25 陸軍兵器改革₋2 Panzerkampfwagen
「グデーリアン、お前の書いた『戦車に注目せよ!』の初版を読ませてもらった。実に素晴らしい!弱点を攻撃し他を無力化する!素晴らしい発想だ!賞賛に値する!」
「ありがとうございます。総統閣下」
俺にべた褒めされ思わずグレーリアンも笑みをこぼす。
グデーリアンの同期であるマンシュタインも悪い気はしてなさそうだ。
(まずはおだてとかないとな、まぁ実際素晴らしい発想なんだけど)
「だが、先日トライアルの終わった3号戦車には非常に懸念を感じている」
「・・・それはどういう意味でしょうか?」
グデーリアンは分かりやすく顔をしかめる。
流石は対人関係スキル低めのグデーリアンだ。
すぐ顔にでる。
とは言え、周りとの軋轢をそれこそ戦車のように乗り越えることで機甲師団の整備を行うことが出来たわけなのだが・・・
「諸君らもフランスのB1戦車やイギリスが開発中と噂の歩兵戦車の話はきいているだろう。その戦車に出くわしたらどうするつもりだ?」
「空爆を要請します」
(うん、ある意味さすがだ)
地上から攻略困難な目標があれば空から攻める。それは正しい。
「では雨天時はどうする?」
「野砲もしくは高射砲で対応します」
(うん、それも正しい。だが。。。)
「やめたまえグデーリアン、君が言っているのは論点がずれている。現場の工夫を織り込んで兵器開発など順序が逆ではないか」
マンシュタインがやれやれといった感じでとめにはいる。
「だがっ!」
「もうよい!グデーリアン!最後まで私の話をきけ!私は君に鈍重な歩兵戦車を開発しろといっているのではない!」
「そうなのですか?」
一転してグデーリアンがおとなしくなる。
自らの電撃戦理論に必要不可欠な機動力がそがれるのを嫌がっていたようだ。
(癖がつよいな、癖が!さすがはプロイセン軍人だ)
能力も高ければプライドも高い。
独裁者からすると極めて扱いづらい。
「グデーリアン。3号戦車は中途半端に過ぎると私は考えている。規模を拡大した上で一からの再設計を兵器局に命じる予定である。」
「しかし、それでは機甲師団の整備がますます遅れてしまいます!現在配備中の1号、2号戦車などただの軽戦車です。軽戦車では戦えません!」
(だれもすぐ戦えとは言ってないだろうに)
いちいち反論してくるグデーリアンに辟易としながらなおも俺はいう。
「トライアルに敗れたクルップにも違う型の戦車を作らせる予定だったであろう?そっちの型はそのまま量産しても構わん。但し、3号戦車がものになるまでの間対戦車戦闘も4号でこなせるように取り計らうように」
「まぁ、、4号戦車を配備して頂けるのでしたら・・・。速度はいかがされるので?」
「そこそこにする他あるまい?サスペンションの開発はそんなすぐにできんだろう」
「・・・よくご存じで」
(まぁ、なんとか納得?はしてくれそうか?いや、しかし俺独裁者なんだが?結構言うね)
はっきり思った事をいう部下が大切な事は分かっているが、俺は恐怖の親衛隊をも従えるちょび髭のはずである。
頼もしく思うと同時に複雑な気持ちにもなる。
が、そんな事を愚痴る訳にもいかないし、愚痴る相手でもないので、マンシュタインも加え、3人で新型戦車の仕様のあれこれや電撃戦について語り合うのだった。