹底的にという彼女の生真面目さ故であろう。

 そう信じたい。

 一方でビアンカはあいも変わらず薄ら笑いをして、片手を腰に手を当てたままクルクルと木剣を振り回している。こちらは構えもなにもあったものではない。

 非対称な闘志を燃やす対照的な二人を取り囲むのは聖騎士のレディースアンドジェントルメンズ。

 おべんきょタイムが終わってぞろぞろと訓練場に降りてきてみれば、なんと可愛い妹分が怪我をしたという。しかも手を出したのが一部とはいえ縄張りを争う警備隊員とくれば、てめぇこのやろう上等だ表ぇ出やがれこんちくしょう。原文ママ。

 それもカルロス団長のドスの利いた「よせ」のひとことで収まったのだが。

 ララポーラの必死の説得は効果がなかった。可愛がられてはいるが発言力はないらしい。

 胸に手を当てるララポーラの横で、エリカが同じようなポーズで心配そうにしている。彼女の膝の上でミューズが目をつむっているが、目の見えない彼女は耳で……あ違うなあれ寝てるわ鼻提灯(はなちょうちん)出てるわ。

 ともかく。


「ルールはさっき言ったとおり。魔法は絶対ダメだからね。ゼッタイダメ!」


 ビアンカの魔法がどんなものか理解していないけど、メグのパラディン共々どう考えても致命的に強力そうだ。なん日か前に義理のないゴロツキが数名ボクの前で、みぞれになって絶命したが、それだっていまだに夢に見るのだ。目の前で友達に死なれでもすれば、このさき一生のトラウマと付き合わなければいけない。それは困る。


「心配しないでマリー」

「ああ」


 ビアンカのフワッとした返事と、メグの硬質な声色を聞く。一歩半の距離で向かい合う二人の間に、なんとなれば体ごと割って入る覚悟を決める。たぶんそれをすると後でミューズに怒られるけど、それはそれ。


「エルフ殿、そろそろはじめられよ」


 少し困った顔のカルロス団長が柔らかくボクを急かす。彼よりも周りの騎士たちがしびれを切らしているからだ。

 そんな騎士に混じってルースも鼻息を荒げている。


「ほらマリーねーちゃんさっさと始めろよ!」


 あいつ後でゲンコツだ。

 わかったわかった。ものすごく気が乗らないが、任されたものは仕方ない。


「よーい!」


 右手を掲げる。

 メグの体が軽く沈む。ビアンカが木刀を弄ぶのをやめた。


「はじめ! っていったらスタートだよーーうん、ごめん」


 お約束のボケをかましたら、前のめりになったメグに睨まれた。


「じゃあ……はいはじめ」

「気が抜けるなぁ」


 はなからやる気のなさそうなビアンカがそう言うと同時に、メグが飛び出した。

 右足で蹴り出す。左足のつま先は滑るように地面を捉えたまま。その踵がまだ空中にあるうちに、木剣の切っ先が揺れた。交差した左腕を内側に引いて右手首を返す。絞るような腕の動きは小さく早い。回転して一度跳ね上がった刀身が、そのまま最速で振り下ろされる。

 すばやく振り下ろされた木剣は、ボクの目には殆ど消えたように見えた。

 空を切る音が鋭い。


「おっと」


 それをビアンカは見てから飛んで(かわ)した。

 どんな反射神経してんだ。

 しかしメグの攻撃はまだ終わっていない。彼女の左足はまだ地面を滑っている。

 高速の初手はフェイントだ。後ろに飛び退いたビアンカの体は空中にある。あとはもう、メグが腕を伸ばすだけで、突きが決まる。

 と、思ったボクはやはり素人だった。

 メグは胸の前で小さく構えた木剣の柄を、左手の甲で押し上げる。下がった切っ先は円を描いて彼女の足元から背後へ。背後から頭上へ。

 流れるような動きから、本命の大上段。

 死に体のビアンカを木剣が捉えた瞬間、メグの左足が地面を掴む。

 拍子木みたいな音がした。


「ふわ」


 ルースがぽかんと開けた口からオナラみたいな声を出す。

 ビアンカが飛んでいた。

 右手に持った木刀を背中に回し、長い足をブレイクダンスよろしく大きく振り回したかと思うと、メグの腕ごと蛇のように巻き込んで攻撃を避け、そのまま棒高跳びみたいに足から空中に飛んだ。

 空中で、右腕一本で、姿勢を変えるどころか自分の体を跳ね上げたのだ。

 

「ねぇマリー」


 ビアンカがフワリとボクの横に着地した。


「え、あ、うん、なにビアンカ」

「剣を手放したら負けではないかな」


 いわれて気付いた、ビアンカは手ぶらである。

 彼女の木刀はいまだ呆気にとられて硬直したままのメグの目の前に、直立したまま真ん中辺りまで埋まっていた。

 さっきの甲高い音は、ビアンカが置き去りにした木刀をメグが打ち込んだ音だった……らしい。にわかには信じがたいがそうらしい。


「あーそういう……」


 たしかにそれなら極めて穏便に勝負がつく。それがいいそうしよう。

 ちらりとカルロスを見る。

 騎士団長が形の良い眉を片方上げて首を振る。

 そうですね、ダメですね。


「ダメです」

「ふふふ、駄目かぁ。上手くいったと思ったんだけど。ふふ。なら、新しいのをもらえるかな。これを掘り出すのは大変そうだ。ふふ。あはは」


 それ狙ってやったのか?

 埋まった剣を見てビアンカが笑う。笑いのツボがわからん。おかしいのはオマエの空中機動力だ。


「仕切り直して……いい?」

「いつでも構わない」

「ああ、いいよ」


 気を取り直したメグが応え、ビアンカが同意する。


「はじめ!」


 手刀を切って声を上げる。近所の相撲大会を思い出すな。あの頃は良かった。老いも若きも男も女も、皆フンドシをはいていた。

 だというのに、なんでボクは友人同士の喉笛のえぐり合いをみなければならんのか。水着で油相撲とかじゃ駄目なのか。美人相撲。水着の上から食い込むフンドシ。滑る油。ほどけるフンドシ。ポロリもあるよ。

 カン、という音で我に返る。

 目の前に木刀が迫っていた。


「おわー! はっけよい!」


 よくない。

 とっさに上体をのけぞらせ、あわや首がポロリするのを回避する。エルフの反射神経も伊達じゃない。

 しかしボクは忘れていた、自分が巨乳だということを。

 予想外に跳ね上がったオッパイを木刀がかすった。乳首の辺りに猛烈な衝撃を受け、バランスを取りそこねて足首がグネる。そのまま倒れて受け身をとるはずの手首がグニャリと曲がり後頭部から落ちたせいで首からおかしな音がした。


「あー痛ッ! 痛ーッ! 乳首と手首と足首と首が痛い! 体中の首が全部痛い! すごいこんことある!?」

「あぶないぞマリー! ボンヤリするなら向こうへ行ってくれ!」

「あ、はい」


 メグに怒られた。

 しょんぼりしながら皆のいるベンチへ向かう。選手に退場くらう審判ってなんだろう。

 足が痛い。


「えへへ怒られちゃった」

「マリーさん大丈夫ですか?」

「乳首取れるかと思った」

「はあ」


 呆れと心配が入り混じった複雑な呆れ顔のエリカの横に座り、寝顔のかわいいミューズの頭を撫で回す。


「ふええーミューじゅー、首が全部痛いのー」

「うーんむにゃむにゃ」


 その寝言リアルに言うやついたんだ。


「起きちゃいますよ」

「一回寝たら起きないっぽいから平気。この状況でなんで寝てられるかわかんないけど。ボクのおっぱいはたいた(・・・・)のどっち?」

「メグさんです」


 大丈夫かボクの乳首。陥没してないだろうな。

 二人の試合は白熱していた。中途半端な結果では納得されないことを悟ったビアンカは、先程のやる気のなさはどこへ行ったのかというほどキレのある動きを見せていた。

 メグの鋭い攻撃を踊るようによけ、いなし、払い、一瞬のスキを突いて反撃に転じる。


「ビアンカ強いなー」

「踊ってるみたいですね」


 エリカはいささか興奮しているようだ。

 実際ビアンカは、なんというか美しかった。狙ってはいないだろうから、いちいち動きが芝居がかってるのはご愛嬌。まさに無駄のない無駄に洗練された無駄な動き。だがとにかくその動きが軽い。メグがどっしり構えているから余計にそう見えるのかもしれないが、スッテップを踏んでクルクルと回りながら右へ左へ。蝶のように舞い、というやつである。


「メグねーちゃんだってすげーし」


 ルースはメグ贔屓か。


「うーん、攻めあぐねてるふうかな。ビアンカのフェイントがうまくて手数も増やせない感じ」

「マリーさん、剣術の心得もあるんですか?」


 剣術の心得『も』といったエリカの中で、どうやらボクの株価は急上昇しているらしい。


「ふえ? ボク? まっさかーないない。ていうか刃物見ただけで足震えるもん」


 そうなのだ。

 ボクにはカンも経験もない。なのに妙についていけるのは、丘目八目というわけでもあるまい。

 あるいは多分、全く実感がないがエルフの脳みそが高スペックなのではないか。だから本来は動体視力や状況判断力だって高いのだ。

 それならどうやら完全に持て余してるが。


「最近ごちゃごちゃ悩むのもそのせいかな……」

「どうしたんですか?」

「んーん、なんでもないよ」


 単純になれてきたのか、乳首にスイッチでもついていたのか。どちらにせよ、目の前で何が起こっているのか理解できる。先程の乳首を犠牲にした華麗な回避もまぐれではなさそうだ。

 とはいえボクは筋金入りの臆病者なので、戦えといわれて戦えるはずもない。

 あるいは訓練次第でどうにかなったりするのかもしれないが、かけ値なしの根性なしなのでそれも無理だろう。せいぜい逃げ回るくらいがお似合いか。

 そんなボクとは違うだろうビアンカが、積極的に攻めにまわらないのはなぜだろう。

 ビアンカと目が合う。

 よそ見をするなよそ見を。なんだ。なぜボクを見てほほえむ。……あ、もしかしてオマエ時間切れ狙ってんのか? いや無理だろう、それはダメだぞ。

 ボクが首を振るとビアンカは露骨に顔を曇らせた。まるで子供が泣き出す前みたいな、とにかく初めて見る顔だった。

 次の瞬間ビアンカが消えた。


「あれ? いつ……?」


 エリカがつぶやく。

 ビアンカがメグの後ろに立っていた。

 いつかはわからない。ただ、彼女の黒くて長い髪の残像が、メグの体に巻き付いたように見えた。見えてはいたのだが、それしか認識できなかった。

 あせって振り向くメグの無防備な脇腹を、ビアンカが蹴り飛ばす。


「ちょビアンカ!」

「蹴りがだめとは聞いていない」


 うーん屁理屈。

 騎士たちからブーイングがあがる。

 

「問題ないマリー」


 受け身もとれずもんどり打って転がったメグが、脇腹を押さえながら立ち上がる。凄い痛そうなんだが。折れたりとかしてないだろうな。大丈夫かな。

 反則負けでもとろうかと思ったが、ボクの思いと裏腹にオーディエンスに熱が入ってしまったようだし、カルロス団長など「さもありなん」という顔をしているし、だめか。

 ボクが仕切り直す前に、またビアンカが動いた。というか消えた。


「まただ!」


 騎士の誰かがいう。

 ビアンカとメグとその周辺のいくらかを、この場にいる全員が視界の中で共有している。皆に注目を浴びる槍襖(やりぶすま)のような視線からどのように逃げられるのか。

 魔法ではない。こう動くだろう、という予測の裏をついて、注目するからこそできる認識し難い視界の端へ、その一瞬だけ安全地帯となる意識の外側へ消えている。

 それをビアンカは体ひとつでやっているのだ。


「マリーねーちゃんなんだあれ消えたぞ! 反則だ! すげえ!」


 怒るか褒めるかどっちかにしろルース。

 突然目の前に現れたビアンカにたじろいでメグの動きが止まる。そのスキをついてビアンカが木刀の柄頭でメグの胸を叩いた。鈍い音がしてメグが二、三歩よろける。

 よろけながら反撃を試みるメグの木刀を、ビアンカが腕ごと素手ではたき落とし、そのまま裏拳で顔面を打つ。


「メグさん!」


 割り箸でも割るみたいな音がした。

 ララポーラが悲鳴のような声を出す。その横には、両手で顔を覆うドータと、子犬を抱きしめて固く目を閉じるジュジュが立っている。

 メグの鼻から血が吹き出していた。

 ビアンカが体勢を崩したメグの首に手を回し、勢いをつけた突き刺すような膝蹴りを鳩尾(みぞおち)に叩き込む。


「げぇっ」


 カエルのような声を出し体をくの字に折り曲げたメグに、ダメ押ししとばかりに放つビアンカの膝が今度は顔面にクリーンヒットした。

 ムエタイかな。

 穏便に場を収めるのが無理だと悟ったからか、今度は徹底して痛めつけようとする。ゼロかイチしかないのかアイツは。

 立場が違えばほとんどリンチにしかみえなが、アウェイなのはビアンカの方だし、どういうわけか騎士たちの野次が歓声に変わりはじめているので仕方ない。

 強烈な一撃を喰らいそのまま倒れるかと思われたメグだったが、しかし後ろ足を踏ん張り飛び上がるように体を伸ばす。攻撃直後で身長差の縮まったビアンカの額に、今度はメグがもろとも砕かんばかりの頭突きをかます。

 騎士達からひときわ大きい歓声が上がった。

 これにはビアンカも意表を突かれたらしくい。メグを拘束していた左手が外れる。

 すかさずメグが右から左へ木刀を払うが、ビアンカはそれをバク宙で華麗に避けた。

 必要あるのか、そのバク宙。


「ふふ、コブになるなこれは」


 おそろしく滞空時間の長いバク宙から、スタっ、とオノマトペをるけたくなる見事な着地を決めたビアンカが額をさすりながら言う。

 ふらつくメグが顔の下半を真っ赤染めたまま低く構え直した。目がうつろだ。あれは噂に聞く『気力だけで立っている』と言うやつではなかろうか。

 突然、強い風が吹いて土埃が舞った。

 ビアンカが足を軽く開き後ろ手に構える。

 場を支配する言い知れぬ緊張感。誰もが無言になり、呼吸を止めた。

 ビアンカもメグも微動だにしない。


「この勝負……先に動いたほうが負ける!」

「そうなんですか?」


 エリカがキョトンとしていう。

 知らない。言ってみたかっただけ。


「マリー」

「あ、おはようミューズ」


 膝の上でモゾモゾと身をよじるミューズを、エリカが抱え直した。口元をヨダレで濡らすミューズはまだ半覚醒なのか首を前後にカクカクと動かしている。かわいい。


「メグねぇ、音がしないよぉ?」

「ん? 音?」


 なんのことだろう。首を傾げるエリカと顔を見合わす。


「気絶してるんじゃないかなぁ」


 振り返ってメグを見る。

 彼女の体を支える足がカクンと折れ曲がって頭が下がった。

 力なく倒れ込んだだけの、だがしかしそれは確かに、たとえば居合の達人がまさに刀を抜かんとする、その動作によく似ていた。


「やっば」


 ビアンカの体がなめらかに沈んだ。視界に捉えたのはそれだけだった。

 思考が止まる。いや回転する。そして発火する。

 メグが地面に付す前に、ビアンカの剣が彼女を打つだろう。

 集中力が時間を無限に引き伸ばす。スローモーションの世界で風景が線のようになって長く伸びる。

 一触即発の雰囲気は、それならこの一撃で勝負が決まるのだ。狙うのは頭か。

 滑り込んだ右足から土煙が上がる。

 それからボクは目の前のビアンカに向かって両手を振り上げた。


「真剣白刃どりへごっ!」


 ビアンカの木刀がボクの頭頂部をしたたか叩くのと、メグがボクの背中によりかかるのはほとんど同時だった。


「マリー?」

「いったー! いたた! いたいいたいいたーい! とれなかった! 逆になぜ取れると思ったのか!? 逆に! 逆に痛い! むしろ頭が痛い! 兄さん頭が痛いよ! やだーっ!」

「マリーお兄さんがいたのかい?」

「いないけど痛い!」


 転げ回るボクを見下ろし、ビアンカが不思議そうな顔をする。


「メグさん! メグさん!」

「誰か水桶を持ってきてくれ!」


 ララポーラがパタパタと駆け寄ってきて、カルロスは部下に指示を飛ばしている。


「ねーちゃん何してんだよ……」

「出てない?」

「何がだよ出てねーよ。軽く当たっただけだろ。っていうか急に飛び出して。バカかよ」


 ルースもボクのところに来て、もう見なくてもどんな顔をしているかわかるくらい呆れ返った声を出す。


「馬鹿じゃない! 師匠の頭頂部の気持ちがわからんかボンクラ! なんかよくわかんないけど体のほうが動いたんだぞ!」

「自分でわかってねーじゃんか」

「うるさーい! 思いやれ! 悔しかったらボクを慰めろ!」

「あーはいはい可哀相な頭だよな」


 ひどい。弟子が敬ってくれない。

 というかみんなボクをアホを見る目で見てる気がする。イジメかな? 体を張ったすごいファインプレーだと思うんだけど。褒めるか慰めるかしてくれていいんじゃないの?


「でもマリー。体に当ててはいけないと言ったのは君じゃないか」

「え? あ……れ?」


 そうだった。

 え、なに。じゃあビアンカはそもそも寸止めするつもりだったの? ボクが飛び出したせいで当たっちゃったの? 自業自得じゃん。じゃあボク馬鹿じゃん。

 立ち上がって体についたホコリを払う。


「おほん」


 皆の視線を感じながら咳払いをひとつ。


「この勝負、ボクの痛み分けとする!」

「はぁ?」


 ボクがそう宣言すると、皆一様にポカンとした表情を浮かべ、ルースが口から屁をこいた。

 なんかもう恥ずかしい。顔が熱い。


「マリー、さっきの君、私より速かったね。やっぱりすごいなマリーは」


 ビアンカだけがボクを褒めてくれた。


兄さん頭がいたいよ、は「NIGHT HEAD」って今は通じないネタだろうか

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