第五十五話 アンの視点。ノイズ炎上事件について思う。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回はアン視点での炎上回です。
外から見たノイズと、当事者であるアンの温度差を楽しんでいただけたら嬉しいです。
ざっくりあらすじ。
不眠のアンにノイズが家で子守唄を歌う。
マスコミに漏れる。
ノイズ炎上。
ノイズもアンも釈明動画出すが炎上は収まらず。
時間が経ってやっと鎮火。
以上。
時間が遡り、炎上最中。
アンは思います。
(どこで間違えた?ノイズを家に入れたことか?それとも友達であることを許したことか?)
悶々とアンは考えても答えは出ません。
ノイズに対して罪悪感はありますがマスコミへのリーク元はタクシーの運転手でノイズが悪いと結論は出ていました。
(俺も悪かったがやっぱりバカの行動は予想ができないな。無自覚の善意は怖い。俺なら運転手は指定しない。)
それでもアンの不眠はほぼ治っていました。
アンは炎上慣れしています。
だから非情ですがノイズ炎上で眠れないことはなかったのでした。
とりあえずアンも釈明動画を出しましたが荒らしがヒートアップしています。
元々のアンのファンは冷静でした。
だから安心して眠れるもあります。
今回の炎上が続いているのはファンが暴れているより叩きたい層がたくさんいた。
それだけです。
アンも見立てます。
(こういうタイプの炎上は時間が経てば収まる。俺も無闇に動かないで様子を見よう。いつも通りに。活動休止とか荒らしやアンチの思う壺だからな。)
それでもアンに罪悪感が全くないと言えば嘘になります。
ある日。
アンはノイズのパン屋でパンを買うことにしました。
一般客として普通に並んで。
服装もわからないように、一般的な女の子の服で。
伊達メガネかけて。
髪も纏めて帽子をかぶっています。
ぱっと見ではアンとは分かりません。
そして1時間ほど並んでパン屋で買い物。
選べるのはモクモクのジャムが数種類あるだけでパンは食パンだけです。
アンはたくさん意外と食べるので食パンは二斤買いました。
ジャムはみかんジャム。
店の様子を見ます。
炎上中とは思えない光景が広がっています。
カロウに話しかけて国歌を斉唱してもらう女の子。
アヤメに祈りのスキルを出してもらう老紳士。
モクモクの枝を齧る幼児。(枝から旨みが出てるらしい。)
平和そのものでした。
会計を済ませて立ち去ろうとするアンに声をかける者が。
「アンチうまいさん。」
そうです。
ノイズでした。
アンは素早くまずいと思いました。
ノイズを引っ張って店の裏庭にアンは行きました。
「ノイズ。なんで俺だとわかった?」
アンは困惑しています。
完璧な変装だったのに。
ノイズは普通に答えます。
「なんでかわからないけど足音のくせで誰か僕わかるんだ。
店に来たのはアンチうまいさんノイちゃんの歌二十番まで聞きたいのかなって。」
ノイズの頭にはそれしかありません。
アンは呆れます。
「元気そうで何よりだ。お前相変わらずバカで呑気だな。心配して損したよ。
ノイちゃんの歌は歌詞だけLINEで送ってくれ。それでいいだろ?見つかるとまずいから帰るよ。次は声かけるんじゃねーぞ。」
アンはさっさと帰りました。
幸い人には見られませんでした。
ノイズだけは
(ノイちゃんの歌聞いてもらえなかったな…。)
それだけです。
アンは買った食パンを帰ってからジャムをつけて食べました。
(美味い。次はマネージャーに買わせに行かせよう。あいつそれくらいしか使えないしな。)
なおマネージャーの名前はジャーマ・ネムリ。
事務所の社長の息子です。
元ニートでしたが社会訓練のためにマネージャーをさせられています。
もちろんノイズ並みに無能です。
彼のエピソードが出るかは作者次第。
こうして炎上は鎮火したのでした。
次回をお楽しみに。
第五十六話に続く。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
炎上の渦中でも、当事者の感じ方はそれぞれです。
アンは現実的に、ノイズはいつも通りに。
そのズレがこの騒動の本質かもしれません。
次回もよろしくお願いします。




