31/35
十月二十七日
「秘密よ、ねえ。酔払って饒舌っちゃだめよ。」
足を踏み鳴らしでもしたいとこらしい。その腕を捉えて、引張ると、彼女は素直についてくる。それを、彼は自分の膝に坐らした。
「大丈夫だよ。君の方がよっぽどお饒舌じゃないか。」
「そりゃあ……。」間の考えが長く、「先生を信用してるからよ。」
(女客一週間・豊島与志雄)
短い短編で、そしてお気に入りでもある。私実は、こういう可愛い、たわいもないような短編が案外好きだったんだと思い出す。
時折、キミ子の言うことにハッとさせられる。この時代には皆、キミ子のように開いた心で世界に相対していたのだろうか?
彼女こそが私の目標であるのに違いない。




