05
オークの襲撃から暫くして背後のコボルトが目を覚ました。
コボルトは「クゥ~ン」とか細く鳴いた後、体を起して目を擦り辺りを見回しハッとして俺に抱き付きブルブルと震えた。
(そう・・・だよな・・・・・怖かったよな・・・でも、もう大丈夫だ・・・・・)
通じないと解ってはいるが、俺にはそう呟かずにはいられなかった。
どれ位そうしていただろうか・・・コボルトは辺りが静かな事に気が付き、突然立ち上がって辺りを見回し駆け出した。
倒れているコボルトに駆け寄っては揺さぶり、声を掛けては泣き、別のコボルトの所にまた駆け寄った。
コボルトは集落全部を回り終わった後、とぼとぼと俺の前まで歩いてきて大泣きをしながら抱きつき、やがて泣き疲れて眠った。
暫くして目を覚ましたコボルトは立ち上がると辺りを見回して「キュ~ン」と鳴いて項垂れた後、俺から魚を取り出して三匹食べて立ち上がり、倒れているコボルト達を住んでいた小屋の跡に運ぶと土を掛けて埋め始め、最後に自分の親を埋めて俺を抱え泉の辺に移動した。
(まさかとは思うけど・・・自殺とかしねぇよな・・・・・)
コボルトは俺を岸に置いて泉の中に入って行くと、体に水を掛けて洗い始めた。ザバザバと水を掛けながら丹念に全身を洗い流し、少し離れた岸に上がるとプルプルと水を払った後、俺の前に座りじっと見つめて来た。
(どうした?何か言いたい事でもあんのか?)
暫く見つめられていると頭の中に声が響いて来た。
《コボルトより眷属契約申請が来ました。受諾しますか?Y/N》
(え・・・眷属契約って・・・良いのかお前・・・・・)
俺が戸惑っている間もコボルトは身動き一つせず、俺をじっと見つめ答えを待っていた。
(ククク・・・どうやら本気の様だな・・・・・良いだろう。どの道俺は一人じゃ動けねぇんだ、文字通り俺の手足となって貰おうじゃねぇか!!)
《眷属契約申請受諾を確認しました。主従登録には主の名前が必要になります。名前の登録をお願いします》
受諾すると名前の登録を求めてきたので考える。
(名前か・・・・・そうだな・・・やっぱ箱だしこれだろ『パンドラ』!)
《登録名『パンドラ』確認しました。これより固体名は『パンドラ』となります。眷属契約の効果により主従間に精神回廊が確立されました)
(あん?何だ精神回廊って?こいつと精神で繋がるって事か?)
(主様!眷属契約を受け入れて戴き有り難う御座います!)
そんな声と共にコボルトが抱きつき頬ずりしてきた。
(おおっ!?何だ?今のはお前が話したのか!?つーか抱きつくな!頬ずりもやめろ!)
俺が怒鳴るとコボルトは離れてしゅんと項垂れた。
(ご免なさい・・・嬉しかったのでつい・・・・・)
(ああ、もう良いよ。でもお前、良かったのか?俺の眷属なんかになっても碌な事無いと思うぞ)
(そんな事ありません!主様は私よりずっと強いし、何度も助けて貰いましたから!それに光って大きくなった時はかっこ良かったです!!)
(あ、ああ・・・そうか解った・・・・・あ~何か調子狂うな・・・・・さて、俺には復讐と言う目的があるし、そのためには強くならねばならん。お前は俺を敵の近くまで運ぶのが仕事になる訳だが、そのためにはお前も強くならなければならん。解るか?)
(私も強く・・・ですか?・・・・・)
(そうだ、俺は移動手段が無いし蓋が開かなければ攻撃出来ないからな。お前のスピードが勝負の決め手になる。俺を投げても良いが、敵の近くで蓋が開かなきゃどうしようも無いから近づいて蓋を開けるのが確実なんだ)
(なるほど・・・良く解りました)
(それにだ・・・俺様一の眷属が弱いとか・・・・・かっこ悪いだろ・・・ククククク)
(フフフ・・・そうですね。確かにその通りです!私がんばります!)
(そうだ!何時までもお前じゃなんだから名前を付けてやろう・・・そうだな・・・・・狙った獲物は必ず仕留める運命に定められた猟犬『魔犬ライラプス』に肖って『ライラ』と名付けよう。今からお前は『ライラ』と名乗るが良い!)
(らいら・・・ライラ・・・・・私の・・・私の名前・・・・・有り難う御座います!主様有り難う御座います!!)
(おわっ!やめろ!抱き付くな!頬ずりも止めろ!!)
こうして俺の手足となる眷属が出来たのだった。
ここまで読んで頂き有り難う御座いました。




