転生木箱の後日談19
「パ、パンドラ殿おおぉぉぉ!少し速度をあぁぁ!落として下されええぇぇ・・・ませぬかあああぁぁぁ!!」
「ああ!?何言ってんだ!それじゃ王都に着くのが遅くなっちまうだろ!」
「し、しかしぃ!おわぁ!!と、飛びましたぞ!今!!」
「ちょっとギャップで跳ねただけだって!転倒する事は無いから確り掴まってな!落ちたら怪我じゃすまねぇぞ!!」
砦から続く街道を町や村を無視してフルスロットルで駆け抜ける。
暫くは叫び声を上げていたヴォルドだったが、昼近くになると慣れてきたのか静かになったので、ミラー越しに顔を見てみたら悟りを開いた仏の様な笑みを浮かべていた。
何かこいつ誰かに似ているなと記憶を探ってみたら、ヘリで飛び回った時のアレスもこんな感じだったなと妙に親近感が湧いた。
「お~い、ヴォルド~。門番に説明頼む」
ゲオルグ王国の王都ベインスに着くと、予想通りにぞろぞろと兵士達が出て来て前を塞がれたのでヴォルドに頼んで通して貰う事にした。
「・・・・・ハッ!・・・こ、ここは・・・ベインス・・・なのか・・・・・」
「ああ。だが見ての通りなんであんたに話を付けて貰いたんだよ」
俺が正面の兵士達を指差すとヴォルドは青褪めて、バイクから転がる様に降りると慌てて兵士達の前に出て説明を始めた。
「待てえええぇぇぇ!!私はヴォルド・ワイズメル北東砦防衛隊長だ!!剣を引けぇ!こちらのベルトラン王国王家相談役のパンドラ殿を城へと案内する為に同行したのだ!手出しする者は命が無いと思え!!」
「ワ、ワイズメル卿でしたか!申し訳有りませんでした!!全員持ち場へ戻れ!城への先触れもだ急げ!!」
機転も効くし砦を任されて居るだけは有って結構有名みたいで連れて来て正解だったなと思っていると、あっと言う間に兵が引いて行き馬車が用意されて城へと向かう事になった。
城の応接室でヴォルドと待つ事三十分。外務大臣がやって来て会談する事に為ったので一通り説明をした。
「・・・・・同盟に友好条約ですか・・・それも二カ国同時に・・・・・失礼ですが、我が国と帝国の関係をご存知ですか?帝国が疲弊している今こそ攻め入る好機ではないですか。同盟を結ぶ利が見えませんな」
「ほう・・・・・今現在帝国は俺の庇護下に有るんだが・・・それでもこの話に乗る気は無いと?」
「攻め入るか如何かは私の一存で決められる物ではありませんが、ベルトラン王国とならば兎も角、帝国と同盟を結ぶ利が見えないと言っているのですよ」
「なるほど・・・あんたの言い分は解った・・・・・ヴォルド、お前国王やらないか?」
「「は?」」
面倒に為った俺の突然の提案にヴォルドと外務大臣が理解出来ないと言った声を上げた。
「だから、国王だよ国王。なぁに心配はいらねぇよ、後腐れ無い様に俺がこの国の王侯貴族を全員消してやるからさ」
「ま、待って下され、パンドラ殿!」
「いやぁ、何かもうめんどくさいし、手っ取り早く済ませたいんだよ俺は。それにベルトラン王国と同盟結んだ後に帝国攻めるかもしれないだろ?だったら遅かれ早かれこの国は俺に潰されるんだから今直ぐやっても変わらないって。お前は気に入ったから国王にしてやるし、それで良いじゃん」
「いやいや、少しも良くありませんぞ!この者はパンドラ殿の事を知らぬのです!どうかご容赦を!大臣!そなたも前言を撤回せよ!!」
焦るヴォルドに訝しげな目を向ける外務大臣。
「ワイズメル卿、そなたはベルトラン王国と共謀しておるのですか?とてもこの国の国防を担う者の言葉とは思えませんが?」
「馬鹿な事を申すな!私はこの国の事を思って・・・・・」
ヴォルドと大臣が言い争いを始めてしまい、ヴォルドには悪い事をしたなと反省しつつも何か良い案は無いかと考えを廻らせていると、ドアがノックされて一人の女性が数人の共を連れて入って来た。
ここまで読んで頂き有り難う御座いました。