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二月三日
もしどうかいふことで王宮の階段の上や、堀端の青草の上や、君の室の陰惨な孤独の中で、既に君の酔ひが覚めかゝるか、覚めきるかして、目が覚めるような事があったら、風にでも、波にでも、星にでも、鳥にでも、時計にでも、すべての飛び行くものにでも、すべての唸くものにでも、すべての廻転するものにでも、すべての歌うものにでも、すべての話すものにでも、今は何時だと聞いてみたまへ。風も、波も、星も、鳥も、時計も君に答へるだらう。「今は、酔ふべき時です! 『時』に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なくお酔ひなさい! 酒でも、詩でも、道徳でも、何でもおすきなもので。」
(酔へ!・ボードレール/富永太郎訳)
君の室の陰惨な孤独の中で。というフレーズは、時折よぎってしまう。
今日は、しこたま酔ったので、眠い。酒と、女とに酔っていた。しかし修行が足りなくて、絶え間なくとは行かないのが残念だ。私は子どものように酔って子どものように全霊をかけ、子どものように打ちのめされなくてはならぬ。