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転生木箱の後日談22

スラムに入って帝国は本当に逼迫していたのだと知った。

建物を修繕する余裕など有る筈も無く倒壊寸前の物も多く、道は狭いし人は転がっているわ、鼻を突く異臭が立ち込めていて、正直先に進みたくなかった。

何かもう色々面倒なんで全部纏めて一掃しちまうかと言う事で、許可を取りに皇帝の所に戻って許可を捥ぎ取ってスラムへと戻った。


「さて・・・只今よりこの周辺一体の清掃を行う!!建物は全て取り壊して立て直すから死にたくなければ逃げる様に!!」


逃げ惑う人々の悲鳴や罵声を完全に無視して靄を出しながらスラム中を練り歩き、全ての建物を消し去って更地にし終わったのは昼過ぎだった。

住む所を失って泣き崩れる者や、俺を射殺さんばかりに睨む者達の中にお目当ての神官達を見付けた。


「お、いたいた。お~い、神官?それとも元神官か?まぁどっちでも良いが、お前らに用があんだよ。ちょっと手伝えや」


「私達に何の用だ!態々この様な所まで来て、関係無い者達にまでこの様な非道な真似を・・・・・貴様!まともな死に方は出来んぞ!!」


「生憎だが俺は死なないし、殺す事も出来ないと思うぞ。それとだ・・・勘違いすんな、俺はここを救いに来たんだ。ざっと見た感じじゃ七~八十人か?これ位なら楽勝だが人手が足りねぇんだ、手伝ってくれ」


碌に食事もしてない奴等だ普通の食べ物より最初はスープが良いだろうと、大鍋で十個の野菜スープと大量の皿とスプーンも出して神官達に配らせた。


「いいか!スープは幾らでも有るからきちんと並べ!!そこ!喧嘩すんなら取り上げるぞ!!怪我や病気の奴は治療もしてやるから近くの奴が教えに来い!!」


手の開いている神官達に治療の必要な者達を一ヶ所に集めさせて薬や栄養剤を渡した。幸い殆んどの者は栄養失調から来ている物だったので投薬と十分な栄養と休息で何とか為りそうだった。


全員に十分な食事を取らせたので、次は衛生面の改善だなと大浴場を設置。男女に分けて神官達の介助で入浴を済ませた者から服を配って行った。そして全員が出揃った所で話を切り出した。


「さてこれからの話をしようか。お前等、真っ当な生活はしたくないか?旨い飯を食って綺麗な服を着て、雨漏りや隙間風の無い家に住んで暖かい布団で眠る・・・・・そんな当たり前で普通な生活だ。尤も今のままでは如何足掻いても手の届かない生活だがな」


静まり返った皆の中からゴクリと息を飲む音が聞こえた。


「今体験した通り、俺は色々作り出せる。だが、お前達を助けてやる義理は無い。お前達の処遇は皇帝陛下から俺の好きにして良いと言われているから、俺に従え無いと言うなら今直ぐ帝都から出て行け。選ぶのはお前達自身だ。自由を求めて帝都から出て行くか、俺に従って真っ当な生活をするかをだ」


まぁそんな事は聞くまでも無い訳で、何か成り行きで全員纏めて面倒を見る事になった。


そんな訳で先ずは住む所だなと、二階建てのアパートをバンバン建てて行った。勿論風呂トイレ付だ。

食事は皆に当番制で纏めて作って貰う。毎回俺が用意するとかめんどいし。

神官達には纏め役と教師役をやって貰うので、男女別の寮と学校に孤児院に治療院を併設し、アパートと纏めて塀で囲んで隔離した。

大浴場は塀の外側に立て直した。利用料を取ってこの施設の維持費に当てるつもりだ。

俺に偉そうな事を言った奴にはここの責任者をやって貰う事にして、全員に衛生管理と読み書き算術に作法を仕込んで貰おう。

規模はでかいがベルトラン王国の焼き直しだ、最初は赤字だろうけど使える奴からハンス商会に送るとかしていけばその内何とか為るだろう。


おっと一つ言い忘れていた。


「お前等良く聞け!犯罪に手を染めた奴は問答無用で兵士に突き出した上で追放だ!!今まで見下して来た奴等を見返せる様に真面目に勉強しろよ!良いな!!」


暫くは様子見だなと責任者に当面の生活費を渡して、ライオネルとハンスへ報告をしにベルトラン王国へと飛んだ。

ここまで読んで頂き有り難う御座いました。

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