転生木箱の後日談23
ライオネルに調印式の日程を決めさせ、ハンスに伝えて島へと帰った翌日。ユリシス帝国とゲオルグ王国へと日程を伝えに行った。
帝国ではスラムの件で感謝されたが、序だから気にすんなと言ってゲオルグへと向かい、ゲオルグでは王女だけでなく国王、ウォルタード・ゲオルグと会う事に。
ほんと、何処の国でも謁見の間って言うのは似た様なもんだな。あれか?テンプレとかあんのかね?
「お初にお目に掛かる、パンドラ殿。ゲオルグ王国国王ウォルタード・ゲオルグと申す。此度の申し入れはこの国の救いに成るであろう。私に出来る事なら何なりと申してくれ」
「そうだな、俺が懇意にしている商会が支店を出す方向で話が進んでいるってのと、俺も売店位の小さな店を出そうと思っているからその時は宜しく頼むよ」
「おお!そ、それは我が国もパンドラ殿の庇護が得られると言う事で宜しいか?」
「ん~・・・そんな大げさなもんじゃないけど、うちの店を守る序に助ける位はするよ。それにあいつ・・・ヴォルドの事も気に入ったしな」
「むぅ・・・ヴォルド卿の功績は計りしれんな・・・・・これは褒賞を与えねばいかんな」
「ああ、そうしてやってくれ。それと、王女さん達に縁談をと思ってライオネルに聞いたんだが、地位と歳回りの合う者が居なくてな。ベルトラン王国で家を立ち上げると言うなら受け入れるから相手は自分で探してくれってさ。後これは俺からの提案なんだけど帝国との和解と友好の証として御見合いするってのはどうだ?」
「ふむ、悪くない提案だが、直ぐには無理であろうな・・・・・帝国に対する我が国の貴族の印象は最悪と言っても良い」
「まぁ、その辺は俺が口出しする事じゃないが、何時までも過去に捕らわれていたら前には進めないぜ。それじゃ調印式の三日前に迎に来るから宜しく」
言うだけ言ってパンドラが転移で消えると、謁見の間が騒然となった。
「陛下!何故あの様な条件で受けたのです!!僅か五名でなど有り得ません!碌に護衛も付けられ無いではないですか!!」
「帝国と組んで陛下を亡き者にしようと企んでおるに決まっております!どうか御再考を!!」
「しかも何ですかあの態度は!陛下に対して無礼極まりない!!陛下の命で大人しくしておりましたが、それが無ければ即刻斬り捨てておりましたぞ!!」
この国は長年に渡り北の帝国と西の王国相手に国を守り続けて来たと言う実績が有り、武闘派と言うか血の気の多い貴族が多い。それでも軍部は諜報機関が確りとしており、パンドラの事は噂話が誇張では無くほぼ実話である事に確証が有ったが、王都勤めの貴族の内1/3は信じていなかった。その為に今回の件に反対する者も多かったのだ。
「黙れ!!陛下の決定に異を唱えると言うのであれば、そなた達で帝国でもベルトラン王国でも攻め入るが良い!!我等軍部は陛下の命無く兵は動かさん!!貴様等は何も解っておらんぞ・・・この中に他国の中枢に単身で乗り込める者が一人でも居ると言うのか?!あの者はそれを成した上であの態度なのだぞ!我等が得た情報では単身で帝都に乗り込み城門と大聖堂だけで無く帝城を消し去ったのだぞ!これは事実だ!!それだけではない、たった今転移魔法を使ったではないか。良く考えてみろ、彼がその気ならば今直ぐこの場に現れる事すら可能なのだぞ。我等に気取られる事なく城ごと消されてもおかしくないわ!!」
「そこまでにしておけ将軍。彼等の言い分も解らないではないのだ・・・・・だが、今この話に乗らなければこの国はビブリエ教国の様に衰退してしまうと言うのが王家の見解だ。東のトランバル王国の国力が増して来ておるのはベルトラン王国との同盟以降で有るのは明白。そしてパンドラ殿が懇意にしていると言う商会が係わっている事も事実なのだ。彼の商会が我が国に齎す利は図りしれんだろう。それよりも今は赴く人員の選出だ。私とオルティナは決定だが他は誰にしたものか・・・・・」
いっそ新しい外務大臣以外は反対派の重鎮でも連れて行くか?それに帝国が如何出るのか、パンドラ殿が帝国を何処まで掌握しているのかも気になる・・・・・と、ざわめく貴族達から完全に気が逸れる程に深く考え込むウォルタードだった。
ここまで読んで頂き有り難う御座います。