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外伝 光と闇の双星7

妹に、セレネに負けた・・・いつも僕の後ろにかくれるようについて来ていたと言うのに、いつの間にか置いて行かれていた。

僕は逃げていたのだろうか?自分では前に進みつづけていたつもりだったけど、セレネからは〝あれ〟・・・いや、彼から逃げていると言われた。


仕方ないじゃないか。僕にとって彼はきょうふそのものだったんだから。


だからたおそうとがんばって来たと言うのに全部むだだったのだろうか。


セレネは待っていると言ったけれど、僕にはもうどうしたら良いのかわからなかった。


セレネに言われた事が頭の中をぐるぐる回って動けなくなっていたら父上が僕の肩に手をそえて言った。


「漸く人の話を聞けるようになったみたいだね。ずっと何かに取り憑かれた様に闇雲に身体を動かしていたけど、それではダメだって気が付いただろ?」


「・・・・・はい・・・すみませんでした、父上。僕が間違っていました・・・その・・・今からでも追い付けるでしょうか・・・・・」


「それは君次第だね。逃げ続ける相手に追い付くのは大変だよ~。私なんかライラに追い付くのに八年掛かったからね」


「はぁっ!?は、八年ですか!?」


「そうそう、しかも魔術込みでの話で、剣術だけだと未だに敵わない。世界最強の騎士なんて言われているけど、ライラにこそ相応しい称号だと思っているよ。まぁそれは置いておいてだ・・・出来る限り最短で、何が何でも追い付きたいと言うなら力を貸すけど如何かな?」


ニヤリと笑う父上になんだかいやな空気を感じたけど、今の僕にことわる事なんて出来なかった。


たとえそれがあくまのささやきで有ったとしても―――






自分のお部屋でしんこきゅうして心を落ちつかせてお母様のお部屋に行ったの。

お母様はちょっとさみしそうな笑顔で迎えてくれたの。


「これを貴方にあげるから着て行くと良いわ。きっとパンドラ様を驚かす事が出来るから」


そう言って手渡されたのは裾と襟や袖口に白いレースの施された闇色のドレスとボレロだったの。


「それはね、私が初めてパンドラ様から頂いた服なのよ。ちょっと大きいかもしれないけど似合うと思うから着てもらえるかしら」


知ってるの・・・お母様がとても大切にしていた宝物なの。だからお母様がこのドレスといっしょにあたしに何かをたくそうとしている事がわかったの。


きがえるためにお部屋に戻ったら兄様がかばんにきがえをつめ込んでいたの。


「・・・・・必ず・・・必ず追い付くから・・・・・ちがう・・・必ず追いこして見せるからな!」


それだけ言うと兄様は部屋を飛び出して行ったの。どこへ行ったのか知らないけど負けないの!あたしが先に答えを見つけてその先に有るものをつかんで見せるの!


うらにわに有るてんいじんのたてものに入りまほうじんに足をふみ入れ、まりょくを流してパンドラさんの家に向かったの。はなれた所からでもはっきりと彼が居る事がわかったけど、前みたいなこわさは感じなかったの。


とびらを開けて中に入ると前と変わらず二人のお姉様がむかえてくれたの。


「「いらっしゃいませ~。パンドラ邸へようこそ~・・・・・えっと・・・」一人で来たの?」


「セレネ・ガーランドです。今までちゃんとあいさつ出来なくてごめんなさいなの」


「「お兄ちゃ~ん!ガーランドさんが来たよ~!」最近はリビングじゃなくてオーディオルームにいるの。こっちよ」「こっち~」


お姉様達につれられて行った先に有るとびらを開いたらすてきな音楽にむかえられたの。


「何だ~・・・ディアナかミネルバか知らんが、何の用だ~・・・・・」


こちらに背を向けてソファーに座り気だるそうに話す彼を見て、今までなぜこわがっていたのかわからなくなってちょっと笑ってしまったの。


「何だ~・・・何笑って・・・・・・・ライ・・・ラ・・・・・いや・・・セレネ・・・か?・・・・・」


お母様が言った通りだったの。ふり向いてあたしを見た彼はすごくおどろいて・・・あたしとお母様を見まちがえて・・・・・今にも泣きだしそうな顔をしたの・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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