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転生木箱の後日談7

守備隊の研修を終えたケントは周囲との力量差が開き過ぎている為に、レイル・ガーランドが引退して以降空席となっていた王家特務兵を継ぐ事になったと言う。

俺はケントに発信機付きの収納鞄に様々な物を入れて餞別だと言って渡し送り出した。


「よし、これであいつの居場所は特定出来るな。討伐対象を強化して適度に苦労させりゃ良い経験になるだろ」


酷い発想だと思うが、並みの相手じゃ二、三十人居ても戴した経験になりそうも無いので、全てケントの為だ・・・・・俺の暇つぶしの為じゃないぞ。


そしてその二ヵ月後、俺はライラには内緒でケイオスの所へ向かった。


「良くここへ顔を出せたな。貴様が行き成りあの娘を送り付けて来た時は我を亡き者にする為かと疑ったぞ」


「いやぁ、すまんすまん。でも良い刺激なっただろ?特に将軍共には」


「ふん。まさか僅か一年弱の間にフェイルを越えて来るとは思いもしなかったが、あれで成長途中と言うのが理解出来ん。剣の腕だけで言えば我と打ち合える程に為っているのだ。貴様が何かしたのではないのか?」


「俺がしたのは基礎の時だけだ。あいつは殆んど自力で力を手に入れたんだ、俺の自慢の娘さ」


鼻高々に胸を張る俺にケイオスは眉を顰めた。


「だが、剣だけでは我には届かぬ。我を超えさせたいのであれば魔術を使えねば為らんであろう事は貴様にも解っている筈だ」


「ああ・・・十分理解してるよ。でも少しは危機感を持った方が良いんじゃないか?今後お前を超える存在が出て来ないとも限らないだろ?」


「貴様以外にその様な存在が現れる筈が・・・・・貴様・・・何を企んでいる。それが顔を見せに来た理由か?」


「ククククク・・・まぁそう言う訳だ。今ライラを越える男を育てているんだが・・・そうだな・・・後五年もしたらお前と並ぶだろうよ・・・しかも最弱種の人間だ・・・お前が見下し続けた人族に抜かれた時、お前がどんな顔をするのか今から楽しみだぜ・・・ハハハハハ!!」


「ほほう・・・その挑戦受けて立とう!人族で我を越える事が出来ると言うのならば、その者にこの玉座を明け渡す!!」


「ハハハ!言質は取ったぜ!今更無かった事にはさせねぇから、そのつもりで居るんだな!後八年だ!それまでに必ずお前を超える存在に仕上げてやるからその椅子確り磨いとけや!!」


ケイオスの所を辞去し王都ベルトラへと転移したパンドラは、アスタルとジェラルドに事の経緯を話し協力を取り付けた。


「・・・・・とまぁそう言う訳なんで、あいつに渡す指示書の中に俺が用意する魔物の討伐を入れて欲しいんだ」


「ふむ・・・わしは悪くない提案だと思うのじゃが、そなたは如何思う、ジェラルドよ?」


「宰相と言う立場ではなく、個人的な意見としては〝有り〟ですな。パンドラ殿でしたら他に被害が出る様な真似も、彼が大怪我を負う事も無いでしょうし・・・何よりあの男の悔しがる所が見たいと言うのが一番の本音ですが」


「なんじゃ狡いぞジェラルド。立場を除けばわしだって見たいに決まっておるじゃろう」


「そんじゃ決まりって事で。本来の仕事が勿論優先だからその合間を縫う感じでやらせて貰うぜ」


本人の与り知らぬ所で話は進み、ケントの旅は本来ベルトラン王国に居る筈の無い魔物の討伐と言う余計な任務が増えた旅となるのだった。


「おお、折角じゃから話しておくか。これはまだ決まった訳では無いのじゃが、ライオネルとエリーゼの婚約の打診が東のトランバル王国から来ておる。彼の国とは同盟も結んでおるし、我が国の庇護も欲しいのじゃろう。第一王女をライオネルの妻に、エリーゼを第一王子の妃にと申し出があった」


「そりゃめでたいな!特にエリーゼは俺の為にも早く送り出してやれ」


「それなんじゃが、エリーゼはあれで王族の責務として異を唱える様な事は無かったのじゃが、ライオネルがのう・・・どうやら好きな娘が居る様で、良い返事をせんのじゃ」


「何だ、あの真面目なライオネルらしくねぇな。それなら二人共娶るってのはどうなんだ?」


「それがじゃな・・・相手が魔族らしいのじゃ。勿論我が国では問題ないが、トランバル王国ではまだ受け入れられぬ者も多いのじゃ」


「らしいって・・・ちゃんと聞いとけよそこは。相手が解らなけりゃどうしようもないだろ」


「あやつも解っておるから口にせんのだ・・・エリーゼにも相手にも迷惑を掛ける訳には行かんが諦めきれぬと、そう言う訳じゃ」


「そして外交上も無かった事には出来ないと・・・・・もういっそエリーゼだけ送り出したら如何だ?向こうはそれで縁が出来る訳だし、多少角は立つけど向こうの国民の意識が変わるまで待つしかないだろ」


「ふむ・・・やはりそれしかないかのう・・・・・それでライオネルともう一度話し合ってみるとしよう。すまなかったのパンドラ殿」


そのまま話が進むのだと思っていたが、後日聞かされた話ではトランバル王国の第一王女を迎える事が決まったと言う。なんでもライオネルが告白して振られた為に諦めたのだそうだ。次期国王を振るとか何者だよと思っていたらタニアだったと言う。


ライオネル・・・お前振られて正解だよ・・・・・魔族とか抜きにして、タニアが王妃とか国が傾くだろ・・・・・

ここまで読んで頂き有り難う御座います。

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