第六十二話 凡人と天才の差は埋められないのか?ベーカの苦悩。
こんにちは。荒高まっぽです。
今回はトライアル本番、ベーカの苦悩回です。
努力では埋まらない差というもの、ありますよね。
ノイズはいつも通りです。
一連の流れ
店を潰したベーカ・リートウサン→
ノイズの店で働きたい→
工場長として仮契約→
トライアルで契約書にノイズバカがカミングアウト→
マジもんのバカノイズ→
後がないベーカ←イマココ
はい。やっていきましょう。
トライアル初日。
パン屋の朝は早い。
でもここの住人はみんな慣れてる。
朝4時。
ノイズ、ベーカ、オンちゃん、モクモクが今日の焼きのメンバー。
ベーカは58歳で人間では最年長ですがここでは見習いです。
オンちゃんは音スキルでおいしくする係でもほぼ毎日焼きに参加していますが基本本人は動きません。
まずノイズは説明します。
「まず生地の材料を計量します。」
どさどさ生地の材料を計量していきます。
「5グラムくらいは誤差です。」
計量終わり。
ベーカは思います。
(意外と大雑把だな…?もっと天候や湿気で水分量にこだわらないのか?)
ノイズ。
「攪拌機で混ぜます。まあ液体を先に入れます。卵と牛乳です。」
ぐわんぐわん。
撹拌の音が大きく響きます。
「生地ができました。発酵機で一次発酵です。」
ベーカは観察します。
(ここまでは特に普通だな。雑だが。最初よりバカさもそんなに見えないし。)
「形成してベンチタイムです。」
ノイズはシズカから最初に警告を受けていました。
「ノイズ様、ベーカさんは採用するつもりですがもしも採用しないとあなたのバカを拡散される恐れがあります。ですから例え相手が熟練したパン職人でも初心者に教えるつもりで指導してください。できる範囲でいいです。」
(そんなに僕はバカに見えるのか?まあいいや。初心者に教えればいいんだな。)
ノイズはとてもバカですが一応仕事は真面目でした。
前回デカデカとノイズはバカと契約書に記されているのをノイズは知りません。
「二次発酵をします。次に焼いて終わりです。ちなみに僕にしかできませんが焼いている時は歌ってスキルでおいしくします。選曲はなんでもいいです。」
「幸せになりたい。楽して生きていたい。この手に掴みたい。」
ベーカはびっくり。
(歌が美味しさの秘密だろうか?)
「はい。焼き上がりました。試食しましょう。」
出来立ては格別です。
さらにモクモクシフト時のパンは当たりと評判なので尚更ですね。
枝から旨みが出ているため。
ベーカはやっぱり食べて棒立ちになります。
(これはわしには味を再現できないかもしれない。歌なんてスキル持ってないし。)
それから数日。
ベーカは焼いては捨て、焼いては捨て。
窯の前には失敗作が積み上がっていた。
(同じ材料、同じ工程。それなのに…なぜだ。
ノイズさんの味は再現が無理だ。職人40年やっているがこんな雑で美味しいパンは出会ったことはない。わしの40年はなんだったのだ。)
ベーカはシズカに一応相談しました。
本能でわかっていたのです。
ノイズに話しても理解してもらえないと。
「ノイズさんのパンの味を再現はわしにはできません。どうしたらいいでしょうか?パンの基礎を現地でお教えすることはできます。しかしノイズさんの味をお教えすることは不可能です。」
シズカは数日のベーカの焦りを見ていました。
「ベーカさん、いいんです。ホテル側には工場仕様で大量生産のため味が若干違うと言います。
私はベーカさんの焼いたパンの味も好きですよ。ノイズ様にはない味があると思います。ベーカさんはベーカさんのパンを焼いてくれたらいいですよ。大体あの破天荒のノイズ様の味は本店限定でいいですから。」
(認めたくはなかった。だが、もう誤魔化せない。)
ベーカはいい歳をしていますが男泣きをしてしまいました。
シズカは結局ベーカを正式採用したのでした。
ベーカの様子を見ていたノイズは。
(ベーカさん前世で読んだ漫画の陶芸家みたいにパン焼いては捨ててたな。芸術家肌なのかな?)
ノイズはやっぱりバカです。
ベーカの苦悩を一ミリも理解できなかったのでした。
それでも数日、ベーカは焼いては捨てを繰り返し――ようやく諦めた。
(あと少しかもしれない…でも…これだけは無理だな。この世界は残酷だ。)
次回はリートウサン一家の話し合いをお届けする予定です。
予定は未定ですが。
お楽しみに。
次回第六十三話をご期待ください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ベーカ・リートウサン、ついに現実と向き合うことになりました。
長年積み上げてきたものと、どう折り合いをつけるのか。
一方でノイズは安定のノイズでした。
次回はリートウサン一家の話し合いです。
家族でどう決断するのか、お楽しみに。




