第Ⅰ篇《》 第X章(X)X話〔X〕
住宅街で少年が、大人の男たちに囲まれていた。
「ボウズ大人しく俺らについてこい!!」
「嫌だよ」
少年はベー、と舌を出した。
男たちは銃を取り出して少年に向ける。
「言うこと聞かねぇと撃つぞ!!」
「撃てるもんなら撃ってみろー」
男たちを挑発するように少年は、あっかんべーと、した。
「なめんなよボウズ!!」
男たちは一斉に引き金を引いた。
だが、その銃弾は少年に届くことはなかった。
「な、なに……」
男たちが驚いていると、少年は唇を歪めた。
「バイバイ」
次の瞬間、男たちはバラバラに切り裂かれた。
少年は唇を尖らせて毒づいた。
「詰まらないの」
「そう言うなよ。コータ」
家の影から男が歩み出てきた。
「こいつら弱すぎるよ。ネクロ」
ネクロと呼ばれた男は、やれやれと、首を振った。
「俺らは人間じゃないんだからあんな連中が弱いのは当たり前だ。お前だって知ってんだろ?」
「知ってるけどさ、あれは弱すぎだよ」
「はぁ……、お前の目的は兄貴を殺すことだろ?」
「うん、そうだよ」
「今は力をつけなくちゃいけない大切なときなんだ。それなのに目立つようなことしてどうすんだ」
「ネクロはうるさいな」
「コータがもう少ししっかりしていればこんなこといちいち言わないよ」
「あー、うるさいうるさい。僕の好きなようにしていいって言ったのはネクロだよ?なのになんなの?」
ネクロは痛いところを突かれて狼狽えた。
「うぐっ…………わかったよ。お前の好きなようにしろ」
「やったー」
ネクロはため息を吐き捨てた。
「まだガキだな……」
「なにか言った?」
「いいや」
「……待っててねお兄ちゃん」
そう言うとコータはその場から去った。
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