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外伝 遺志を継ぐ者4

十五歳になり僕は守備隊へと入隊した。

三ヶ月の研修で気が付いた事は僕が普通では無いと言う事だった。

目標であるライラ師匠を超える事はまだ出来ていないが、そもそもその目標が高すぎたという事と、パンドラさんの訓練が効率的且つ非常識だったと思われる。

配属を決める模擬戦では僕だけが外され参加する事は無く、父上・・・でなく騎士団長に呼ばれ城内の一室へと連れて行かれ、そこには国王陛下と宰相様に近衛の隊長が待っていた。

僕は室内に入ると片膝を付き頭を下げ陛下に礼を尽くした。


「良く来たのう、ケントよ。そなたの報告は受けておる、流石はパンドラ殿と言った所か・・・・・しかし、困った事にそなたの力を活かせる受け皿が無いのじゃ」


「では、一つ提案が御座います。私は国内を巡り害敵の掃討を成したいと存じます。初代様・・・レイル・ガーランドが何を思い事を成したのかをこの身を持って知りたいのです。この三年弱でこの国は豊かになりました。ですがその富を狙う不届き者が増えたと聞き及んでおります。騎士団長が王都の守りを、王都の外は私が、如何でしょうか」


「なるほどのう・・・・・レイル殿の後を追うか・・・・・良かろう、空席となっておる王家特務兵の座、そなたに授けよう」


「有り難き幸せ。ガーランドの名に恥じぬ様全力で事に当たりたいと存じます」


「うむ、ジェラルドよ指示書をガーランド家に届ける様手配を。ケント、そなたは準備を怠らぬ様・・・・・パンドラ殿に挨拶を忘れるで無いぞ」


「はっ!」


こうして僕は初代様が引退以降空席となっていた王家特務兵となり国内を回る事と為った。


翌日、パンドラさんとライラ師匠に挨拶をする為にパンドラ島へと向かった僕は、屋敷から少し離れた所に金属で出来た塔の様な物を見つけた。

まぁ、パンドラさんのやる事だし、と戴して気にも留めずに屋敷の玄関へ向かうと、塔の様な物が轟音と共に炎と煙を吐き出しながら天へと飛び去って行った。

余りの出来事に呆然と立ち尽くし、上空へと伸びる煙を眺め困惑していると、家の窓が開いてパンドラさんに声を掛けられた。


「よう、ケント君久しぶりだな。守備隊の研修は終ったのか?」


「・・・・・あ・・・えっと・・・ああ、そうでした、その事で挨拶に来たんですけど・・・・・何ですあれ?」


「あれはロケットって言ってな、この星の軌道上に衛星を打ち上げたんだ。まぁ話が有るんだろ?入りな」


パンドラさんが言っている事の意味はさっぱり解らなかったが、何時もの事なので屋敷に入り、王家特務兵を拝命した事や、近い内に任務で王都を離れる為に暫くは来られない事を告げた。


「・・・・・へぇ・・・そりゃぁ良い訓練に為りそうだな。え~っと・・・・・・・・・・ほれ、こいつを持ってけ餞別だ」


「有難う御座います。でも、この鞄じゃ小さすぎて長期の旅には向きませんよね。馬車で行こうと思っているので、これは大切に保管させて貰います」


「阿呆かお前は。俺がそんなつまらねぇもん渡すと持ってんのか?良いから中に手ぇ入れてみろ」


「・・・はぁ・・・・・・・・あの~・・・なんか『小屋』が入ってるんですけど・・・・・あ!自転車!わぁ他にも食料とか日用品が・・・こんなに沢山・・・・・良いんですか?!」


「おう、持ってけ持ってけ。長旅で睡眠不足や栄養不足とかで任務に支障を出す訳にいかないだろ。その代わり実践で魔法は使わない事、それと魔力操作の訓練は怠るなよ」


「はい!有難う御座います。これが有れば今すぐにでも出立出来ます!それで・・・その~・・・・・ライラ師匠はどちらに?」


「ああ、あいつは今ケイオスの所だ。魔族は基本脳筋だから技術教官として半年程帰ってこない。と言うのは建前で、色々経験を積ませる為と言うか・・・・・あいつ放って置くとこの島から出ようとしないだろ?先の事を考えるとちょっとな・・・・・まぁ、誰かさんがぁ~攫ってくれると助かるんだがなぁ~・・・・・」


「うっ・・・・・止めて下さいよ・・・今の僕にはそんな資格ありませんから」


「・・・ふぅ~ん『今の』ね・・・・・まぁ良いか・・・それじゃ死なない程度に頑張って来い!」


「はい!行って参ります!」


因みにこの時の衛星はライラさんを見守る為に打ち上げたんだそうだが、実は僕も頻繁に見守られていたと後日聞かされ、過保護だなと思いながらも感謝した。


パンドラさんに挨拶を済ませた二日後に指示書が届き、翌早朝に家族や使用人達に見送られて出発した。


この日から三年間、僕は国内を巡り盗賊や魔物を倒し、各町村で不満等を聞いて周り、国の為、民の為に奔走した。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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