33/35
十一月十二日
煌めく朝日を浴びて
あはれにもその身から衣を剥がされて
狂ひ舞いに舞う
夜のうちに憩む処を見つけられなかつたのか
はたまた
棲家を追ひ出されたのか
髪を振りみだすかのように
重みに耐えかねくづおれるかのように
ふるふるとその身をふるわせる
うつくしい蛾の一疋が脇を通りすぎて行つた
(無題2)
文字数が足りないので、蛇足を付け加えることにする。
私は古文体が好きである。古文体であたらしい文章を書かれるのに弱い。そのギャップにやられてしまうのである。あたらしい文章と言うのは単に今風の言葉の使い方の謂ではない。心理の発見を言う。目の前が開かれる感じは、100年前の文章にもちゃんとある。
古文体というのも色々あるが、さすがに平安の時代まで来てしまうと色々わからない生活上の用語がある上、また暗黙の前提、みんなが知っている歌を私も知っていないと面白く読めない。江戸、明治くらいまで来ると随分楽だが、それでも漢文が前提だったりする。したがって軟弱な古文体好きとしては昭和あたりを追うことになる。伝統的仮名遣いをまだ使ってくれる作者はいるし、生活もかなり現代的だから意味は凡そわかる。懐かしくて新しい。それだけで十分かもしれない。




