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To Be Continued" Let.s Annihilation " ~胎動5~

     They’re moving to attack position.

         攻撃をしかけるつもりか?


  【黒木勇斗語録・スターウォーズEP5 アベンジャー号の艦長】

 タワーディフェンスの原則は自陣に侵入した外敵を排除することにある。

 自陣といっても個人邸のような小規模から領土ま大規模まで様々。

 攻城戦でいうなら城を攻め落とされることが敗北条件となり。

 戦争でいうなら本陣の総大将が討ち取られることが敗北条件となる。


 ならダンジョンで例えるなら?

 これまた敗北条件はルール次第でいろいろとある。

 ボスを倒される。オタカラを奪われる。中枢に進入される。などなど。

 タワーディフェンスっていうのはフラック戦のようなもの。

 奪われたら終わり、破壊されたら終わり、ここに触れられたら終わり。

 総じて要のコアのあるところまで侵入されたら負けとなる。


 そこに届かせないようにダンジョンマスターはコアを最深部に設置して、

 侵入者を排除するための回廊・トラップ・モンスターを設置するわけだ。

 核となるものの設定はぶっちゃけなんでもいいのである。

 ディフェンスで重要なのは侵入者を排除するための工夫のほうだからね。

 もちろん核が食指をそそる魅力的なものであることにこしたことはない。

 LPを生産してくれる冒険者さんにきてもらわないとこちらも困るし。


「以前にも簡単に御説明しましたがLPを獲得する条件の基本は侵入者さんの

 排除にあります。ダンジョンに侵入してきた冒険者や盗賊や正義の味方を

 ダンジョン核に到達させる前に全滅させることでLPは加算されていきます」


 それは最初の頃に説明されておおまかに理解している基本原則。

 とりあえず侵入者を追い出すなり壊滅させてお帰りいただけるとLPが入る。

 漠然とそういうルールがある程度にはボクらも認知してる。


「それでですね、えっと、ここから細かく説明するんですけど……実は私も、

 計算方式の詳細までは分からないんです。かなり複雑な自動計算なもので」


「そこんところはテキトーでいいんじゃない? 算出はシステム任せで」


 エストはいつだって大雑把だな。

 そういう神経質でない適当さが彼女のいいところでもあるんだけど。


「あんまり小難しいと知恵熱出るから説明は大雑把で」


「あっ、はい、わかりました」


 そのくせ知力ステータスは賢者のリップルなみに高いから困る。

 知性と知能ってベツモノなんだねと悟るわホント。


「まず侵入者がダンジョン内に侵入した瞬間に入場料のLPが加算されます。

 これは先ほども御説明しましたが各人のレベルやクラスが基準になります。

 そこからさらにLPを稼ぐ方法として侵入者の排除を行う撃退LPが存在して、

 端的にいってしまうと侵入者さんをボコボコの血祭りにして皆殺しにすると

 獲得LPにボーナスがドーンって入ってくるんです!」


「血祭りのボコボコでボーナスがドーンって……」


 最近のミルちゃんって時々、テンションに任せたアレな表現するよね。

 ボクらと打ち解けてきたのはいいんだけどエストたちの悪影響が……

 登場初期は清楚で内気で世間知らずだったのに、こんなになっちゃって。

 亡くなられた親御さんにはまことに申し訳なく。


「まず御覧になっていただきたいのは第二次探索隊の撃退LPのところです」


 ミルちゃんが第二次探索隊がダンジョン挑戦してきた日の項目を表示する。

 テストプレイ二回目となる第二次探索隊の対応は、接待プレイ回だった

 マウスリバー探検隊より難易度を上げた。犠牲者を出すくらいの内容で。


「あの日はボス戦で前衛二名が重傷になるギリバトルだったよね」

「それとボス宝箱のトラップ解除に失敗した盗賊が戦闘不能になってたわ」


 第二回テストプレイは初期ダンジョンのルート2に挑戦してもらったが、

 その回は安心と信頼のタマ設計の殺意が活躍しまくりで酷い内容だった。

 場合によってはボス部屋に到着する前に全滅してた。


 ランクはマウスリバー探検隊と同じDの若手でパーティーも鉄板構成。

 前回と異なるのはレベルがマウスリバー探索隊より一回り多いこと。

 メンバーも中級職になっているものもいて、Cランクにいつ昇格しても

 おかしくない一人前ラインにいた実力派パーティーだった。


 ただしリップルから提供されたクエスト履歴を見ると盗賊狩りばかりで、

 レベルはそこそこだけど冒険実績の甘い連中であることが判明している。

 リップルの話だと『こういう』連中はこの御時勢では珍しくないとか。

 マウスリバー探検隊の場慣れっぷりはおにぎりの教育の賜物だとか。


 例えるなら彼らはダンジョン童貞であった。

 ボクらにとっては美味しいお客様であったわけだ。


「あれは爽快だったわよね」

「うんうん、まー、面白いようにトラップにかかることかかること」

「ふふっ、冒険者さんたちはぜんぜん面白くない顔してましたけどね」


 みんなして思い出し笑い。

 あんときはマスタールームで大爆笑だったもんなー。

 落とし穴や毒沼に始まり、落石に毒ガス、振り子の丸太に金ダライ。

 運営側としてあれだけトラップに引っかかってもらえると感無量。

 半死半生になってたむこうさんはたまったもんじゃないだろうけど。


 麻痺・毒・混乱のバッドステータス祭りだったから回復役が三名の

 六人構成でなかったら道中で詰んでたねアレは。ヒーラーは大事。


「そのケースなんですが微量ではありますがトラップLPというものが

 ありまして、コンボによる連動ボーナスも併せて加算がありました。

 これはトラップの質が基準になりますので初期トラップを運用した

 今回のケースでは加算される数値そのものは低く抑えられています」


「つまり質の高いトラップで大掛かりなコンボ決めると美味しくなると」

「理論的にはそういうことになります。設備に必要なLPも多くなりますが」


 タマが大喜びするルールだなぁ。


「第二回のテストプレイで戦闘不能になった冒険者は最終的に四名。

 ボスを撃退してゴールに到達されましたので内容的には敗北ですが、

 ここで四名分の撃退LPおよびパーティー半壊の獲得LPが発生します。

 個人よりもパーティー、パーティーよりもアライアンス、多人数ほど

 団体規模で排除したときの加算LPは大きくなると思ってください。

 ゴールにたどり着けずに全滅もしくは撤退ならもっと増えたのですが」


「撃退に成功したときのおおまかな計算式は?」


「侵入者死亡なら基準値の十倍。戦闘不能ならば二倍くらいでしょうか。

 パーティー全滅かつ皆殺しの場合は条件によっては複合で100倍とも。

 ただうちの場合は最高の勝利で『全員が戦闘不能の撤退』に留めている

 縛りルールで運営していますので、想定して基準の10倍が最高益です」


「そこはリピーターとして再挑戦してもらう前提だから問題ないかな」

「長期的に見れば皆殺しにするよりもオトクになるものね」


「でも、短期的、四半期を基準に見ると50万LPを荒稼ぎするなら……」

「ダーク路線の短絡的な思考をしてしまうのもにべなるかな」


 王国軍からなにまで敵に回すことになるからやらんけど。


「最後に、今季最高益を叩き出した第三次探索隊のケースですが……」


 その回はたしか──


「ボクがダークナイトとして初仕事をした全滅テストの日か」


「何度聞いても名前がダセェ」


 おだまり。


 

 

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