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第3話~悩めるエース~


飯島回です


オレは、どうすればいいのだろうか。


制服のままベットに寝転んで今日の練習試合を思い出す。


6回、シロートの監督さんが生意気にも「フォークを投げろ」なんて言わなければ、


オレはあそこで崩れなかっただろう。


いや、本当にそうか?


前の打者にスライダーを打たれてるからスライダーは使えない。


カーブは三振が取れるほどのキレも変化も無い。


ストレートも、あの打線に捉えられてきた頃だった。


そうなると…


「やっぱフォークなの、か。」


フォークは確かに空振りをとった。


相手の驚く顔はまだ覚えている。


しかし、小嶋は止められなかった。


しかも後がまた酷い。


暴投。


ファーストの頭上を大きく超える暴投。


あんなのを見せられたらもう、投げれない。


夏を思い出してしまう。


オレは完璧なピッチングだったのに。


人生で最高のピッチングだったのに。


あの暴投が、全て壊した。


フォークが、あの暴投を生んだのなら、


もう、フォークは使わない。


もう、フォークは使えない。


そう思うと、もう笑うしかねえな。


だけど、なんでだ?


オレは、泣いてるのか?


もう、フォークは使えないのか。


そう思うと、涙が溢れてくる。


中学の、シニアの頃から一緒に戦ってきたオレのウィニングショットは、


もう、使えない。


寝ようか。


こんなこと考えても意味はない。


明日も練習だ。





翌日も、オレの気分は晴れなかった。


学校への足取りも重く、思わず溜息がこぼれた。


「な~にしょぼくれてんのよ。」


驚き、後ろを振り返ると、見慣れたアイツがいた。


「なんだ、由樹かよ、脅かすなって。」


そう、こいつはオレの幼馴染でマネージャーの紅月由樹(こうづき ゆき)だった。


「もう、名前で呼ぶなって、何回言わせるの?」


「幼馴染だから仕方ないだろ!」


「まあいいわ、学校で名前で呼んだらただじゃおかないから!」


「ほー!具体的には何をするんだい!?」


「アンタの好きな人を学校中にばらまく。」


 なんでそんなの知ってんだよ。


オレは心の中でそうツッコんだが、


「わかった。紅月。」


と返事した。


本当にそんなことを知ってて、本当にそんな事をバラまかれたらたまったもんじゃない。


「てか、早くしないと練習遅れるよ。」


時計を見ると8時47分。


9時集合だからものすごくギリギリだ。


「もっと早く言ってくれよ。」


学校に向けて走りながら由樹に話す。


「うるさいわね、アンタが素直じゃないのが悪いんでしょうが!」


二人で学校へ向けて走り出した。


てか、なんでコイツ、こんな足はええんだ?


全力━とはいかないまでもそこそこの速さで走ってるのに。


まあ、そんなことはどうでもいいか。


おれは、さらにスピードを上げて学校に向かった。


後半は前半の欝パートが嘘のようなラブコメ展開(笑)


では選手紹介に


<飯島勇気>

2年投手、MAX137km/hの本格派、右投げ右打ち。

カーブ、スライダー、シュート、フォークという多彩な変化球を持つが、

シュートはあまり使わない。

メンタルがあまり強くなかったりする。


選手じゃないけど、<紅月由樹>

2年、マネージャー、色々な方面で情報通。

運動能力が高く、行動的で、そこそこ容姿端麗なため、同性のファンが多い


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