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E4 ~魂の肖像~  作者: たま ささみ
10/12

第9章  電脳汚染終息宣言

金沢市での電脳汚染事件は緑川がいなくなった今、表面的に決着したかに思われたが、約3か月後、なんと今度は遠く離れた毛利市で再び電脳汚染が始まった。

 今回の汚染場所は、電脳化したゲルマン民族居住区内であった。

 第3国立科学研究所員が現場へ急行し、侵襲性アスペルギルス症かどうかを確認したが、確定診断とは至らず、引き続きカビの種類を特定することとされた。急ぎ研究が進められてはいたが、免疫力の落ちたお年寄りや免疫抑制剤を使用している人々が次々と亡くなっていく。

 その事実は、毛利市の住民はおろか、メディアを通じ日本国全体を震撼させることとなった。


 カビを持っていたのは金沢市に居住していた緑川だけではなかったのか。

 安室亡き今、真実を語れる者はこの世にはいない。

 金沢のアスペルギルス(=真菌)と違うとすれば、汚染源(=真菌)は何なのか、汚染源のオリジナルはどこなのか。

 皆目見当もつかない状況で、研究所でも大混乱を起こしているという。


 パンデミック(世界的大流行)だけは避けなければいけない。

 だが毛利市から金沢市への移動者は以前にもまして増えていた。金沢市での電脳汚染の際も行われなかったロックダウン(都市封鎖)を強行する大義名分がない今、内閣府の中でも意見は割れていた。


 ゲルマン民族居住区では、移民たちがパニック状態となり、町に出て暴徒化するものさえ出てきていた。

 今回の電脳汚染は教師やスポーツ選手などとの共通項も無く、感染経路は全くもって謎。

 ミステリーの世界に足を突っ込んでいるかのごとく、成り行きを見守ることしかできないE4の面々をあざ笑うかのように致死率のペースは上がっていった。

 

 陸軍から杏と九条に要請があるとすれは、暴徒化する市民あるいは移民を押し黙らせる役割。

 金沢で経験済みの杏だが。あれは真面目に語っても脳が吹っ飛びそうな悪しき感覚を齎すものだった。


 そんなある日のこと。

 剛田が朝早く家から出た。

 まだ眠りの中にいた杏と不破は、剛田がカギを掛ける音で目が覚めた。剛田が自分たちを起こさなかったことを不思議に思った杏がベッドから抜け出す。ベッドから転げ落ち物凄い音を立てた不破も、何食わぬ顔でついてきた。

「早いわね、剛田さん」

「うん、どこに行ったんだろう」

「毛利市」

「それはない」

「そうかしら?」

「なんか嫌な予感がするな、俺」

「出撃準備だったりして」



◇・・・・・・・・・・◇・・・・・・・・・・◇



 E4の朝。

 皆が出勤したのち、ミーティング室に呼び出された杏たちE4は、西條監理官の脇に陣取る剛田から元W4の九条、一条、三条を紹介された。

 3人の簡単な自己紹介が終わると、西條監理官が一歩前に出た。

「先般の電脳汚染の深刻化に鑑み、E4及び特別部隊として元W4の3名を毛利市に派遣する。個々の挨拶は後程。早速現地入りするように」

 剛田が代表して答える。

「了解しました」


 杏も少し驚いた。

 まさかW4がE4と一緒に派遣され、同じ業務を任せられるとは思っていなかったからだ。

 派遣とは名ばかりで、事実上の組み込みではないのか。

 そうなると、杏にとっては心配な点もある。

 E4はテロ制圧部隊として、なるべく相手の命を取らないのが信条である。これに対し暗殺部隊として暗躍してきたW4は、すぐに相手を殺してしまう。

 不破がW4の九条を快く思っていないのは、その面であり、杏だってわかりすぎるくらいにわかる。

 他の連中も、心のどこかでE4に対し壁を作っているかもしれない。


 果たして、うまくやっていけるのだろうか。


 そんな杏の心配を吹き消すかのように、剛田から指令が降りる。

「設楽、八朔はIT室にて今回の電脳汚染源を特定しろ。北斗は毛利市役所に詰めて、情報を集めろ」

 杏が首を傾げながら剛田に尋ねた。

「私たちは」

「今から指示する」

 剛田は少し怒ったような顔をして杏を睨んだ。

「五十嵐と九条は陸軍とのパイプ役を果たせ」

 


 え?

 あたし出撃しないの? 

 どうして?

 それも九条と一緒に、陸軍の下で働けと?

 あんなに恨み深い陸軍と?



 杏は通常、任務の時は常にポーカーフェイスだが、流石にこの時ばかりは思いが表情に出てしまったらしい。

 2年前のマイクロヒューマノイド掃討作戦により陸軍に拒否反応を示している杏の魂は風前の灯である。意識がしっかりしていたからこそ立っていられたが、ふとした拍子で倒れそうなくらいぐらついていた。

 たぶん、この時の杏は怒るというより気概が無い顔をしていたに違いない。


 剛田がまた杏を睨む。

「なんだ、五十嵐。文句があるのか」

「いえ、別に」

 杏の声は怒りというよりは、自分への情けなさに震えていたものだった。

 隣を見ると、九条は落ち着き払っている。

 四條と六条を使い物にならなくされたのに、どうしてこの人はこんなに飄々としていられるのだろう。

 悔しくはないのだろうか。

 もしあたしが九条なら、悔しくて悲しくて、この任務は引き受けられそうにない。


 そんな杏の前で、剛田が指示を続けていた。

「不破と西藤は陸軍総本部の命を受けて死者の埋葬を手伝え。倖田と一条、三条は陸軍総本部の命を受けて感染者の隔離を手伝え。防護服は陸軍総本部にて準備するそうだ。以上」


 皆の顔をじっくりと見まわしていた西條監理官が最初に部屋から出ると、剛田室長はそのあとを追い、そのまま二人で部屋から出ていった。


 杏は、自身への憤怒のあまり、場を纏めきれないでいた。

 設楽が杏の目の前で手を振る。

「チーフ。珍しいですね、何も喋らない」

 杏は、はっと我に返ると設楽を睨んだ。

「設楽。電脳汚染源はいつまでだ」

「はい?」

「いつまでなら特定できる」

「科研よりは遅いかと」

「たわけ。それなら現場に連れて行くぞ」

「そんなー。室長が汚染源の特定って指示出したじゃないですか」

「あれは科研より早く特定しろという意味だ」

「むちゃくちゃですよ」

「前回同様カビなのか、他の細菌なのかくらいは判断できるだろう」

「チーフ。なんで怒ってんのか知りませんけど、僕たちに当たらないでください」


 九条が腹を抱えて笑い出した。

「クール・ビューティーでも八つ当たりする時があるんですね」

 杏の顔がみるみる真っ赤に染まる。

「いや、これは、その」

「僕たちが一番分かっていることです。たぶん、剛田室長は僕とあなたの力を陸軍に見せたくないのでしょう」

 それを聞いて、赤みを帯びていた杏の肌が、元に戻っていく。


 (なるほど、そういうことか)


 剛田さんがあたしを理由なしにミッションから外すわけもない。

 不破も首を竦めながら頷いた。

「そうですね、僕も九条さんの意見に賛成です。チーフの力は陸軍にとって脅威ですから」

 そういいつつも、不破の目の奥には炎が宿っている。九条を意識した発言には違いなかろう。


 陸軍のマイクロヒューマノイド掃討作戦のとき、杏と不破の力は十分に発揮したはずで。

 不破もいたし杏だけが脅威なのではあるまいが、陸軍だって、あれが杏本来の力とは思っていないだろう。

 杏があれこれ考えている間にも、周囲は毛利市出発の準備を整えている。

 結局、杏は何もしないまま、その身ひとつで毛利市に入ったのだった。


 九条たちとのオンラインメモが巧く作動しなかったため、剛田や設楽、八朔も同行し、毛利市の第2国立科学研究所、通称第2科研で剛田を含め全員がオンラインメモのオーバーホールを受けることになったた。

 オンラインメモも順調に作動し、電脳の連結も良好に機能した。


 陸軍は、応援部隊に任務を丸投げしようとしているらしく、指示らしい指示すらない。

 ゲルマン民族居住区では移民たちのパニック状態が深刻な局面となり、町に出て暴徒化する者の数は増える一方だった。

 今回は教師やスポーツ選手などとの共通項も無く、全くもって謎、ミステリーの世界に足を突っ込んでいるかのごとく、成り行きを見守ることしかできないE4+元W4の面々。

 

 そんな中、陸軍から杏と九条唯一指示があったのは、暴徒化する市民あるいは移民を押し黙らせる役割。

 やはり、そうきたか。陸軍は杏と九条の秘められた力を分析でもしたいというのか。

 陸軍に自分自身の力を解き放つことなど絶対に御免だ、杏は心の中で繰り返していた。


 一条は、朝から身体がだるそうにしていたが、午後になり、突然激しい呼吸困難に見舞われた。目の奥も、心なしか蒼い。一条はほぼ健康体で基礎疾患もない。このような目の異状は初めてで、万が一、ということで一条は毛利市にある第3科研研究チームに引き渡された。

 一条を診た医師を含む研究チームは、電脳汚染の汚染源が金沢市でのそれとは違う特殊な新種のカビであることを突き止めたのである。

 そこで、第3科研では感染者に対しオーバーホールし電脳汚染された人々の電脳線を切り、侵食された肺などの当該部位を切除し薬剤投与する手法を勧めた。

 勿論脳を除いた限りだったが。


 これにより電脳汚染は半月を待たずして沈静化していった。


 しかし、悲劇はこの後訪れた。

 第3科研にオーバーホールに行く途中だった一条が、一般人に絡まれ、電脳化していたがために暴行を受け絶命したのである。

 相手は一条の脳を執拗に攻撃し、亡くなった後に司法解剖した一条の他の部位にはほとんど外傷が見られなかった。

 W4でスナイパーの役割を担っていた一条は右手と心臓を義体化していたが、相手が一般人のため手を出さなかったものと思われる。


 一条が息を引き取った日の夕刻。九条は、WSSSのビル屋上から、赤く染まっていく空を見ていた。

 何か嫌な予感がして、杏は九条を探していて屋上に辿り着いた。

 後ろから杏が来たのが分ったように、九条は低い声で話し出した。

「陸軍の拷問でさえ耐え抜いたのに、こんな形で命を落とすとは思ってもみませんでした」

「大変なことだったわ」

「相手が陸軍なら報復してる。復讐してやる。でもね、相手が一般人では復讐すらできない」


 九条は、哀しみとともに、相手が一般人だから復讐することもできないと嘆いた。

 杏も同じだ。E4メンバーがもし怪我でもするようなことがあれば、復讐に向かう。でも紗輝のことは、今、敢えて話さなかった。


 その時、設楽から杏にダイレクトメモが届いた。

(チーフ。八朔と話していたんですが、一条さんの件で)

(何かあったのか)

(ええ。今、一条さんの事件があった場所の定点カメラ解析していたんですが、やっぱり脳ばかり狙って暴行してるんですよ。脳ばかり狙うの、おかしくないですか)

(というと)

(一般人同士の喧嘩なら、大抵、頬に殴り掛かるか腹を蹴るとかですよね、鉄パイプでも持ってない限り頭に殴りかかることはないと思うんですけど)

(そういえばそうだな)

(ましてや一条さんは、電脳化してるとは言え、見た目一般人に見えます)

(そうだな、この格好なら)

(なぜ執拗に脳を狙ったんでしょうか)

 九条が設楽と杏の会話の間に割って入ってくる。

(もしかしたら、ただの喧嘩ではないと?)

(はい。その可能性もあるかと。もう少し定点カメラ解析を続けます)


 九条はダイレクトメモの会話を終えたあと、杏の方に向き直った。

「あなたの部下は優秀ですね」

 杏は笑っていいのか分らず、一言だけ発した。

「そうかも」

「ああ、そういえば」

「何?」

「GPS」

「GPS?」

「ええ。緑川の車に付けていたGPS」

「ああ、失くしたやつ」

「僕たちが外したんです」

「なにっ?」

「安室を尾行してまして」

「で、なんでGPSがわかったの」

「勘ですよ。安室と緑川との関係はわかってましたから」

「ほんとに?」

「嘘です。ハウリングしましてね。緑川の車に取り付けてたやつとウチのとが。だから外させてもらいました」


 杏は思い切り吹き出した。

「ああ、よかった」

「どういたしまして」

「緑川に持っていかれたか、途中で落としたかって気が気じゃなかったから」

 

「でも、どうして安室を尾行していたの」

「安室は必ずどこかでボロを出す、と思っていたからです。E4のアニマルが欲しいくらいだった」

 杏はちょっぴり意地悪そうな顔をする。

「あいつらはね、基本、北斗のいうことしか聞かないの」

「え?あの囮専門の?」

「そう。北斗は真面目だから。バグやビートルの部屋まで掃除するのよ」

「うちではそこまでやれる人間はいないな。E4は退屈しない。個性的な人物ばかりですよね」

「それは褒めてもらってるのかしら」

「もちろん。カメラ解析、少しでも進展することを祈ってます」

 

 九条は、それ以上、口にはしなかった。

 苦楽を共にしてきた一条への弔いなのだろうか。

 それはそうだろう。

 安室に加担したばかりに陸軍に追われ掴まり、激しい拷問を受けたはずだ。

 やっと立ち直って任務に就こうとした矢先に起きた今回の事件。

 九条が一番居たたまれない気持ちでいるに違いない。

 自分が誘った側なのだから。



 1週間後。

 まだ毛利市内で陸軍のテントにいた杏の下に、設楽からダイレクトメモが流れてきた。

(チーフ。一条さんの件なんですけど)

(どうした)

(凄いことがわかりましたよ!)

(何が分かった)

(一条さんを襲ったのは、一般人ではありませんでした)


 設楽曰く、定点カメラ解析に加え人物検索システムを使い4人の身元を探ってみた。

 その結果、日本人ではなく、また、日本国籍を持ったアジア人でもないことが分ったという。

 憂慮すべきは、人物の一人、頭からフードを被りサングラスをかけていた女性が、紗輝の件で重要参考人である女性と同一人物であるということだった。

 

「なんだと?」

 杏は思わず叫んでいた。周囲には陸軍の兵士たちが多くいるというのに。

 慌てて、もう一度時計の右端ボタンを押す。

(本当なのか)

(はい。一条さんを襲った犯人の一味に女性がいたんですが、人物検索システムにかけたところ、頬骨から顎のラインが、Nシステムで撮った紗輝の車に同乗していた女性と、それからバグたちが専門学校で撮った女性と99.9%の割合で同一人物であるという結果が出ました)

(名前は?)

(日本人の中には見当たりませんでした)

(不法入国者?)

(そのようです)

(スパイか)

(かと思われます)

(引き続き、どこに潜伏しているのか当たってくれ)

(了解)



 拳をぎゅっと握りしめる杏。


 紗輝を手に掛けたはずのあの女。

 今度は一条までをも。

 許さない。

 逃げようったってそうはさせない。日本中はおろか、世界のどこまででも追いかけて2人の仇をとってやる。


 杏の顔が余りに真剣だったのだろう、テントの反対側にいた九条が寄ってきた。

「何かわかりましたか」

「少しだけ。やはり一般人ではなかったみたい。それどころか、日本人でもないようよ」

「アジア圏のスパイ、ですか」

「どうやらそうらしいわ」

「にしては、顔が鬼のようですね」


 今迄、紗輝のことは九条に話す気も無かったが、殺害に関わったと思われる人物が同一だとすれば、話さないわけにもいくまい。


「うちに昔、紗輝というスナイパーがいてね」

 

 紗輝は純粋だった。

 それゆえにE4では扱いにくかった。

 紗輝は花屋の女性を見初め、E4を去った。

 その末に、扼殺され亡くなった。

 重要参考人として花屋の女性が浮上したが、今はまだ何も証拠がなく、捕えていない。

 その女性が、今回の一条殺害にも関与している。

 素性はまだ、わからない。


 九条は黙ってその話を聞き入れていた。



 3日後の夜、設楽から続報が入った。

(チーフ。こないだの一条さん殺害の件なんですが)

(進展があったか)

(花屋の女性もそうなんですが、定点カメラ解析で軌跡を辿ったところ、全員が北斗の潜入していた専門学校に出入りしています)

(やはりあそこはスパイの隠れ蓑だったか)

(はい、男性たちはまだ氏名が分りませんが、女性は判明してます)

(なんという名だ)

羽田李華はたりかです。花屋の方で確認を取りました。花屋は辞めたそうですが)

(辞めた?)

(はい、なんでも親の介護で毛利市に引っ越すとかで)

(今は毛利市にいる、というわけか)

(そのようです)

(男性たちの名を調べろ、早急にな)

(了解です)


 羽田李華、なんともスパイらしい名だ。

 あの女は中華国のスパイに間違いあるまい。

 しかし、何の用があって毛利市に来たのだろう。

 今回の電脳汚染だろうか。

 もし、汚染の元凶が中華国だとしたら。

 あり得ないことではない。


 今度は剛田からダイレクトメモが届いた。

(第2科研からフルカスタマイズバージョンのバグとビートルが各2機、E4に届いた)

(あら、嬉しいこと)

(そちらで必要なら回すぞ)

(陸軍に盗られちゃから、今はまだいいわ。あ、ただ)

(なんだ?)

(北斗が潜入してた専門学校にバグたちを置いて、録音機能だけ働かせてちょうだい)

(わかった。どうだ、そちらは)

(思ったより早く終息しそうよ。一条さんのことは残念だったけど)

(設楽から連絡が届いているだろう)

(ええ。こっちで終息が宣言されたら、一度伊達市に帰るわ)



 杏は、不破達にダイレクトメモを送る。

(皆、聞いていたか。一条さんの件に関わっているやつらは、北斗が潜入していた専門学校に関係があるらしい)

 不破が応答してきた。まだ仕事中のはずだが。

(チーフ。こちらの業務もじきに終わりそうです。すぐに引き揚げますか?)

(終息宣言が出るまで、放してはもらえないだろう、それまで待ってくれ)

(了解)


 杏は、毛利市における電脳汚染終息宣言が出るのを辛抱強く待っていた。いつものように指令も力も出さないため、身体が固まるような錯覚に捉われる。

 こういう時は、オーバーホールもいいかもしれない、とさえ思う。

 そういえば、伊達市に戻ったら、オーバーホールが待っている。


 カビなどが混入していないか確認する作業もあり、今度のオーバーホールは時間が長引きそうだ。

 それでも、ここにいて陸軍のパイプ役を務めるよりはよほどマシだと杏は心底思っていた。




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