Adventures listen to radio ~ギルドなぜなに目安箱・第七回~
『中国にはね、『匹夫の勇、一人に敵するものなり』っていう諺があるの。
無闇に戦いを求める愚か者の勇気は、
一人の敵を相手にするのが精一杯って意味よ。
スネークはたった一人で敵の中に潜入してるんだから、
やたらと戦闘を仕掛けたりしないで、慎重に行動してね。』
【黒木勇斗語録・メタルギアソリッド メイ・リン】
>>『第七回・続々ステータスもろもろを知ろう』<<
「長らく放送してきましたギルドなぜなに目安箱コーナーもついに七回目」
「冒険者基礎知識編として続いてきました本放送もついに今回で最終回っす」
「ひとまず、みたいだけどね」
「しばらくたったらまたやるみたいだからリスナーは寂しがらないようにね」
「なんやかんやで想定以上に続いている冒険者ギルドラジオのミニコーナー。
最終回の内容は引き続いて冒険者カードのステータス事項に記載されている
能力値の解説っす。筋力・技巧・知力・信仰の四つのあとに控える項目は」
「えーっと、冒険者の生命力の度合いを示す『耐久』と」
「それと冒険者の精神力の強さを表す『精神』ね」
「最後に冒険者の運の強さを数値化した『幸運』ですね」
「はい、今回はその三つのステータスについて順ずつ紹介していくっすよ」
>>『耐久値【vitality】』<<
「耐久値ことVITは個人の生命力の強さを表す数値だね。
筋力とともに前衛職、とりわけ盾役にはなくてはならないステだよ。
耐久値が高いということは、そのまま死ににくいというのと同義だから」
「言葉の通り、致死ダメージに達するまでの耐久度が単純に上がるのよね。
筋力が高い冒険者は装備可能重量も上がるから硬い重防具がつけられる上、
さらにそこから耐久値によるタフさも加えられるから頑強になっていく。
おにぎり教官がまさにそれで、筋力と耐久にステをガン振りした重戦士。
あそこまでガッツリいくともう人間戦車と呼んで差し支えないレベルよね」
「このステータスだけは戦士系なら重も軽も問わずみんな鍛える重要項目。
特に重戦士は軽戦士や騎士みたいに技巧や信仰に割り振る必要がないから、
筋力と耐久に集中させてもいい。より重く、より硬く、よりタフにって」
「マウスもわりと耐久値に傾けてステータスを強化してるとこあるわよね」
「……どっかの幼馴染がツッコミで平気で攻撃魔法ブチ当ててくるからさ」
「まったく酷い幼馴染もいたものね。次は火属性耐性スキルもとりなさい」
「まったくだよ」
「ワハハ(青筋)」
「ワハハ(冷汗)」
「うわぁ、なんなんすかね……この二人の独特の空気圧……」
「えっと、耐久値は生命の強さの数値と考えていただければわかりやすいです。
他に毒を筆頭とした肉体ステータス異常にも抵抗値がつく特性がありますね。
いろいろと役得が多いステータスのため、強化に必要なポイントは多いですが、
前衛はこのステータスを平均値以上まで鍛えて損はありません」
「低いと単純に死ぬもの。魔法使い職はマイナス補正かかるからマジで辛い。
改良が進んでない昔の魔法使いは耐久一桁なんて珍しくなかったらしいし。
今でも耐久の低いエルフの魔法使いは最悪の場合は初期値が1なんだって」
「……それ……タンスのカドに足の小指ぶつけただけで死にそうっすね」
「なお、魔法使いなのに筋力と耐久値が戦士なみにあるヤツがいるらしい」
「それ以上つっこんだら焼くわよ」
>>『精神値【Mind】』<<
「これは後衛職の私が説明するわ。精神はMND、つまり心の強さの数値ね。
これは魔法やスキルを使用するのに必要な魔力とそのまま直結してるんで、
精神値が高ければ高いほど魔法やスキルを多く使用できることになるのよね」
「一見すると魔法使いや僧侶みたいな魔法職専用のステータスに見えるけど、
その実はスキルを使用する職業すべてに欠かせないステータスになんだよ」
「そうっすね。命に関わる耐久値の次に必要なステータスっすね」
「他にも精神力は意志の強さでもあるため、精神のステータス異常抵抗や
恐怖判定にも強い影響を与え、スキルや魔法判定にも密接に関わってきます」
「高位魔法や上級スキルほど必要魔力が高くなるから無視できないんだよね」
「まぁ、戦士系は必殺の攻撃スキルをひとつ使える程度に上げるのが基本ね。
一方で魔法職は多数の魔法を覚えると魔力のやりくりが大変で大変でもう。
こういうとき精神値が生まれつき高いエルフや天空人が心底羨ましいわ」
「むこうさんもむこうさんで似たような愚痴をドワーフに言ってるっすよ」
「精神値が高いぶん耐久値が低いですもんね。エルフさんも天空人の方も」
「世の中は『ないものねだり』で円環が出来る。とある賢者のおことば」
「うまくできてるわよね。この世界の種族の得手不得手のジャンケンって」
>>『幸運値【Luck】』<<
「最後のステータスは冒険者間でも不確定要素の謎ステとされる幸運っす」
「こういうのも数値化できるって、冒険者カードってすごいんですね」
「あくまでも目安っすよ」
「そうね。その日の星の巡りやバイオリズムで変動するとかいわれてるし」
「LUKって物理的に目に見えないからほんと謎のステータスだよ」
「一説には幸運はステータス判定で微量な補正をかけるとか言われてるわ。
うちのパーティーで幸運の高いチックとか見てるとなんとなくそう感じる。
普通なら回避できないような罠や攻撃を偶然にかわしたりすることあるし」
「あー、小人族ってそういう妙なところでラッキーがあるっすよね。
あと幸運の神である風竜神の信徒たちもで幸運値が高かったりするっす。
もっとも幸運値が高ければ恵まれた人生が保障されるかといえば……」
「実際はそうでもなくて、場当たり的なとこでしか発揮されない不具合。
だから幸運値は全体的な運勢とはまったく別のとこで判定されてる説」
「だけど、これしくじったら死んでたっていうトコで変な影響与えることも
あるから、初期値のまま放置できないステータスでもあるのよね」
「オカルトの域は出られないけどなんとかく上げたくなるよね」
「このステータスが高ければ確実に博打で勝てるっていうくらい明確に
数値の差が見えるわかりやすい効果ならギルド的にもよかったんすけど」
「そんな露骨な効果だったら小人族が世界を征服してるわよ今頃」
「これを上げるスキルポイントの余裕があるのなら、ほかのステータスに
使えって言われる程度の価値。だからといって完全には無視できない。
数値が高いと『たまたま』レベルで成功しやすいのは確定的に明らか。
それが幸運値という不思議なステータス。実はここだけの話なんすけど」
「この幸運値、ダンジョンのアイテムドロップに関係してゴニョゴニョ。
幸運値が高い人がパーティーにいるとレア率が僅かに上がるという……」
「え?」
「牛おっぱい、それマジ?」
「あくまで、噂ですけどね♪」
「というわけで、ここまでお送りしてきました目安箱のコーナー。
以上をもちまして本放送は第一部完で終了とさせていただくっす」
「また近いうちに再開しますので、それまでしばらくお待ちください」
「質問の当初はまだまだ沢山あるっすからね」
「それではみなさん。次回はダンジョンオープンの時期にお会いしましょう」
「ではまたっす!」