第五話~内乱勃発!?~
またまた遅くなりました。
1、2話が漢数字で3話が数字なのはミスです、すみません。
練習試合の翌日、私がグラウンドに顔を出すと、緊迫した空気が漂っていた。
「集合!」
私を見つけたのだろうキャプテンの荒垣が号令を発し、それはグラウンドに散らばる全部員に瞬く間に伝わり、数十秒で私を囲う円が作られた。
「先生、何かあればお願いします。」
「「「お願いします!!!」」」と部員たちの声が重なった。
橘くんのときは“監督”だったので、まだ部員たちの認識は、「橘監督の代わりの人」なのだろう。
まあ、実際そうな訳だし、別にこの仕事に生きがいを感じてるわけではないので、関係はないが……。
私は、昨日の練習試合について思ったこと――――勝てなかったことは残念だが、いい試合だった。特に6回までは完璧な試合運びだった――――という旨の話をして、練習を開始させた。
しかし、小嶋がおかしい。
昨日のパスボールから失点してしまったことに責任を感じているからなのか、明らかに動きが鈍く、声も出てない。
しかも、いつもは飯島とやるはずのキャッチボールを上山とやろうとする始末だ。
たまらず小嶋を呼び出した。
「小嶋、今日のお前の様子はおかしい。 一体どうしたんだ?」
「先生…… オレはもうキャッチャーはやりたくありません」
そうほそぼそと告げる小嶋の顔は、今にも泣きそうだった。
「なんでだ? 昨日の件か?」
「はい。 オレには飯島の落ちる球を止めることができません。 これでは飯島に……チームのみんなに迷惑がかかります。 だから、他の奴をキャッチャーにしてください」
私は、そう告げる小嶋に対し、「もうすぐ大会だからそれはできない。 止められるように精一杯努力しろ」
と突き返すと、少し嬉しそうな表情を一瞬浮かべた後、もどっていった。
今の表情はなんだったのだろうか。
あの表情には「本当はまだキャッチャーをやりたいです」と書いてあるようだった。
では、なぜこんなことを言ったのか。
誰かにそうさせられたからか。
一番可能性のあるのは昨日崩れるきっかけを作られた飯島……だが飯島と小嶋はいつも通りピッチング練習をしている。
まあ、相変わらず落ちる球に反応できていないが……
では、キャプテンの荒垣がチームの勝利のためにそうさせたか?
でも彼は誰よりもチームメイト思いだから、という理由でキャプテンに推薦されている。そんなことをするだろうか?
犯人はまだわからない。
だが、この野球部に亀裂が走り始めたことは確かみたいだ。
<選手紹介>
小嶋大樹
キャッチャーだが気が弱い。
小学校で体型でキャッチャーにされ、最初は嫌がっていたが、今では愛着があるポジションで、誰よりもこのポジションが好きだという自負がある。
6番打者で体型に似合わずアベレージヒッターで流し打ちやバントが得意




