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外伝 光と闇の双星10

パンドラさんに魔導を教えて貰い始めて二年が経ったの。

その間あたしは魔力操作と科学の基礎をしっかり学んでいよいよ本格的に魔導を学ぶ事になったの。


「先ずはおさらいだ。魔導を使う上で重要なのが属性の把握で、主要六属性は覚えているか?」


「はい!地、水、火、風と光と闇です!」


「そうだ、そして各属性魔導はその適性が無ければ使え無いが、努力次第で誰でも使える属性が有る。それが〝無〟属性だ。時空間魔法や探査、鑑定等がそれに当たる訳だが・・・・・」


相変わらず座学ばかりだけど、知らない事を知るのは楽しくて、学べば学ぶ程何かを掴めそうな気がしたの。


そして一年が経ち、後少しで・・・・・と言う時にお父様に言われたの。


「今日は王宮から使者が来るから家に居るように、いいね」


あたしに何の用だろうと首を傾げてお部屋で本を読んで呼び出されるのを待っていたの。

お昼前に呼ばれて応接室に向かい、使者の方とお話をしたの。


「おめでとう御座います、セレネ様。この度、王太子で在らせられるゲルハルト殿下との御婚約が決まりました。セレネ様にはこれから王妃としての教育を施す為に王宮にて暮らして頂きます」


頭の中がまっ白になったの。今日までそんな話は聞いた事が無かったし、五歳の時に一度会っただけの人と婚約なんてしたくは無かったの。


「・・・・・お父様・・・この話が決まったのは何時の事ですか?あたしはそんな話が有るなんて聞いた事も無いのですけれど・・・・・」


「そう言う話が有るとは聞いていたけれど、私も今知ったよ。これは王命と言う事で良いのかね?」


「はい。ライオネル陛下からの正式な書状も御座います」


「そうか・・・・・セレネ、如何する?」


「お断りします。王命だと言うのであればあたしはこの国を出ます。お父様、お母様、今まで育ててくれてありがとう御座います。ご迷惑をお掛けしたくありませんのであたしの事は勘当して下さい」


あたしは引き止めようとする使者を振り切って何も持たずにパンドラさんの下へ走ったの。






走って走って走り続けた。倒れたら水を掛けられ引き摺り起こされ、走れないなら歩けと言われ、止まる事すら許されなかった。

持たされた棒は次第に太く大きくなり、一本が二本に、二本が三本にと増えて行き、今では六本も担がされている。

毎日限界を超えて動き続けて重たい身体を引き摺る様に家へ帰ると夕食の前後に玄田さんに勉強を教わった。


地獄の様な日々でも人は慣れる物なんだな。


なんて余裕が出て来たある日の事。彼が・・・パンドラさんが遣って来たんだ。


「おお、ヘリオスか?久しぶりだな、頑張ってるじゃねぇか」


気さくに話し掛けて来た彼が僕には普通の人に見えたんだ。あれ程恐ろしかったと言うのに。


漸く、漸くあの時のセレネに追い付けたんだと涙が零れた。


突然泣き出した僕にパンドラさんは「仕方ねぇ奴だなぁ」って言いながら僕が泣き止むまで優しく頭を撫でてくれたんだ。


その後白井さんが号令を出すと、村人達が自宅から家財道具を運び出し、パンドラさんが荷物と共に全員を連れて転移したんだ。


着いた場所は山の天辺を平らにした様な場所で、そこから見下ろした先には

高い建物や広大な畑が広がっていて夢でも見ているのかと思った。


「あっ!兄様なの!!」


呆然と景色を眺めていたら背後から懐かしい声が聞こえた。

振り返るとそこには少し背が伸びて見た事の無いドレスを着たセレネが居て・・・・・


僕達は三年振りに再会したんだ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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