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魔王、女子高生の「予言」をテストする

「城へ連れて行くと言ったが……その前に、一つ試させてもらう」

ゼノス様は私を抱え上げたまま(お姫様抱っこではなく、米袋のような雑な扱い)、森の開けた場所へと移動した。

そこには、赤黒い霧が立ち込める不気味な「沼」があった。

「ここは『絶望の毒沼』。近々、ここから溢れ出した魔気が麓の村を飲み込むと言われている。私の魔力で封じようとしたが、なぜか弾かれるのだ。……予言者よ、この解決策を知っているか?」

ゼノス様の目が光る。

(あ、これ、答えられなかったらここで捨てられるパターンのやつだ!)

私は必死に記憶を掘り返した。ここはゲームの序盤のクエストエリアだ。

「……あ! 毒沼じゃないです! それ、ただの**『熟成しすぎた魔力ベリーのジャム』**ですよ!」

「は?」

「そこの沼の底に、千年前の魔導具が沈んでるはずです。それがベリーの木と反応して、勝手にジャム化して発酵しちゃってるだけ。魔力で封じようとすると発酵が進んで爆発します。……正解は、冷気魔法で一気に冷やして固めることです!」

ゼノス様は半信半疑のまま、沼に向かって指を向けた。

「……氷結アイシクル

パキパキパキッ!!

一瞬にして沼が凍りつき、甘酸っぱい、いい香りが辺りに漂った。

すると、沼の底からキラキラと光る古い杖が浮き上がってくる。

「……本当に、解決した。私の魔力でも手に負えなかった事象を、お前は一言で……」

ゼノス様が凍りついた沼と、私を交互に見た。

今度は「殺意」ではなく、もっと重苦しい、逃れられないような**「執着の目」**だった。

「お前を野放しにするのは、あまりにも危険だ。……これほどの知恵を持つ者を、他の誰かに渡すわけにはいかない」

「あ、いや、私はただのオタクで……」

「これよりお前を、私の『守護巫女』として遇する。……いや、巫女では足りないな。私の隣で、この世界のすべてを教えろ」

ゼノス様が、今度は丁寧に、壊れ物を扱うように私の手を取った。

その手は少し震えていて、彼は私の指先に、誓いを立てるように唇を寄せた。

「お前の住んでいた世界へ帰すつもりはない。……覚悟しろ」

(あ、これ、完全に「有能すぎて監禁される」パターンのやつだ……!)

「ちょっ、魔王様! 私、着替えも持ってないんですけど!?」

「そんなものは城にいくらでもある。……お前には、一番美しい絹を纏わせよう」

こうして、私は「便利すぎる予言者」として、魔王様の強引なエスコート(という名の拉致)により、ついに黒い馬車へ押し込まれたのだった。

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