第三十四話 カレンが語り、ユーリィが聞く。人生について。
今回はカレン回です。
少し重めのお話になります。
いつもゆるい世界観ですが、
この屋敷の住人たちはそれぞれそれなりの過去を抱えています。
読むのがしんどい方は、次回のギャグ回までお待ちください。
前回のあらすじ。
ユーリィが自分の悲惨な人生を語りました。
以上。
カレンはまだあまり上手に話せませんがなんとか話します。
「私この世に生まれて100歳以上にはなってると思う。
またスマホもテレビもなかった頃。
生まれは商家で成金だったの。
私は一粒種で舐めるように親から可愛がられた。
その時、瞳の色は青だった。
飼い犬は生まれる前からいたゴールデンレトリーバーの男の子のアディ。
私は全てを持っていた。
おもちゃも服もキッズ向けでも宝飾品も。
愛も物も全て。
一番何も知らなくて幸せだった時期。
でも成金だったから家には敵が多くて。
ある時屋敷が焼かれて両親は殺害。
私は悪魔召喚の生贄として攫われた。
10歳くらいだったと思う。
後から聞いた話だと幸せな子供ほど生贄にすると絶望が深くていい悪魔を召喚できるからと私の家が選ばれたみたい。
元々成金で敵も多かったのが災いしたのだと。
アディも連れてこられた。
アディは人質だった。
私はアディのためなら何でもした。
だって私が命令を背いたらアディが痛めつけられるから。
それから召使い以下の生活を8年ほどして18歳になったある日。
私の誕生日に儀式が行われた。
ようやく解放されるとは思っていたけどアディはどうなるのかが心配だった。
でも願いは聞いてもらえない。
アディは私の絶望を深めるために殺された。
ただ召喚者が動物を痛めつけるのには抵抗があったみたい。
安楽死の麻酔で眠るように死んだ。
おかしいけどこれが事実。
今まで耐えてきたことが全て壊れた瞬間だった。
その時。
アスモデウス様が召喚されたのは。
状況を見てあの人は笑った。
「可憐なお嬢さん。こんにちは。生贄になって諦める気ですか?」
私は答えた。
「愛犬のアディが死んだの。もう生きる意味はない。私もアディの元に。」
アスモデウス様は召喚者を無視して私に話を続けた。
「いいだろう。犬さえいれば貴女は生きるのですね?名を聞こう。」
「…カレン・ダーミタ。」
彼は私を契約者として生かすことを決めたみたい。
周りにいた召喚者の関係者も含めて私以外を皆殺しにした。
「カレンよ。私は貴女を契約者とする。アディも生き返らせた。身体の一部に私の刻印を刻みたい。どこを差し出す?見える場所ほど私の力を使役できる。」
私は全てがどうでも良かった。
アディさえいれば。
「瞳を差し出します。アディを私に返してくれてありがとう。」
こうして私の瞳は永遠に青さを失って彼の片目と同じ赤い瞳になったの。
ただアディが生き返っても私の感情は元に戻らなかった。
アスモデウス様が何をしてもね。
アディはよくわかっている賢い子だから彼に懐いていて。
私はアディの環境を変えたくなくてアスモデウス様にアディを託したの。
でもノイズ家に来てから食べ物が美味しいとか。
これが家族なんだって何となくわかってきた気がする。
まあ、不老不死の身体だし気長にやればいいかなって思ってる。
アディも猫たちと仲良くできるなら住みたいな。」
ユーリィは話を聞いて微笑みを浮かべます。
「犬もいいよな。アディ来ること楽しみにしてる。今度シズカに頼んでみようぜ。」
ユーリィはあえて話についてジャッジを下さないのでした。
カレンに対して仲良くなれそうだと思いました。
カレンは言います。
「ちょっと疲れちゃった。自分のこと話すなんてそんなになかったから。」
ユーリィは労わります。
「ノイズに言うわ。カレン疲れてるから夜は控えろって。ゆっくり休め。精神的疲労は寝るのが一番だ。」
夜はふけていきました。
また毎日が始まるのでした。
次回はしんみりしないギャグ回の予定です。
第三十五話に続く。
カレンの過去でした。
ユーリィは自分が傷ついてきたからこそ、
他人の過去にジャッジを下しません。
ノイズ家は基本ふわふわですが、
だからこそ過去との対比が映えるのかなと思っています。
次回は空気を戻します。
安心してください。
ではまた次回。




