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二月九日
ブレドガアデで午食をして来た帰道である。牧師をしてゐる兄と己とである。兄はユウトランドで富饒なヱイレあたりに就職したいので、其運動に市中へ出て来た。ところが大臣が機嫌好く話を聞いてくれたので、兄はひどく喜んでゐる。牧師でなくては喜ばれぬ程喜んでゐる。兄は絶えず手をこすって、同じ事を繰り返して言ふ。牧師でなくては繰り返されぬ程繰り返して言ふ。「ねえ、ヨハンネス。これからあの竪町の内へ往つて、ラゴプス鳥を食べよう。ラゴプス鳥を。ワクチニウムの実を添へてラゴプス鳥を食べよう。」
(尼・ウィード/森鴎外訳)
ウィードを読む。
無駄なところのない短編で、おまけに現代にある私たちにもちゃんと楽しめるようになっている所が良いと思う。進化論が世に出て、作者も時代の節目というものを意識したのではないか、と邪推してみる。
ただ残念なのは、浅学のために年長のシスターが唱えている文句の味わいがあまり深くは分かっていないことか。




