第' '篇《》第' '章( )' '話〔 〕
真っ暗な空間。
「どれくらい経っただろうか…………」
何処からか男の声が聞こえてきた。
だが、その声は誰にも届かない。
ここには男以外存在しないのだから……。
何かで縛られているわけではないのに、男は身動き一つしていない。
それどころが、唇やまぶたや鼻がまったく動いておらず、胸も上下していない。
ただそこに漂っている、と言った感じだ。
「いい加減、この感覚にも慣れてきたな……」
唇が動いていないのに男の声はハッキリと響いている。
男は痩せ細った様子もなく健康そのものだ。
それにしては、衣類の痛み方が不自然すぎる。
まるで何百――いや、何千年も放置されたかのようにボロボロだった。
「そろそろ頃合いかな……?」
男は僅かに動く指を上から下へと動かした。
すると、男の目の前に光を放つ円が現れた。
そこに幼い少年が写し出される。
少年は笑顔で誰かと手を繋いでいた。とても幸せそうな顔で手を繋いでいる人物と話をしている。
「まずは……この世界から……か…………」
男は息を吐き捨て、まぶたが開かれてないのに、まるで見えてるように呟いた。
光の円に顔を向けている男の顔は、光が当たっているはずなのに、黒い何かが揺らめいてはっきりと見えない。
男は、今度は指を右から左へ動かした。
「目醒めろ…………レオよ」
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