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転生木箱の後日談35

久しぶりに会ったセレネと他愛も無い話をして夕方に見送った。

何かもっと言いたい事が有った様な口振りだったが、明日もまた来ると言うのでその時に聞けば良いだろう。


俺は呆けていた間の情報を手に入れる為にハンスの所へと向かった。引退したと言ってもあいつなら世界情勢を把握してるだろうと思ったからだ。


「お~い、ハンスは居るか~」


「お、何だい、漸く目が覚めたのかい?ハンスもホレスも待ちくたびれてるぜ。もちろんあたいもだけどな!ははははは・・・・・」


こいつも変わらないなと、フォルマを見て一安心してハンス達の居る部屋へと入った。


「いらっしゃい、パンドラさん。漸くお目覚めの様ですが、今度はどんな厄介事です?」


「すまねぇな。長い事呆けちまってよ。それに言わなくても解ってんだろ?取り合えず大まかな事だけで良いから教えてくれ」


「はいはい。ちゃんと纏めて有りますから心配は要りませんよ。ホレス、例の物を」


ホレスから渡された報告書を軽く読む。如何やら俺は一年半近く呆けていたらしい。

その間にあった大きな変化と言えば、年に一度同盟国の代表が集まって会議を開き、全ての国で共通の法を作ると言う事になった事。そして第一回目の会議で二年後を目途に塩の管理を国が行うと言う事が決まった。

後はベルトラン王国では守備兵の増員に伴い、税率を上げる事も決まったそうだ。


「・・・・・おいおい、あいつは馬鹿なのか?完全に時代を逆行してるじゃねぇか・・・そんなにアスタルのやった事が・・・・・いや、俺に対する当て付けか?ハンス、ここに書いてない情報があんだろ?裏で糸引いてる奴は誰だ?ライオネルを誑かしてん奴が居るんだろ、教えろ」


「まぁ塩に関してはうちが遣り過ぎたって所ですかね。一商会が全て握って良い物では無かったと言う事です。それと、まだ確定情報では無いので記載しなかっただけなんですが・・・・・ウェンビー子爵ですよ。私が得た情報では来年には伯爵、東部交易都市付近の領主になる予定です」


「ウェンビー?・・・・・・・・・ああ!ミゲイルの腰巾着だった奴か!!」


「忘れてたんですね・・・・・パンドラさんが施設の撤退をしてから子飼いの連中を使って王都内で人探しをしたり、外務大臣や財務大臣に取り入ったりしているそうです。表向きはトランバルとの交易で功績を上げた事が昇爵の理由らしいですよ」


「人探し?誰を探してたんだ?俺の関係者だったら、態々人を使って探さなくたって簡単に見つかるだろ」


「いえいえ、幾ら探しても見付かりませんよ。王都には居ませんからね・・・タニアさんですよ。如何やらライオネル陛下に献上するつもりだったらしいですね」


「ハッ!俺に対する嫌がらせかよ。徹底してやがんな。それで、大臣関係では何か有るか?」


「これも未確定ですが、マークス様を軍務大臣に据えてケント様を騎士団長に・・・・・そしてライラさんを軍事教官に、セレネ様を王太子であるゲルハルト殿下の婚約者にと言う話が出始めています」


「チッ!・・・表向きケントは守備隊所属になってる所を付かれたか。にしても、ガーランド家を取り込んでの分断工作かよ」


「そうなりますね。ハンス商会にも塩の件で圧力を掛けて来ましたよ。現在取引している商会との契約が切れ次第手持ちの塩は全て国に卸す様にと。その際国民の負担にならない様に卸値も下げろと言って来たそうですよ。うちも舐められたもんですよ」


「やりたい放題で正に王様って感じだな。よし、契約分以外の塩は全て引き上げよう。俺がジェラルドに渡した分でベルトラン王国内だけなら三十年は持つ筈だ。問題は他の国だが、そこはライオネルに泣いて貰おうぜ。リゲルに伝えな『パンドラ島に入れなくなった為に塩以外にも砂糖や香辛料が仕入れられなくなった』って言えってな。転移陣はリゲルとドラン以外にゃ使えなくしておくからよ」


「そうなると、ガーランド家を通して圧力を掛けて来るんじゃないですか?ガーランド家とここが繋がっているのは知っていますし」


「そんなもん『ベルトラン王国にはもう係わらないとライオネルに言った筈だ』で終わりだ。兵士を送り込んで来たら不法侵入で捕まえてやる。それから、ハンス商会から取引先に『ライオネル陛下がパンドラさんを怒らせたせいで大口の仕入先が無くなった』って感じの話をさせればあっと言う間に広まるだろ」


「ああ、それは面白そうですね。世界的に調味料関係の価格が高騰して、その元凶であるライオネル陛下に対する信用度が下がりますし、他国への影響力も落ちるでしょう。それで、ウェンビー子爵の方は如何します?」


「あんな小物は放っとけ、どうせ戴した事は出来ねぇよ。その内、ライオネルの不興を買って没落すんだろ」


そして俺は更なる嫌がらせの為に翌日から動き出したのであった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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