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こつこつと靴音を響かせ三人の男が歩いていた。

薄暗く長い通路の先にある階段を下り、重厚な扉を開き中を見渡す。

部屋の中央には魔方陣で出来た球体が有り、淡い金色に光っていてその向こうには一人の女性が座っていた。

女性の前には文字らしき記号の書かれた石版と、その上には文字らしき記号が次から次へと流れている。


「タニア、進捗状況を報告しろ」


「はい、ご主人様・・・全体的に特に問題なく進行している筈です」


「そうか?我には問題が無い様には見えんがな」


「え?そんな筈は・・・・・」


タニアは石版の上を指でなぞり、流れている文字を操作し顔色を変えた。


「嘘・・・・・何時の間にこんな事に・・・・・」


「この程度の監視も出来んとはな・・・魅了一つ満足に出来んサキュバスなどに情けなど掛けるべきでは無かったか・・・・・」


「も、申し訳御座いませんご主人様!どうかお許しを!」


「もう良い、出て行け!死にたく無ければ二度と顔を見せるな!」


椅子から転げ落ちる様にして駆け出し部屋を出て行くタニアを一瞥して、男は石版を操作した。


「この数日でゴブリン、コボルト、オークが全滅とはな・・・一体何が・・・・・む、これは・・・ヴァイスを呼べ!」


扉の傍で控えていた男の一人が駆け出して行き、暫くして一人の男を連れて室内へと入って来た。


「御呼びでしょうか、我らが主よ」


「来たかヴァイスよ。そなたこれをどう見る」


「む・・・これは外部からの干渉の形跡でしょうか・・・・・かなり巧妙に隠しておりますが、おそらくは・・・・・」


「やはりそうか・・・・・だとすれば、奴しか居るまい」


「おそらくは使徒かと。如何なさいますか、主よ」


「まずは偵察からだ。フロートアイを出せ!敵の情報を集めよ!」


ヴァイスは「はっ!」と返事をすると足早に部屋を出て行った。

主と呼ばれた男が石版を操作して詳細を調べていると、ヴァイスの声が部屋に響いた。


「フロートアイからの映像を其方に回します」


通路や広場の天井付近からの映像が部屋の中に十個流れ、目的地周辺を周回していると次々と映像が途切れた。


「どうしたヴァイス!何があった!」


「申し訳ありません。どうやら死角から打ち落とされた様です」


「むぅ・・・姿すら見せんか・・・・・一番近くに居る眷族の部隊に向かわせるか」


「一番近くとなりますと・・・レッドリザードマン以下百五十匹に為りますが」


「あ奴らか・・・フロートアイと組ませて探らせよ、敵の正体を暴くのだ!」


「はっ!直ちに向かわせます!」






「くっ・・・ブラックベアとビッグボアも略やられたか・・・・・」


「部隊が到着した様です、現地の映像を回します」


「リザードマン十匹にフロートアイ二匹で哨戒に当たらせよ。レッドリザードマンとリザードマンソルジャー五十匹はフロートアイ十匹と広場入り口で待機だ」






「主殿、奴等では荷が重過ぎる様です。次のご指示を」


「元よりこやつ等に期待はしておらんが・・・・・姿すら捉えられんとはな」


「いっそ将軍級を出すか、若しくは撤退を視野に入れては如何でしょう」


「ふむ・・・・・このまま全滅させる訳にも行かん・・・か。高位の者から順次撤退だ、最奥の間の転移陣の使用を許可する」


「む、リザードマン他数種が撤退を拒否しておりますが如何いたしましょう」


「ふん、捨て置け。我が意に背く馬鹿などどうなってもかまわん」


「かしこまりました。撤退先は北の試験場で宜しかったでしょうか?後、転移陣は破壊致しますか?」


「うむ、北でよい。転移陣はそのままにしておけ。最奥の間にバルダーを送れ。奴ならば早々倒される事も無かろう」


「バ、バルダーですか・・・いえ、確かに奴なら抑えられるかもしれませんが言う事を聞きますでしょうか」


「最奥の間に進入してきた者を好きにして良いと言えば言う事を聞くであろう。む・・・自ら姿を現したぞ・・・どう言う積もりだ?」


「犬獣人・・・ですな、しかもまだ若い」


「む、もうフロートアイが全滅したか・・・あれは改良せねばならんな」


「隠密系のスキルを取得出来ないか試してみましょう」


「うむ、頼んだぞ。しかし獣人が使徒とは思えんが・・・・・バルダーが倒されたなら会って見るのも良いかも知れんな」


「そ、それは・・・主殿が謁見なさる様な者とはとても思えませんが・・・・・まさか我が軍に引き入れると?」


「ククク・・・それもまた一興よな。なに、態々姿を現した事が少々気になってな」


「確かにあの状況で姿を現す意味が・・・・・何か裏が有るとお考えで?」


「まあ、考え過ぎかもしれんがな。我は居城に戻る。奴が最奥の間に到達しそうならば呼べ。久しぶりに楽しめそうだ・・・フハハハハハ!」


そう言って主と呼ばれた男は真紅のマントを翻し部屋を出て行くのだった。

ここまで読んで頂き有難うございます。

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