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四月十六日
どっこい、生きている。
「──今日は四月馬鹿じゃないか」
そうだ、四月馬鹿だ、こりゃ武田さんの一世一代の大デマだと呟きながら、私はポタポタと涙を流した。
(四月馬鹿・織田作之助)
不謹慎なようだが、私は作家の追悼文が好きだ。今の作家の追悼文はろくに知らない。知っているのは「風貌」みたいな昔のやつばかりだ。この頃の作家の文章はほんとに上手い。作家の生の顔に少しおかしくなりながら、でもきっと切なくなる。してみると私は切なさを求めているのかもしれない。死という逃れようもない現実に取り残されてしまった作家の、単純な言葉では表せない寂しさを求めているのかもしれない。




