第六十三話 家族会議。ノイズがバカだった件について。
こんにちは。荒高まっぽです。
今回はベーカ一家の家族会議回です。
工場長就任はめでたいのですが、同時に避けて通れない現実もありました。
そう。
ノイズがバカだという現実です。
よろしくお願いします。
キィキィコクバン辺境の一軒家。
表は潰れたテナント。
そう。
ここはベーカ・リートウサンたちの家。
ここ数日ベーカは顔色が悪かったですがノイズの工房に通っていました。
ベーカは家族たちに語ります。
「工場長に正式就任が決定した。
しかし工場自体はまだ建ってない。
先にパンを焼く指導をできるわしが確保されたわけだ。
つまり工場をまだどこに建てるかは決まっていない。
何ヶ所か候補があるらしい。
それまではわしはノイズさんの工房で見習いをしている。
お前たちも研修をいずれ受けて全員採用してくれるそうだ。」
まずは妻ネセサ。
「私にできることは接客とレジだから…多分現地のお店をレジを任せられるのかしらね?」
細身で小柄ですが自営業の妻として鍛えられているので意外とパワフルです。
次に長女メモ。
「私は経理だったから数字任せて欲しいな。事務がやっぱり馴染みあるし。
ノイズ様とお仕事できるお父さん羨ましいなあ。」
ベーカはまだノイズがバカだとは家族に告げていません。
ノイズ推しのメモが荒れるのがわかっているからです。
最後に長男アイボ。
「俺だけ家に残れないかな?俺のやってたことネット関係だし。地元はやっぱり離れたくないよ。」
ベーカは言います。
「アイボ。採用だけしてもらって一人暮らしするか?
この家は私たちが就職したら売る。
もう使い道がない家だからな。
一人で暮らすには広いし維持費や税金を考えると売るしかない。」
アイボは考えました。
「家のこと一通りできるけどみんなで暮らした方が合理的か。
仕方ない。着いて行くよ。」
アイボはなんだかんだ言って家族を愛していました。
それを表に出すほど素直ではなく。
ベーカはいつかわかってしまうことだと話すのを決めました。
「言いたくはないがノイズ様はものすごいバカだ。
何度わしがベーカ・リートウサンと名前を訂正しても覚えない。
倒産一家と呼んでいる。
就職するならそれを覚悟して仕事に就いて欲しい。
メモ言いたいことはわかる。信じられないだろうが父さんが嘘を言わないのを知っているな?
そうだ。そういうことだ。」
メモは衝撃で受け入れられませんが聞きます。
「あの清楚でかっこいいノイズ様バカなの?
愛嬌のあるバカとかそういうことじゃないのよね?
多分支障のあるバカってこと?
お父さんがそう言うならそうでしょうね…?」
ベーカは言います。
「わしがベーカリー倒産さんと呼ばれているで察してくれるか?
あいつからパン焼く才能と歌を取ったらただのバカだ。
多分ヒモでお嫁さんたちからお世話されるだけの存在だっただろうな。」
メモは何も言わず、ただ一度だけうなずいてから自室へ籠ってしまいました。
(信じたくない…でも…)
部屋のドアを閉める音が重く響きました。
アイボはワクワクしています。
(あの国の象徴ノイズ様がバカか。これは面白い話だ。)
ベーカはアイボの様子に釘を刺します。
「これは口外禁止だぞ。言ったら家族が破滅だ。アイボわかったな。」
アイボはがっかり。
ネセサは冷静に言います。
「メモは仕方ないわね。あんなにノイズ様ノイズ様って慕っていたから。
とりあえず食って行く道が見つかってよかったわ。
最悪私パート掛け持ちしようと思っていたから。
あなた最近食パンばっかり持って帰ってきてたけどやっぱりうまくいかないの?」
ベーカは苦々しげです。
「わしにはどうしても再現は無理だった。
それでも雇ってもらえるんだから全力を尽くすさ。
近日中にお前らも面談したいそうだから心構えをしておいてくれ。」
一方ノイズ家では。
ベーカが焼いたパンを捨てるのは勿体無いと言うことで毎晩ベーカ製作食パンが食卓に上がっていました。
みんな口々に言います。
「これはこれで悪くないけど。ただ1週間毎日パンってきついね。
フレンチトーストやホットサンドにしたりしてるけど。」
「ノイズ様の味じゃないのは新鮮ですね。」
「ベーカさんいっぱい焼いてるから消費追いつかないね。」
それでもベーカが諦めた二日後にはベーカ製パンは無くなりました。
食べたメンバー。
ノイズ。
ゴマ。
カロウ。
ヒトニ。
嫁さんズ。
ゴマがなんとなく食べ過ぎで少しお腹が出ました。
ヒトニは飽きてしばらくお米を食べることにしました。
ノイズはパンはなんでも美味しいようです。
一番たくさん食べたのはノイズでした。
十二人で二日かかったでお察しください。
イキモはまた観察しています。
(俺も並んでスタンディング食パン買おうかな?パン食いてーな。)
イキモはいつか罰を受けるかもしれませんね。
今回はここまで。
また次回。
第六十四話をお楽しみに。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
メモには少し酷な回だったかもしれません。
推しの現実を知るのは、なかなかつらいものがありますね。
一方で、アイボはだいぶ楽しそうでした。
同じ話を聞いても反応がまるで違うのが家族らしいところです。
次回も引き続き、パン工場編をお届けします。
お楽しみに。




