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外伝 遺志を継ぐ者1

それは・・・今まで誰も考えもしなかった。

だが、それを成し遂げる事で今までの常識を変える事となり、当事国のみならず周辺諸国を、そして世界中を巻き込む大きな渦へと発展して行くのだった・・・・・・・・




三カ国合同調印式当日。僕はハンスの村で白井さんと何時もの様に訓練をしていた。村人達の大半は調印式を見に行ってしまったが白井さんは興味が無く、僕はパンドラさんに迎えが来るまで村を出ない様にと言われていた。


午前中は兎に角走る。丸太を抱えて倒れるまで全力で走り続け、回復したらまた走る。

何でこんな訓練をしているのかと言うと、アレスさんがパンドラさんに言われた最初の訓練を改良した物なんだそうだ。


昼食を挟んで午後は手合わせ・・・じゃなく組み手と言うそうだ。

白井さんは武器を使わない。理由は『相手が負けた時に言い訳が出来ない』からで、『武器を持って強くなったと勘違いする奴が多い』からだと言っていた・・・・・御前試合の時の父上の言葉と重なり、あの時の光景が目の前に広が・・・・・パチン!


「いったぁ~・・・・・」


白井さんに指で額を弾かれてしまった。


「組み手中にぼさっとすんな。やる気が無ぇなら帰っても良いんだぜ」


「・・・・・すみません・・・ちょっと・・・昨日の事を思い出しちゃいまして」


「・・・・・ああ、御前試合の事か?お前の親父さん凄ぇよなぁ・・・ヒロさんが瞬殺されたなんて信じらんねぇよ」


「・・・・・僕も驚きました・・・父上が強い事は知っていましたが、それは騎士としての姿で・・・・・その・・・あれが本当の姿なんだなって・・・・・」


「で、どうすんだ?俺に教わるより親父さんに教わった方が良いんじゃねぇの?跡継ぎなんだし」


「そこなんですよね・・・・・何で父上は今まで教えてくれなかったのかなって。剣術は教えてくれたのに・・・・・」


「そりゃぁ息子に危険な真似させたくなかったからじゃねぇの?剣術は護身の為でよ。そもそも何でお前は強くなりてぇんだよ」


「え?・・・それはガーランド家の跡継ぎとして国を守れる様に為るのが僕の役目で・・・・・」


「何だそりゃ?パンドラさんがお前を俺に預けた理由がなんとなく解ったぜ・・・・・お前、真面目過ぎんだよ。お前の親父が継いだのは家名や技じゃなくって英雄と呼ばれた男の意思なんじゃねぇの?国を守るなんてのは誰かに用意されてするもんじゃねぇだろ。自分の意思でやるもんだ・・・・・今日はここまでにしとけ、迎えが来るまでじっくり考えとくんだな」


「・・・・・白井さん!白井さんは何で強くなりたいんですか?!」


「ははは・・・そんな事決まってんだろ!『格好良いから』だ!解りやすくて良いだろ?ははははは!」


想像以上に頭のわる・・・いや、単純明快な答えが返って来て唖然としてしまったけど・・・・・誇らしげに笑う白井さんは確かに少し格好良かった。


一人で訓練を続ける白井さんを迎えが来るまで眺めながらずっと考えていた・・・・・何故・・・どうして強くなりたいのか・・・・・僕自身の意思は・・・・・答えなんて出なかった。


夕方、迎えに来たジェームスと共に王都の自宅へと帰り、夕食の席で父上に直接聞こうと思っていたのだけれどお城での晩餐会に出席しなければならないので帰りは遅くなると聞かされた。


「・・・・・母上・・・僕はどうしたら良いのでしょうか・・・・・」


「あら、いい感じに煮詰まっているみたいね。ガーランドの名が重くなっちゃった?・・・・・ん~・・・この名の意味と戴いた経緯は教えたかしら?」


「え?・・・何か特別な意味が有ったんですか?!経緯の方は国中を周って魔物の被害から町や村を守った褒美としか・・・・・」


「まぁ経緯の方は大体合っているわ、有名な話しだし。意味の方は『国の守護者』なのだそうよ。ジェームス、例の報告書の写しを持ってきて頂戴。初代のレイル様の残した報告書なんだけど読んでみると良いわ。その上でもう一度良く考えて見なさい」


自室に戻りお茶を飲んでいるとジェームスが報告書を運んで来てくれたのだけど・・・・・


「・・・・・・・・ジェームス・・・一体何件有るの?」


「確か三百件程になるかと。大進攻より二十年分になりますし、古い物から写し直しておりますが、何分羊皮紙は嵩張りますので」


「・・・・・三百って・・・暫くは寝不足に悩まされそうだ・・・・・」


頬を引き攣らせながらも今は兎に角切欠が欲しいしと、木箱三つ分に及ぶ報告書の山を古い物から読んで行く事にした。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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