Provide adventure services ~ギルドなぜなに目安箱・第二回~
「もう、勇者しない」
【黒木勇斗語録・MOON キャツチコピー】
>>『第二回・冒険者ギルドのサービスいろいろ』<<
「冒険者ギルド提供でおおくりする『ギルドなぜなに目安箱』。
第二回のテーマは冒険者ギルドに所属する冒険者のみなさんが
漏れなく受けられるギルドサービスについてお答えするっす!」
「えっと、冒険者ギルドかぜ行う冒険者たちへのサービスって、
一般に知られているクエストの斡旋だけではないんですか?」
「違うんだ」
「違うわよバカ。といってもうちら低ランク冒険者は受けられる
サービスも多くないし、大半のサービスには年会費がかかるから、
Cランク冒険者以上じゃないと詳しく知らないのもしかたないか」
「そうっすね~。冒険者は高ランクになるほど有能な人材になるので、
ギルドは率先して高ランク冒険者に様々な特典やサービスを提供して
人材保護と社会保障の面で受けられる恩恵を固めてくるんすけど、
駆け出しFランクから若手のDランクに対しては冷たい対応っすね。
なにしろ福祉サービスや行政サービスはCランクからって規則なんで」
「厳しいんですね」
「しょうがないわよ。冒険らしいことはあまりやらないけど、身分証明の
ひとつとしてとりあえず冒険者ギルドに登録しておこうっていう兼業は
けっこう多いし、ギルドも数千人いるというDランク以下の有象無象に
いちいち構ってらんないもの。文句あるなら早くCランクにならなきゃ」
「そうだよね。そこはサラの言うとおり。DランクとCランクでは世間の
評価も明らかに違う。冒険者はCランクになってようやく正規の冒険者を
名乗れるっていわれるくらいだからね。僕ら若手はまだまだヒヨコだよ。
もっと経験積んでクエストこなして、いっぱしの冒険者にならなくちゃ」
「それもまた冒険者がランクアップを目指す重要なモチベーションっす。
DランクとCランクでは提供されるサービスも段違いっすからね~」
「ちっこいのさん、具体的にはどれくらい違うんですか?」
「Cランク冒険者は純粋に信用と力量があると雇用者からも評価されるので
受けられるクエストの種類も段違いに増えるっすね。駆け出しと若手では
門前払いの中難度クエストは報酬も高額で得られる名誉もかなりのもの。
さらに中難度クエストは当然に全滅の危険がともなうものが多いので、
全滅時の遺族年金、再起不能時の引退年金など保障も発生するっす。
それと冒険者を廃業した後の雇用面のアフターケアもバッチリっす」
「それはたしかに段違いですね」
「引退しても不労所得もらえる年金とかうらやましい……」
「そう思うんなら頑張って実績重ねてランク上げなきゃね」
「ちなみに年金支給はBランク以上の実績残した冒険者に限るっすよ」
「せちがらいなぁ」
「でなきゃ、五年前の勇者一斉リストラや冒険者の続々廃業の不況で
専業冒険者が仕事なくして山賊になる社会現象も起きなかったわよ。
低ランクの一山いくらにいちいち保障してられないのも仕方ないし、
そんな泡沫どもに構ってたら財源がいくらあっても足りないものね。
楽したいなら這い上がれ。ほんと冒険者って徹頭徹尾が実力社会よ」
「でも最近は若手育成のため新規冒険者を対象にした保険もできまして、
そういった保障のためにも冒険者ギルドへの身元登録は必須なんすよ。
で、冒険者ギルドが提供するサービスで最も有名なのが冒険者カード。
冒険者の身元を保証する身分証明の札として長らく冒険者を支えてきた
当カードは、ギルドと提携している国家ならどこでも通用する優れ物。
これのあるなしで雇用主の信用もケタ違いなので、必須アイテムっすね」
「ほんとそうなのよね。冒険者カードって何処でも掲示を求められるもの。
関所に役所に港に空港。銀行に預かり所。それらの利用が札一枚で済む。
いかに冒険者ギルドが大陸全土で社会的信用をもってるかがわかるわ」
「そうなんだ。いままで冒険者の認識票くらいにしか考えてなかった……」
「あんたはもうちょっと冒険者カードの利便性を勉強しなさいオバカ。
いっつも自分のステータスとクエスト履歴しか見ないんだから」
「冒険者カードを紛失したり失効したりするとえらいことになるっすよ。
再発行までクエストが受けられないのはもちろんのこと、冒険者カードは
身分証として扱われてる以上、その国においての身元保証にも関係してて
無いと関所や役所での登録手続きが面倒になるのが厄介なんすよね」
「これひとつで身分証から通行手形にもなるって実際すごいことよね。
Fランクでもこの恩恵が受けられると考えればサービスすごいわ」
「あのぅ、社会的な話になってて追いつけないんですけど……」
「もうサラとクラテルちゃんだけでいいんじゃないかな、今回のコーナー」
「Dランク以下冒険者にも一応ビギナーズサービスってのがあるのよね?
冒険者の酒場に置いてある掲示板利用とか、リューチューブの閲覧とか。
それと全滅したりしたときに遺族に支払われる生命保険もあるんだっけ」
「まず冒険者ランクを問わず冒険者全員が享受できる基本サービスとして、
情報交換所として利用される掲示板の閲覧と書き込みの権利があるっす。
あとギルドの宣伝や配信放送が見られるリューチューブの閲覧(有料)、
オプションとしてギルドが放送しているラジオ番組の受信機貸し出し。
最後に最近になって新しく導入された冒険者保険のサービスっすかね」
「音楽放送やトーク番組が聴けるラジオって暇つぶしに便利なんだけど、
受信機のレンタル料めっちゃ高いんだよなぁ。放送範囲も狭いし」
「しょうがないわよ。昨年から始まったラジオ放送だってまだ試験段階。
これから放送塔が改良されたりして受信の範囲が広がるようになれば、
馬車の中でも放送が聴けて長旅もずいぶんと楽になるんだろうけどね」
「あ、ちなみにこの目安箱コーナーも録音で後日に放送予定なんで」
「へ?」
「なにそれこわい!」