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Appendix  作者: G-Ⅲ
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交錯する意思

「やだなぁ、ごかいですよ…」

 くものこをちらす、そんな勢いで散開した彼らは再び婆やの前に集まっていた。

 彼らの顔にはひたすら困惑が広がっている。

「どういう事か説明してもらいましょうか?」

 悪くなった空気の中で顔を腫らした隊長が口を開いた。

 還曰く。

 自分たちは世間でいう所の「いちゃもん」屋だという。

 ほどよく、そして洗練されたいちゃもんをふっかけては良き所で撤収し、報酬を頂く。というを生業としているのだとか。今回は廃城になったこの城の噂を聞きつけ新人のOJT(実地訓練)を兼ねて訪れたらしい。

 魔王城の運営で世間の事情に疎い婆ややその他の魔王達にとっては、世間の流行(はやり)や変化を知り、取り入れることが出来なかったのが廃城の原因になったのかもしれないと反省する部分もあった。

 それを踏まえて、今回の事はお互いに認識に違いがあったから痛み分け(ふもん)にしたいという訪問者側の隊長が熱弁を振るう。

「あのう…」

 一方的に自己弁護をまくしたてる隊長とそれを聞いている婆や。という場面に声をかけてくる者がいた。

 しかし気にせず話を続ける隊長。

「あのう、すいません。クーポンあるんですけどいけますか?」

 クーポンに反応したのか、それとも大きめの響くような声に反応したのかはわからないが、周囲の視線が一斉に声の主を捉えた。

「ごめんなさ…」

 婆やの言葉を遮る仕草をする隊長。そして

「あ”ぁ”ん”!クーポンだあ?」

 威勢よく肩を揺らして新たな訪問者に迫っていく、そして…。

 弾けるように宙を舞う彼の体は、仲間たちによって受け止められた。

 隊長の無事を見届けた婆やが溜息を一つ。

 この状況、どうやって納めればいいのかしら?勇者の襲撃の方がよっぽど簡単だわ。

 と感じていた。

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