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我武者等 7
昔、彼らの師はこう言いました。
“人の心あれこその武士である。
人の心無くして武士を名乗るでない。
人を傷つけてしまう刀を持つ者だからこそ、
人の痛みを知り、守るために生きよ。”
今の光政の瞳もその志が見えた瞬間でした。
「…それと…。」
先ほど茂に弾かれた短剣をゆっくりと拾い上げ、
二人にその先を向けました。
「これからもお前らに矛先を向け続ける。
ただし…
目に見えない、剣だがな…。」
そう言って短剣を懐にしまい、2人に背を向けて歩きだしました。
「光政、
俺らもその剣、向けさせてもらうぞ。」
その声に返事はなく、その代わりに拳が僅かに空へ上がりました。
その数年後、
ある三人の武士達によって幕府の時代が終わり、
新しい世が始まりを告げたのは言うまでもありません。
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