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俺達は昨日より少し奥に行った所で待ち伏せをしていたが、余り遭遇出来なかった為ゴブリンの集落を目指して進む事にした。途中二十匹程のゴブリンを倒し、集落のある広場近くで様子を見ていた。


(主様見えますか?戦闘中の様です)


(ああ襲撃されてるみたいだな・・・相手は・・・人間か・・・・・)


転生してから始めて見る人間は所謂冒険者と言った出で立ちで剣士が三人、狩人(弓使い)が一人、魔法使いが二人(片方は回復系)の六人・・・いや、一人倒れている短剣使い(盗賊?)を合わせて合計七人パーティだった。

かなり押されている様でじりじりと下がりながら戦っているが全滅するのも時間の問題だろう。

対するゴブリンは三十匹程でその中に1匹一回り大きく赤い色のゴブリンが居た。


(ホブゴブリンか、あいつが指揮を執っているみたいだな)


そのまま眺めていると剣士が一人倒され、矢が尽きたのか狩人が短剣に持ち替えるが防御もままならず、後衛が次々と倒されてついに剣士一人となった時、ホブゴブリンの号令で全員が剣士を取り囲む様に少し離れた。

ホブゴブリンは二歩三歩と剣士に近づきこちらを見てニヤリと笑った。


(あの野郎・・・こっちに気が付いてやがる・・・・・)


(主様・・・どうしましょう?)


俺はその問いに答えず剣士とホブゴブリンの戦いを見る事にした。

剣士と対峙したホブゴブリンは腰に下げた二本の剣を抜き、左手は中段、右手を上段に構え摺り足で間合いを詰めて行く。

剣士は一気に間合いを詰め、袈裟切りに打ち込んだがホブゴブリンの左手の剣で逸らされて右手の剣で首を刎ねられ倒された。

ホブゴブリンは剣に付いた血を舐め、こちらを見てグハハハハと高笑いをした。


(なかなか遣るじゃねぇか、挑発までしやがって。ライラどうするよ)


(主様・・・私の包丁切れ味が落ちて来たんです・・・だから・・・もうちょっと良い刃物が欲しいかなって・・・・・)


(ククク・・・そうか包丁なら予備が有るから交換しとけ・・・・・途中で壊れたら洒落になんねぇしな・・・ククククク・・・・・)


ライラは肉切り包丁を取り替えると立ち上がり、ゆっくりと集落の方へ向かって歩き出した。


(今更言う事は何も無い!俺はぎりぎりまで手は出さんからお前の思う様に全力で行け!)


ライラは立ち止まり「はい!」と返事をした後「アオーン!」遠吠えをしてホブゴブリンに向かって走り出した。

ライラの遠吠えを聞いて十匹程のゴブリンが此方に向かって来たが、ライラは速度を落とさずゴブリン達の間を抜けながら切り捨てて行き、ホブゴブリンの前で立ち止まった。

ゴブリン達は俺達を取り囲みじりじりと近づいて来たが、ホブゴブリンがそれを止めて前に出て来るとニヤニヤと笑いながら剣を構えた。


(ライラ、周りの雑魚は気にするな・・・邪魔をするなら俺がやる。一気に片を付けろ!余裕かました事を後悔させてやれ!)


ライラは両手を下げ軽く腰を落とし上体を左右に振りながらゆっくり近づいて行くと、ホブゴブリンが牽制して来た左手の剣の下を潜り、左脇を抜けながらホブゴブリンの左腕を根元から切り落とした後、振り向きざまに背後から首を切り落とした。


(上出来だ!後は俺がやるからお前は座っとけ!)


ゴブリン達は呆然としていたが、ライラが座ると一斉に襲って来たので、全て吸収してライラのステータスを確認した。


―――――――――――――――――――――――――

 種族:コボルト♀ 名前:ライラ LV20

  HP 120/120 MP 80/80

  筋力:90 体力:90 素早さ:120 技術:40

  知力:40 精神力:50 幸運:20

  スキル:聴覚強化(小) 嗅覚強化(小) 気配察知

   思考加速 剣術

  装備:グラディウス×2

 眷属契約〔契約主:パンドラ〕

―――――――――――――――――――――――――


(むふふ・・・主様、この剣貰っても良いんですよね!)


(ああ勿論だ、俺には使えないしな。それに俺が持っている物の殆どはお前が集めた物なんだから遠慮すんな)


(それはそうですけど・・・やっぱり主様から貰うから嬉しいんですよ)


(そんなもんかね・・・取り敢えず生き残りが居ないかの捜索と、戦利品を集めに行こうぜ)


集落内に生き残りは居らず、戦利品は大した物が無かったが人間の装備と荷物はなかなかの収穫で、保存食や食器類に着替えやランタン、寝袋にテントまであった。

防具類はサイズが合わず装備出来なくてライラが落ち込んでいたが、今後育つかも知れないので取って置く事にした。


(よ~し、ライラが強くなったお祝いをしよう!何でも好きなだけ食べていいぞ!そうだ!色々手に入ったし肉の旨い食べ方を教えてやるよ)


俺はライラに焚き火を起こさせ鍋に油を引いて肉に塩胡椒をして焼かせた。


(わ~・・・なんか凄く良い臭いがしてきました・・・主様)


(焼き過ぎない様に気をつけろよ・・・そろそろ良さそうだな。熱いから皿の上に乗せてフォークで刺して食べるんだぞ)


ライラは肉に齧り付くと目を見開き夢中になって残りを食べ尽くすと、悲しげに項垂れてしまった。


(何泣きそうになってんだよお前は・・・・・)


(だって・・・凄く美味しかったのに、もう無くなっちゃったから・・・・・)


(・・・さっき言ったろ、好きなだけ食べていいんだよ、お祝いなんだから)


その言葉を聞いたライラは、大喜びで俺から肉や魚や茸を取り出して焼いて食べ、デザートに木苺も食べた。


(あ~幸せ~・・・凄く美味しかった~もう食べられません・・・・・)


(ははは・・・そりゃ良かった。明日は移動だ早く寝るといい)


ライラは毛布を被って「何処に行くんですか」と聞いてきた。


(行くと言うより戻るだな。先に進んでも弱い敵しか居ないか外に出るだけだろうし、戻って強い敵を相手にする)


(・・・強い敵・・・・・強くなる為にはやるしかないんですよね、私頑張ります!おやすみなさい、主様)


そう言ってライラは横になり眠りに付いた。

ここまで読んでいただき有難うございます。

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